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ガソリンタンクのさびを止めたいのですが、どの“塗る亜鉛”がいいですか?


質問:「ガソリンに触れる部分のさびを止めたいのですが、塗装できる塗料はありますか?」

よくお問い合わせを頂戴する上の質問にお答えします。
回答:「エポローバルと水性ローバルは耐ガソリン性能があり、検討いただけます。両者ともに常温亜鉛めっきに該当し、一般さび止め塗料より高い防錆効果が期待できます。」

以下のような実験結果から、エポローバルと水性ローバルが塗装できると判断しています。

実験する塗料

以下のローバル、エポローバルと水性ローバルの塗膜についてガソリンと軽油に触れたらどうなるかを確認してみたいと思います。

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実験する液体

ガソリンと軽油について確認します。

ガソリンと軽油

実験その1 ラビングテスト

スポイトで液を塗膜に滴下し、30秒ほどしてからウエスで擦ります。塗膜が健全な状態を維持できるかを見ます。

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実験はこんな感じです。ローバル塗膜はガソリンによって溶解してしまっています。ガソリンによるラビングテストの結果は以下のようになりました。

ガソリンラビングテスト

ローバル塗膜は溶解していますが、エポローバル塗膜と水性ローバル塗膜は健全な状態です。

続いて、軽油によるラビングテストの結果は以下の様になりました。

軽油ラビングテスト

いずれの塗膜も溶解はしていませんが、ローバルは擦ったところが剥がれてしまっています。エポローバル塗膜の中心部が若干色が変わっているように見えますが、擦ったことによって光沢が出てきたもので塗膜異常ではありません。逆に光沢が出るほど強く擦っても剥がれなかったということです。

実験その2 浸漬試験

それぞれの塗料の塗り板を2枚ずつ、ガソリンと軽油に浸漬させます。1枚を底面に、1枚を壁面に立てるようにしてあります。

浸漬試験

78日間浸漬させました。塗膜は取り出し時にわざと塗膜を触り、下の写真のように指でグッと握ってから取り出しました。

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ガソリン浸漬78日経過後は下の写真のような状態です。ローバル塗膜は液中で崩れています。エポローバルと水性ローバルは健全です。

ガソリン浸漬 液

取り出して、乾燥させた塗膜は下のような状態となっています。ローバル塗膜のガソリン浸漬部分は溶解してなくなっています。エポローバルと水性ローバルは健全です。

ガソリン浸漬 塗膜

続いて、軽油浸漬浸漬78日経過後は下の写真のような状態です。エポローバルと水性ローバルは健全な状態で、ローバルも見た目は健全なように見えます。

軽油浸漬 液

取り出してみると、ローバル塗膜は指の痕ができてしまい、健全な状態とは言えない状況でした。ローバル塗膜は軽油によってやわらかくなってしまった印象です。一方で、エポローバルと水性ローバルは健全です。

軽油浸漬 塗膜

実験結果まとめ

実験まとめ

ローバルはガソリンと軽油に耐えらない、エポローバルと水性ローバルがガソリンと軽油に耐えられるという結果になりました。

2つの製品は耐溶剤性のある上塗りに対応した製品です。ガソリンと軽油は油の一種で、溶剤も大きな枠で油の一種です。エポローバルと水性ローバルは耐油性があると言えます。

今回の実験では試しておりませんが、厚膜ローバル、ローバルシルバー、ローバルアルファ、ALMZ、ecoシリーズとカバーシリーズはローバルと同じような結果になると思います。

ガソリンや軽油に触れる部分には、エポローバルか水性ローバルをご検討ください。ちなみに、ガソリンタンクの内部にエポローバルを塗ったという事例はよく聞きます。

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この結果はひとつの実験結果にすぎません。必要とされる耐ガソリン性能や耐軽油性能があるかどうか、それぞれご判断いただけますようよろしくお願いいたします。

ガソリンに耐えられるエアゾールタイプ(スプレータイプ)の製品はないの?

エアゾールの製品は使い勝手が良いので、エアゾールの製品が欲しいという声はあるかと思います。しかし、残念ながらガソリンに耐えられる製品はありません。

エアゾールには塗料を噴出させる噴射剤が入っています。噴射剤と溶け合う塗料でないとエアゾール化はできません。噴射剤と溶け合う塗料の塗膜は、通常ガソリンに溶解してしまいます。

ローバル製品使用時の注意点

ローバル製品は直接清浄な鉄面に塗ることでさび止め効果が出ます。

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赤さびの上に塗ると、さび止め効果が出ないだけでなく、塗膜の下の赤さびからはがれてしまう懸念もあります。さびを落としてから塗ってください。

動力工具が使えないタンクの中のさびは『タンク・クリーナー』というものを使ってさびを落としている方が多いようです。(弊社では試したことがありません。)

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ローバルもモーター撹拌推奨の商品です。エポローバルはローバルよりも亜鉛粉末が沈殿がしやすい傾向にあり、水性ローバルは塗料液に亜鉛の粉末を使用時に混ぜ込むタイプの塗料になり、両者ともに大きな撹拌力があった方が安心です。エポローバル、水性ローバルともに動力撹拌機による撹拌をお願いします。

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付着する亜鉛の量でさび止め能力が決まります。薄く延ばさないようにお願いします。

(記事担当:MTMTH)


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