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「異種金属接触腐食」って何?

今回はHOW TO記事です!
日ごろ使っているものでも、意外と知らないことがあると思います。
そんなときに使える基礎知識なので、読んでみてください!!

「異種金属接触腐食」と呼ばれる腐食があります。「ガルバニック腐食」とも言ったりします。異種金属接触腐食とは、異なる金属が接しているとどちらかの金属が一方的に腐食してしまう現象のことを言います。

鉄の腐食

例えば、0.05wt%の食塩水に浸漬させた鉄の板は28日後にこれくらいさびます。普通に腐食しています。

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ステンレスと接触した鉄の腐食

ところが、同じ(左側)の板でもさびにくい金属のステンレスの板 SUS430(右側)に接触した状態では、下の図のように鉄の腐食は促進され、さびが進行してるのがわかります。

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(ここでいう接触は“電気的に接触”なので、それぞれの板の背面に銅線をはんだ付けしてつなげています。)

簡単に言うと、異種金属接触腐食とは接触する2種類の異なる金属のうち、さびやすい金属がさびにくい金属の「さびようとする力」を取り込んでさびが加速的進行してしまうイメージです。上の写真の場合、鉄の「さびようとする力」とステンレスの「さびようとする力」がすべて鉄に集中し、鉄の腐食が促進されたということになります。またステンレスの表面積が大きいほど、「さびようとする力」は大きくなります。

亜鉛と接触した鉄の腐食

逆に鉄がよりさびやすい金属と接触していた場合を見てみましょう。ステンレスを亜鉛という鉄よりもさびやすい金属に変えて同じことをしてみました。
すると、亜鉛(右側)がさびて、鉄(左側)はさびていません、鉄の腐食が抑制されています。(亜鉛のさびは白いです。)

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亜鉛が鉄の「さびようとする力」を取り込んで鉄の代わりにさびてくれたのです。これを犠牲防食(ギセイボウショク)といいます。亜鉛が鉄の代わりにさびてくれた、犠牲になってくれたという意味合いです。犠牲防食は異種金属接触腐食のひとつです。

まとめ

繰り返しになりますが、異種金属接触していて、さびやすい金属だけが腐食する現象を異種金属接触腐食と言います。

今回実験に使った金属のさびやすさの順序はさびやすい方から、亜鉛、鉄、ステンレスの順です。さびやすさは一般にイオン化傾向で表されます。(ステンレスは載ってないけど…。)

もう一度今回の実験結果を見てみましょう。

[鉄] 普通に腐食します。
[ステンレスが接触した鉄] 鉄の腐食が促進される。☆ステンレス = 鉄よりさびにくい
[亜鉛が接触した鉄] 亜鉛がさびて、鉄の腐食が抑制される。 ☆亜鉛 = 鉄よりもさびやすい

さびやすい方の金属が腐食しており、異種金属接触腐食という現象が確認できました。

次の記事では、ローバルを塗布して異種金属接触腐食を防ぐことをやってみたいと思います。

続く♪


(記事担当:MTMTH)

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