見出し画像

駆け抜ける坂道 Sector11

駆け抜ける坂道 Sector11<勧誘>




小林:君のセンスが欲しい。

○○:…!?

小林:○○くんの走りを見た時、
   そして一緒に走って思った。
   君と組めば夢に近づけるってね。

○○:そんな…。買いかぶりすぎですよ。

小林:ううん。そんなことないよ。
   実際、君は私の連勝記録を止めた男だからね。
   自信もっていいよ。

○○:でも…。

小林:それにこれは私の計画だから、
   それなりに見返りはだせると思う。

○○:見返り?

小林:君は昔カートで培った技術と驚異的なセンスで
   今走ってる。
   でもそれだけだと限界が来る。
   そこで私が君に理論を教える。

○○:理論…。

小林:君のセンスに私の理論が加われば
   完璧なドライバーになれる。

○○:完璧な…ドライバー…。

小林:ここまで話しといてあれだけど…君の夢って何?

○○:僕の…夢…。

小林:まぁうちの大学にいるってことは
   車関係だとは思うけどね。
   でもここでの経験は無駄にしないって約束する。

○○:…。

小林:一緒にやろう。返事は今すぐにじゃなくていいよ。
   でも、いい返事を待ってる。

○○:はい…。

――

次の日…

○○は菅井達と昼食を食べていた。

菅森土田:えぇーーー!!


菅井:神本くんが…。


森田:由依さんのチームに…。


田村:誘われた!?

○○:はい…。

森田:すごいビッグニュースだよ!!

田村:さすが“櫻神峠の白い彗星”やな!

○○:は、はぁ…。

菅井:それで?入るの?

○○:それが…まだ迷っててさ…。

田村:なんでなん!?

森田:入りなよ!!

菅井:なんで迷ってるの?

○○:だって僕が走り始めたのなんてついこないだだし、
   バトルなんてまだ全然…。

田村:でも、それを教えてもらえるんやろ?

○○:そうなんですけど…
   小林さんの夢ってのがあまりに壮大で
   僕につとまるのか不安で…。

森田:由依さんの夢?

○○:“誰にも破れない伝説を作る。
   そして本格的にモータースポーツに
   羽ばたいていく”
   小林さんはそう言ってた。

菅井:誰にも破れない伝説…。

○○:だからその重大な役割が僕でいいのかなって…。

菅井:神本君…。

――

その日の夜、櫻神峠…

○○は峠の麓にある湖のほとりにいた。



“君の夢って何?”



○○:俺の夢…か。

○○はそう呟きながらスマホで
自分の昔の記事を見ていた。

○○:この頃はレーシングドライバー
   目指してたんだっけ…。

○○は空を見つめた。

○○:母さん…俺はどうしたらいい?

――

小林エンジニアリング…  



理佐:ゆいぽん?

小林:ん?

理佐:あの“夢の計画”の話って本気なの?

小林:本気よ。

理佐:でもいいの?

小林:何が?

理佐:あんなにドライバー目指してたのに…。

小林:前にも話したと思うけど、
   ○○くんには負けるだろうなって思ってた。
   彼の走りにはオーラがある。

理佐:オーラねぇ…。

小林:だから、今はこの選択肢を選んだことを
   後悔はしてないよ。

理佐:ゆいぽん…。

小林:まぁでも、○○くんがもし断ってきたら
   私が走るけどね。

理佐:実際どう?受けてくれると思う?

小林:思うよ。そう信じてる。
   今から楽しみで仕方ないよ!


――

ある日の櫻神峠…

○○はまた森田や田村と走っていた。

○○:ふぅ~

田村:また負けた…。

森田:もう勝てないよ…。

菅井:タイムもレコードタイム付近で
   安定してきてますしね。

○○:まぁ、小林さんとのバトルで
   なんか掴んだ気がするからね。

森田:くっそ~。○○くん!もう一本!

○○:はい。わかりました。

ブーン…

菅井:ほんとひかるさん、負けず嫌いですね~。

田村:まぁ○○くんに会うまではほとんど
   負けなしで来てたからな。

土生:そう言えばゆっかー。○○くんには話したの?

菅井:何を?

土生:ドラテク教えてほしいって話。

菅井:い、いや。その~まだ~…。

田村:まだ言ってへんかったの?

菅井:だって神本くん、最近悩んでるみたいだし…。

田村:由依さんの件かなぁ?

菅井:おそらく…。

田村:でもあんまりうかうかしてられへんで?

菅井:え?

田村:もし由依さんのチームに入ったら
   忙しくなるやろうし、
   それこそ教えてもらう時間ないかもしれへんで?

菅井:そうですよね…。

――

○○:こうして走ってると、悩んでることを忘れる…。
   やっぱり走ることが好きなのかな?

○○は小林とのバトルで走ったレコードラインを走る。

森田:やっぱり速くない?

――

櫻学院大学キャンパス…

○○:(どうするべきなんだろう…)

○○は大学構内にあるベンチに一人座っていた

森田:いた!

田村:ほら!チャンスやで!

土生:頑張って!

菅井:う、うん…

少し離れたところで○○を発見した菅井達

菅井:じ、じゃあ行ってきます…

森土田:ファイト!

○○:う~ん…

菅井:か、神本くん!

○○:ん?あぁ、菅井さん。お疲れ。

菅井:お疲れ様。どうしたの?ここに座って。

○○:特に何ってわけじゃないんだけど…考え事かな。

菅井:由依さんのこと?

○○:それだけじゃないんだけどね。
   小林さんに言われたことが引っかかってね。

菅井:何言われたの?

○○:“君の夢って何?”ってね。

菅井:神本くんの夢?

○○:改めて考えると何だろうって。
   バトルとかする前は親父の工場を
   継ぐことだったけど今は本当に
   そうしたいのか分からなくなってる。

菅井:…。

○○:ところで…菅井さんだけ?
   土生さんとかと一緒じゃないの?

菅井:あ、うん…。実は○○くんに
   その…お願いがあって…。

○○:俺にお願い?

菅井:うん、その~…



私にドラテクを教えてください!!



○○:俺に…ドラテク?

Next sector…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?