雨降る日のスライドショー

時期は6月、いわゆる梅雨の時期…

和　：ママー！

さくら：どうしたの？和？

和　：おそとであそびたい！

さくら：今雨降ってるでしょ？

和　：むぅ…

さくら：今は我慢だね。

和　：ママそれなにもってるのー？

さくら：写真のアルバムだよ。

和　：みたいみたい！

さくら：じゃあ一緒に見よっか！

和　：うん！

－－

和　：あ、これにゃぎ？

さくら：そうだよ？和が産まれた時だね。

和　：あ！これパパだ！

さくら：そうそう！まだママと結婚する前だね。

和　：へー。

さくら：(〇〇と初めて会ったのも
ちょうどこの時期だったな〜)

－－

さくら：あ、紫陽花！綺麗…

ｶｼｬｯ

カメラを買ったばっかりの私は
いろんな写真を撮っていた。

ﾎﾟﾀｯ

さくら：え！？

サー…

－－

さくら：はぁ…最悪…

梅雨の時期だから仕方ないと思うけど、
傘持ってないしどうしよう…

？？：あの〜もしよかったらこれ使って下さい！

さくら：え？

1人の男性が傘を差し出して来た。

さくら：そ、そんないいですよ！
あなたも濡れちゃうし！

？？：僕はすぐそこに車あるんで大丈夫ですよ！

さくら：で、でも…

？？：しばらく降り続けるみたいですし…

さくら：じ、じゃあお言葉に甘えて…

私は傘を受け取った。

？？：じゃあ僕はこれで！

さくら：ああ、ちょっと！

その人は私に傘を渡すと走って車に向かった。

あまり街で見かけない真っ赤な車だった。

名前も聞けなかったし…傘どうしよう…

－－

数日後…

さくら：あ！あの車！

写真を撮りに２つ離れた駅の街まで来ていた私は
あの傘をくれた人が乗っていた車が止まっている
カフェを見つけた。

さくら：あそこにいるかな…

－－

カランカラン…

？？：いらっしゃいませ！

さくら：あ！いた！

中に入るとこないだ傘をくれた男性がいた。
胸のネームプレートには[〇〇]と書かれていた。

〇〇：ん？あぁこないだの！

さくら：あの日はありがとうございました！

〇〇：いえいえ。大丈夫でしたか？

さくら：はい！

〇〇：ならよかった。

さくら：ここで働いてるんですか？

〇〇：ええ、先月オープンしたばっかりですけどね。

さくら：いい雰囲気ですね！

〇〇：ありがとうございます。何か飲まれますか？

さくら：じゃあ…コーヒーください！

〇〇：かしこまりました。

－－

〇〇：お待たせしました。

さくら：ありがとうございます！

ｽｽﾞｰｯ

さくら：ん！美味しい！

〇〇：お口にあってよかったです。

さくら：そういえば、あの車って〇〇さんのですか？

〇〇：はい。私はコーヒーと車が大好きでして、
休みの日はよくドライブに行きますよ！

さくら：かっこいい車ですね！

〇〇：ありがとうございます。
そういえば…お名前伺ってなかったですね。

さくら：ああ、すみません！
私、遠藤さくらっていいます！

〇〇：遠藤さんですね？
遠藤さんはカメラがお好きなんですか？

さくら：はい！最近買ったばっかりなんですけど
写真撮るのが楽しくて！

〇〇：いいですね！そういった趣味があるって！

さくら：そうだ！
後でこのカフェと車の写真撮っていいですか？

〇〇：ええ、全然構いませんよ。

さくら：ありがとうございます！

私はカフェを出たあと、
カフェの外観と車の写真を撮った。

－－

カランカラン…

さくら：こんにちは！

〇〇：あぁ、遠藤さん！いらっしゃい！

さくら：〇〇さん！これあげます！

〇〇：ん？これは…

私が渡したのはこのカフェと車が
一緒に映った写真を額に入れたもの。

〇〇：よく撮れてますね！

さくら：こないだの傘のお礼にどうぞ！

〇〇：そんなわざわざ…後で飾らせて頂きますね！

さくら：いいんですか！？

〇〇：ええ、いい写真ですからね。

－－

私はコーヒーを頼んでカウンターで
ゆっくりしていた。

〇〇：お待たせしました。

さくら：ありがとうございます！

〇〇：あとこちらサービスのクッキーです。

さくら：いいんですか！？

〇〇：写真のお礼です。

さくら：すごい美味しいそう…

〇〇：そういえば写真はあれからどうですか？

さくら：撮ってはいるんですけど、
同じようなとこばっかりで…。
どっか遠くに行ってみたいんですけどね。

〇〇：あの…もしよかったら
今度の休日に一緒に出かけませんか？

さくら：え！？

〇〇：あぁいえ！
よくドライブに行くところがいい景色なので…。

さくら：は、はぁ…

〇〇：あぁ、もしよければなんで…

さくら：いいですよ！行きましょう！

〇〇：え？

さくら：よくドライブに行く人の方が
そういうとこ行ってそうだし…
むしろこっちこそ連れてって欲しいです！

〇〇：わ、分かりました！

さくら：ふふっ笑　お願いします！

私は連絡先を交換して店を出た。

さくら：あ、待った。

流れでオッケーしたけどこれって…デート！？

どうしよう…デートなんて行った事ない…

やばい緊張して来た…

〇〇さんはかっこいいし、優しいし…

思い浮かべたら、顔が熱くなって来た。

これって、もしかしたら…

－－

お出かけ当日…

さくら：あ〜やばいやばい。

昨日はなかなか寝付けなかった。
すごい緊張してるのが自分でもわかる。

さくら：とにかく…平常心でいないと。

ブーーン…

〇〇：すいません！お待たせしました！

さくら：あ、いえ！大丈夫ですよ！

〇〇：それじゃ行きましょうか。

さくら：はい！

－－

〇〇さんの車に揺られる事、1時間。
着いたのは海が一望できる高台だった。

さくら：わ〜！きれい！！

〇〇：ですよね！

ｶｼｬｯ、ｶｼｬｯ

私は無我夢中で写真を撮っていた。

〇〇：どうですか？

さくら：はい！いいのが撮れてます！

私はカメラの画面を見せる。　

〇〇：どれどれ？

さくら：！？

〇〇さんがカメラの画面を覗き込む。

ち、近い…

〇〇：うん！すごい綺麗ですね！

さくら：あ、ありがとうございます///

〇〇：ん？どうしました？

さくら：い、いえ…
あ！そうだ、〇〇さんも撮りますよ！

〇〇：え？いいんですか？

さくら：はい！
車と一緒に撮りますんで、並んで下さい！

〇〇さんが車の横に立つ。

さくら：じゃあ撮りますよ〜！

ｶｼｬｯ

さくら：オッケーです！

〇〇：どうですか？

さくら：いい感じですよ！

〇〇：…うん！いいですね！

さくら：後で写真あげますね！

〇〇：ありがとうございます！
さて…そろそろお腹空きません？

さくら：そうですね…

〇〇：じゃあご飯食べに行きますか？

さくら：はい！

－－

ブーーン…

ﾎﾟﾀｯ

さくら：あ、雨…

〇〇：降って来ましたね…

さくら：せっかくのお出かけなのに…
雨ってなんか好きになれないんですよね…

〇〇：でも僕は雨の運転も嫌いじゃないですよ？

さくら：そうなんですか？

〇〇：こうなんて言うんですかね…
雨の音で周りの音が遮断された
静かな感じがいいんですよね。

さくら：なんか…大人ですね…

〇〇：そうですかね…

さくら：でもなんかイメージ通りですね。
こう…落ち着いた雰囲気とかカフェと一緒で…
好きです！

〇〇：え！？

さくら：え！？あ、いやっ！
カフェが通いやすくていいな〜っていう…

〇〇：あー…そ、そうですよね！

さくら：あはは…

危ない…つい言っちゃった〜

言う時はもっとちゃんとした時に…  
でも〇〇さんの顔も赤いような…

その日はご飯を食べて解散になった。

－－

カランカラン…

〇〇：あ、遠藤さん！いらっしゃいませ！

遠藤：こ、こんにちは！

〇〇：いつものでいいですか？

遠藤：はい！

なんだろう…なんか遠藤さんの様子がおかしい…

〇〇：お待たせしました。

さくら：ひゃい！

〇〇：？

なんか…緊張してる？

にしても…遠藤さんて綺麗な人だよな…
コーヒー飲む姿も絵になるし、喋ってて落ち着くし…

さくら：ま、〇〇さん！

〇〇：はい？

さくら：これ…こないだの写真です！

〇〇：あぁ、いつもありがとうございます。

さくら：それと…

〇〇：はい？

さくら：い、いえ！なんでもないです！
ちょっとこの後用事があるので！

〇〇：あ、はい…。いってらっしゃい…。

カランカラン　

〇〇：なんだったんだろう…

僕は遠藤さんからもらった紙袋を開ける。

〇〇：ほんと、よく撮れてるな…

ﾊﾟﾗｯ

〇〇：ん？

袋から何か落ちた。

〇〇：手紙…か。

ﾊﾟﾗｯ

"〇〇さんへ

突然のお手紙すみません。

まず改めてあの時の傘ありがとうございました。
本当に助かりました。

正直、あの時に〇〇さんのこと聞いてなくて
どうしようと思ってました。

でも、不意にここのカフェの前を通りかかって
〇〇さんの車を見てもしかしてって思いました。

実際に入ってみたら、すごい落ち着いた雰囲気で
いいカフェだなって思いました。

〇〇さんも話してみると話しやすい方でした。

そして…いつの間にか…
〇〇さんのことが好きになってました。

こないだ一緒にお出かけした時、
緊張してましたけどこの時間がずっと続いて欲しい。

そう思ってました。

だから…私を〇〇さんの彼女にしてくれませんか？

お返事はすぐじゃなくてもいいです。

待ってます。

遠藤さくら"

〇〇：遠藤さん…

－－

さくら：はぁ…読んでくれたかな…

結局直接伝えられなくて手紙にしたけど…

そういえば…〇〇さんて彼女とかいるのかな…

確認しないで渡しちゃったけど…
もしいたら…迷惑だったかな…

ブーーン…

さくら：あれっ？この音…

ｷｷｰｯ

〇〇：遠藤さん！

さくら：〇〇さん！？

〇〇：手紙…読みました。

さくら：そ、そうだったんですね！
わざわざすいません！

〇〇：その…嬉しかったです！

さくら：あ、ありがとうございます！
あ、でももし彼女さんとかいたr…

〇〇：よろしくお願いします！

さくら：ふぇ！？

〇〇：僕も遠藤さんと話してる内に
もっと一緒にいたい…そう思ってました！
だから…よろしくお願いします！

さくら：…はい！

こうして私達は付き合う事になった。

－－

和　：ママーこのしゃしんは？

さくら：あ！これはパパとママの結婚式の写真だよ！

和　：ママすごいきれい！おひめさまみたい！
パパもかっこいい！

さくら：ね！パパかっこいいよね！

－－

さくら：何度ここ来てもいい景色だよね！

〇〇：ほんと何回来ても飽きないよ。
…さくら？今日何の日か覚えてる？

さくら：もちろん！今日は付き合った記念日だよ！

〇〇：まぁ、忘れるわけないか。

さくら：今日で2年か…

〇〇：それでさ…

さくら：え？

〇〇が後ろから抱きついて来た。

さくら：どうしたの？

〇〇：さくら…

"僕と…結婚して下さい。"

さくら：うん！よろしくお願いします！

－－

和　：このしゃしん！すごくきれい！

和が指差した写真はプロポーズの直後に撮った写真。
あの高台で〇〇の車と私達2人が写ってる。

さくら：この場所はね？
パパとママのお気に入りの場所なんだ。

和　：このしゃしんのパパとママ。
すごいたのしそう！

さくら：うん！そうだね！

和　：にゃぎ！ここいきたい！

さくら：じゃあパパにお願いしよっか！

和　：うん！

ｶﾞﾁｬｯ

〇〇：ただいまー

和　：パパー！

ギュッ

〇〇：和、ただいま。

和　：おかえり！

さくら：おかえりなさい、〇〇。

〇〇：ただいま。

和　：パパ！
にゃぎ、あのしゃしんのところいきたい！

〇〇：写真のところ？

さくら：あの高台だよ。

〇〇：そっか、和はまだ行った事なかったか。

和　：ねぇパパ、だめ？

〇〇：ううん、今度の休みに行こっか！

和　：やったー！

－－

和　：💤

〇〇：和、寝ちゃったか。

さくら：家でずっと「おそといきたい！」って
騒いでだからね笑

〇〇：いつもありがとうね。

さくら：ううん！大丈夫！

〇〇：さくら…

ﾁｭｯ

さくら：！？

〇〇：大好きだよ。

さくら：もう///不意打ちはずるい！

〇〇：あはは笑

さくら：もう…。

〇〇：結婚してくれてありがとう。

さくら：こちらこそ！

その後、〇〇のカフェとリビングの1番見えるところに
あの高台で3人の笑顔が映った写真が飾られました。

Fin