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水性ローバルを塗っていたら、刷毛が固まってしまいました。どうしてですか?

頂いた上記のご質問にお答えします。
「刷毛には水性塗料に対応したものと対応していないものがあります。水性塗料に対応していない刷毛で水性塗料を塗装すると、固まってしまう恐れがあります。水性塗料には適さない刷毛を使ってしまったため、塗装作業中に刷毛が固まってしまったものと思われます。水性ローバルには水性塗料に対応した刷毛をお使いください。」


刷毛の材質

刷毛の材質は大きく分けて3つあります。
・獣毛:動物の毛を使ったもの。山羊毛、馬毛、豚毛等。
・化繊毛:化学繊維を使ったもの。ナイロン、ポリプロピレン等。
・混毛:獣毛と化繊毛の両方を使ったもの。
があります。

水性ローバルには水性塗料に適した刷毛をお使いください。

一般に水性塗料には、化繊毛の刷毛がお勧めとされています。混毛でも「水性塗料に使える」と書かれた刷毛もあります。

水性ローバルは水性塗料です。水性ローバルには、水性塗料に適した刷毛をご選定ください。

水性塗料に適さない刷毛を水性ローバルに使ったら、どうなるの?

材質の異なる刷毛を水性ローバルに使ってどうなるかを見てみます。試すのは、以下の4つの刷毛です。

A. 化繊毛 100%
B. 混毛 (山羊毛、化繊毛比率不明)
C. 混毛(山羊毛30%、化繊毛70%)
D. 山羊毛 100%

実験に用いた刷毛たち

刷毛を水性ローバルに漬けながら、5分おきに塗装をしてみて、何かおかしなところがないかを見ていきます。

実験風景

実験の結果は下の写真の通りです。水性ローバルの可使時間は、12時間です。一番下の20時間は、実験した翌日の朝、刷毛の状態を見た結果になります。可使時間の12時間を過ぎていますので、20時間も経過した水性ローバルは使わないでください。

水性ローバルと刷毛 実験結果

A. 化繊毛 100%
 → 柔らかい状態。
B. 混毛 (山羊毛、化繊毛比率不明)
 → 少し固くなった気もするが、問題なく使える状態。
C. 混毛(山羊毛30%、化繊毛70%)
 → 少し固くなった気もするが、問題なく使える状態。
D. 山羊毛 100%
 → 固まってしまって、塗装が困難な状態。

固まるというのは、刷毛を洗わずに乾かしてしまったような感じです。刷毛のせいで固まるという認識を持っていないと、この塗料は乾くの速いな~と感じると思います。

固まってしまった刷毛は写真のように毛先が広がらなくなってしまいます。

固まっていない刷毛と固まってしまった刷毛との違い

固まってきている刷毛を使い続けると、固まった塗料が刷毛から取れて、ブツになったりすることがあります。

塗膜ブツのイメージ

乾燥しても、ブツはそのまま残りますので、刷毛を交換した方が良いです。

獣毛で固まってしまう原因を考える。

ここに書いてあるのは、考察です。あくまで考えなので、ご注意ください。

獣毛はタンパク質からできています。タンパク質はアミノ酸がつながったペプチド結合があり、獣毛の表面は極性があると思われます。またタンパク質はアルカリ性に弱いとも聞きます。

一方で、水性塗料には樹脂エマルションが入っています。樹脂エマルションは電荷の強いものがあると、電荷の強いものとつながって、エマルションが壊れて、樹脂が析出してしまうことがあります。
また一般に水性塗料は、アルカリ性であるものが多いです。

明確にどんなことが起きているかはわかりませんが、獣毛上の極性と樹脂エマルションが相互作用して、エマルションが壊れて、樹脂が析出する。もしくは、水性塗料のアルカリ性がタンパク質を攻撃して、獣毛表面の極性が増加し、その極性が今度は樹脂エマルションを攻撃して、樹脂が析出してしまうというようなことが考えられます。

今回の実験でも、刷毛を水性ローバルに一晩漬けておいても、刷毛が固まっただけで、水性ローバルの塗料全体が固まるようなことは起きませんでした。

より良い塗装感をお求めの方は化繊毛の刷毛の方が良いです。

一般に水性塗料には化繊毛の刷毛が適しているとされています。水性ローバルも同様です。今回の結果では、獣毛が入った水性兼用刷毛も使える感じでした。ただ化繊毛の刷毛の方が柔らかさを持続できたので、より良い塗装感をお求めの方には、化繊毛のものをお勧めします。

(記事担当:MTMTH)


本記事はひとつの実験結果をご紹介している記事になります。全ての水性塗料向け刷毛で問題が起きないことを保証するものではありませんので、ご理解よろしくお願いいたします。

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