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こちら櫻坂高校青空放送局


梨香:さぁお昼の時間になりました!
   こちら櫻坂高校青空放送局です!
   今日の担当の2年生、尾関梨香です!


私は尾関梨香。高校2年生。


私はこの高校の放送部です。
この学校では毎日お昼の時間に当番制で
15分のラジオをしています。

金曜日が私ともう一人の担当なんですが…。


○○:3年生の○○です。よろしくお願いします。


一個上の先輩、○○さん。

○○さんはトップクラスでモテる人。
校内にはファンクラブができるほど。

成績も優秀、周りにすごい優しい絵にかいたような人。

そんな○○さんに私はずっと憧れている。


○○:今日もお便り、
   “あおおた”が来ていますので読んでいきたいと
   思います。


お昼のラジオでは生徒からのお便りを読んで
悩みを聞いたり、最近起きた出来事についてトークする。


梨香:まず一つ目です。
   今私には付き合っている彼氏がいるのですが、
   その彼氏がすごい優しんです!
   ですが、優しすぎるがゆえに周りにも分け隔てなく
   接するので私は気が気ではありません!
   彼に限っては浮気とかはないとは
   思うんですけど…。どうすればいいですか?
   …というのが来てますけど
   ○○さんはどう思います?


○○:う~ん、これは難しいよね~。
   「私以外の女子と話さないで!」
   とかいうと重いって思われそうだしね~。


梨香:でもこの子の気持ちも分かる気がします!


○○:なに?尾関さんも彼氏がいるの?


梨香:い、いやいませんよ!
   でも、いなくても気になる人が
   別の女の子と話してると気が気じゃないってのは
   わかりますね。


○○:なるほどね~。


その気になる人が○○さんなんですけどね…。


――


○○:そろそろお時間ですね。
   今日もお便りをくれた方、
   放送を聞いてくれた方ありがとうございました。
   今日はこの曲でお別れです。
   欅坂46で「バスルームトラベル」


“バスタブの…"

カチャッ…。


○○:ふ~。おぜ、今日もお疲れ様。


梨香:はい!おつかれさまでした!


放送中は尾関さんと呼ぶけど終わるとおぜって
呼んでくれる。


なぜそう呼ぶのかと前に聞いたけど呼びやすいからと
深い理由はなかったみたい。


でもなんか特別な感じがしてうれしい…。


○○:あ~腹減った。お昼またここで食べてく?


梨香:はい。そうします!


放送後は決まって放送部の部室で○○さんと2人で
お昼を食べる。


普段は人気者の○○さん。
でも金曜日のこの時間だけ○○さんを独占してるみたいで
うれしい気持ちもあるけど、ドキドキしてしまう。


○○:もうすぐこの部室ともお別れか~


梨香:寂しいこと言わないでくださいよ!

もうすぐ夏休み。
夏休みに入ったら先輩たちは引退してしまう。


○○:おぜが入った頃から2人で
   担当一緒にやってきたけどどうだった?


梨香:楽しいですよ!お便りの内容も面白いですし。


○○:ほんと。この学校、はがき職人が多いよ笑


そういって微笑む○○さん。
その笑顔を間近で見れるのもあと何回だろう…。


――


夏休み前、○○さんとの最後の放送…。


梨香:さあ夏休み前の最後の放送となりました!


○○:僕にとっても最後の放送ですね。
   最後まで事故無く終われるよう頑張ります。


梨香:ではお便りを読んでいきます。
   私には今気になってる人がいます。
   夏休み中に遊びに誘いたいのですが
   どう誘えばいいのかわかりません。
   いい誘い方があれば教えてください!
   と来ています。


実はこのお便りは私が書いたもの。
○○さんを誘いたいけどどう誘えばいいのか
わからないので強硬手段で聞くしかない!


○○:この気になってる人って普段から普通に
   会話はしてるんですかね?


梨香:う~ん、そこまで書いてないですね。
   仮に普段は普通に会話してるとして○○さんは
   どんな風に誘われたら行きます?


○○:普通に遊びに行こう?でいいと思う。
   気になってるの悟られたくなくて変な誘い方
   したら断わられるかもしれないしね。


梨香:ちなみにどんなとこ行きたいとかあるんですか?


○○:僕は水族館とかかな。


梨香:なんか意外ですね笑


○○:外暑いし、魚とか見てると涼めそう笑


梨香:そんな理由ですか笑


――


○○:さて、そろそろお時間ですね。
   冒頭でもお話ししましたが僕は
   今日が最後の放送になります。
   1年生の頃から約2年半ありがとうございました。
   では今日はこの曲でお別れです。
   欅坂46で「音楽室に片思い」


“夕日に染まる…”


カチャッ…。


○○:あ~終わっちゃった。


梨香:○○さん。本当にお疲れさまでした!


○○:うん。おぜもお疲れ様。いままでありがとう。


梨香:本当に楽しかったです!


○○:よかったよ。さ、お昼食べよ!


梨香:はい!


――


梨香:○○さん!


○○:ん?


梨香:その…夏休みとかって予定入ってますか?


○○:ん~受験とかもあるからそんなに
   暇な時間とかはないけどそれなりには
   空いてるかな。


梨香:もしよかったらなんですけど…。
   一緒にお出かけしませんか?


○○:俺と?


梨香:はい!今までのお礼をさせてください!


○○:わかったよ。空けておくよ。


梨香:ありがとうございます!


○○:どこ行くの?


梨香:それは秘密です!楽しみにしててください!


――


夏休み…


私は待ち合わせ場所の駅で○○さんを待っていた。


緊張して予定の時間より30分以上早く来てしまった。


梨香:(早く来ちゃったな…。
    今日のわたし変じゃないかな…。)


○○さんに可愛いって思われたくて
今できる最大限のおしゃれをしてきた。


梨香:(早く来ないかな…。
    でも来たらもっと緊張しちゃう…。)


予定の時間の10分前…。


○○:お~い。おぜ!


梨香:あ!○○さ~ん!


○○:おまたせ。早いね。


梨香:今日が楽しみすぎて笑


○○:…なんかいいな。


梨香:え?


○○:私服のおぜ…。すごいおしゃれだね。


やった!


梨香:あ、ありがとうございます!
   そういう○○さんも…か、かっこいいです///


普段、制服の○○さんしか見ていない。
それでいてもかっこいいのに私服の○○さんも
いつも以上にかっこいい。


○○:ありがと!さて、今日はどこ行くの?


梨香:まだ内緒です!付いてきてください!


私達は電車に乗ってあるとこに向かっていた。


――


○○:ここは…。


梨香:はい!水族館です!


○○:もしかしてラジオで俺が行きたいって言ったから?


梨香:そうです!この水族館、
   今年できたばっかりで私も気になってたんですよ!


○○:ありがと。じゃあ入ろっか。


梨香:はい!


私たちはチケットを買って中に入った。



――


梨香:わー見てください!イワシの大群!


○○:ほんときれいだな。


――


○○:もうすぐイルカショーだな。


梨香:早くいきましょ!


――


○○:あはは!あのアシカおもしろ!!


梨香:すごい器用ですね。


――


ひとしきりショーを楽しんだ私達は
ふれあいコーナーに行った。


梨香:あ~ペンギンだ~!


○○:お~いっぱいいる。


梨香:可愛い~!


飼育員:今エサやり体験やってま~す。


梨香:エサやり体験ですって!行きましょ!


○○:あぁ、いいよ。


私たちは飼育員の人からエサをもらった。


梨香:ほらほら~ご飯だよ~


私がエサを見せると沢山のペンギンが来た。


梨香:は~い順番ですよ~


私がエサをあげてる間、○○さんは後ろで見ていた。


ふとした時○○さんが飼育員の女性に話かけられていた。


飼育員:ペンギン可愛いですよね!


○○:はい!とっても。


飼育員:でもやっぱり彼女さんの方が可愛いですかね?


か、彼女!?


まぁ、年頃の男女が2人でいればそう思われるか…。


○○:は、はい。そ、そうですね///



え、否定してない?○○さん、それって…。


でも、○○さんのことだから話を合わせてるだけかな…。


でも、○○さんの顔が少し赤いような…。


飼育員:いいですね!青春ですね!


○○:はい///


やっぱり照れてる?


そんな○○さんを見ていたら、私も顔が熱くなってきた。


――


ふれあいコーナーを出た私たちは
水族館に併設されたビーチを歩いていた。


○○:今日は楽しかったね!


梨香:は、はい!


私はさっきから○○さんと飼育員の会話が
頭から離れずずっとドキドキしていた。


○○:おぜ?


梨香:え!?


呼ばれたので○○さんの方を向くと
15センチくらいのとこに○○さんの顔があった。


○○:大丈夫?なんかぼーっとしてるけど。


梨香:い、いえ大丈夫です!


○○:そっか。ならよかった。


周りを見渡すとカップルが多い。

今の私達もそういう風に見えるのかな…。


いや!そういう風じゃなくてそうなるんだ!

今日○○さんに告白するって決めたんだもん!



梨香:○○さん。


○○:ん?


梨香:改めて、放送部今までありがとうございました。


○○:どういたしまして。


梨香:○○さんとの放送、本当に楽しかったです!


○○:俺もおぜとやれて楽しかったよ。


梨香:それともう一つ…。


○○:?


梨香:私…。




○○さんのことが大好きです。


私を○○さんの彼女にしてくれますか?





○○:おぜ…。


梨香:○○さんとの放送が本当に楽しくて…。
   でも夏休み明けたらもう一緒に出来ないって
   思うとすごい寂しくて…。


○○:…。


梨香:ラジオが好きで放送部に入ったのに最初の方は
   すごい緊張してました。
   でも!○○さんと一緒にやってるうちに
   すごい楽しくなったんです。


○○:ありがと…。


梨香:私気づいたんです。ラジオが好きっていうよりも、
   それ以上に○○さんのことがすきなんだなって。
   だから、私と付き合ってくれませんか?


○○:おぜ…。今までありがとう…。
   そして、これからもよろしく!


梨香:それって…。


○○:うん。俺もおぜのことが好き。


梨香:よ、よかった。


緊張からの解放と○○さんから好きって
言われたのがうれしかったので私は泣いてしまった。


○○:えっ、ちょっ。なんで泣いてるの?


梨香:だって…。嬉しかったんですもん!


○○:ほ~ら!しくしくおぜちゃんも可愛いけど、
   笑ってるおぜの方が好きだよ。


梨香:は、はい!


私は顔を見上げて、精一杯の笑顔を○○さんに向けた。


○○:ふふっ笑 改めてこれからもよろしくね?


梨香:はい!よろしくお願いします!



――



夏休み明け…。


梨香:はい!お昼になりました、
   こちら櫻坂高校青空放送局です!
   夏休み明け一発目の放送です!
   今日の担当は私、尾関梨香です!


梨香:それでは、一つ目のお便りです。
   今私は2年生で付き合って1年になる3年生の
   彼氏がいます。彼は今年受験生で
   中々デートにいけません。
   忙しいのはわかってますが、最近寂しいです。
   どうしたらいいですか?…とのことです。


梨香:う~んそうですね。寂しいかもしれません。
   でもそれは彼氏さんも一緒ですよ!
   でも人生の目標に向かって一生懸命に
   頑張ってると思うので応援してあげましょ!
   でも彼氏さん?少しは構ってあげてくださいね!


――


梨香:そろそろお時間ですね。
   今日も聞いて下さりありがとうございました!
   今日はこの曲でお別れです。
   櫻坂46で偶然の答え。


“絶対運命だって…”


カチャッ


梨香:ふ~


ガラガラ


○○:おぜ。お疲れ様。


梨香:○○!疲れた~。


ギュー


○○:ふふっ笑 お疲れ様。


梨香:ってか○○に会うのも久々だし…。


○○:ごめんな?


梨香:ぶぅ…。


○○:だからさ…。今日、一緒に帰ろ?


梨香:ほんと!?


○○:うん。たまには構ってやらんとな。


梨香:うん!一緒に帰る!



ラジオでずっとパートナーだった○○。


今は私の彼氏。


いつか“人生のパートナー”になるようにがんばろ!



Fin

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