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グアテマラ/マタケスクイントラの事件の詳細、その背景について【経過追記】その③

こんにちは、ROUTEMAP COFFEE ROASTERS です。

その②に続きまして、今回の内容は、引き続き第1回コンサルテーションプロセスの協議内容と、グアテマラ議会による最高裁判所の再編成について、そしてそれによる今後の協議への懸念事項について書いていきます。

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前回の内容から、グアテマラの憲法裁判所は鉱山会社Pan American Silver社に対し、鉱山の開発を再開するには先住民Xinka族に対して透明性や合法的なプロセスを提示し、それを完了しなければならないとして判決を下しました。

Xinka族はじめ、マタケスクイントラ地域の住民、特にコーヒー農園を所有している人々にとっては喜ばしく、先住民の主張を汲み取った結果となりました。

しかし、グアテマラ政府議会は5月初旬に最高裁判所の改編を行ったことから、今後の協議において、「鉱山の現所有者であるPan American Silver社とその子会社Minera San Rafael社による汚職、不当な主張が通ってしまうのではないか」という不安がXinka族内で不安視されています。


1)今後の協議への影響…過去の汚職疑惑

グアテマラ議会は、同国の憲法裁判所の改編に着手したことについて、「汚職や不処罰との戦いに重大な影響を与える可能性のある決定において、新しい判事と補欠判事を選ぶ」と発表し、最高裁判所は新たに判事1名、補欠判事5名を任命しました。

しかし、グアテマラ議会に任命された判事たちは、過去に税金の違法還付、政治的迫害など過去に大きな汚職スキャンダルを起こした人物が任命されているとのことでした。

〔税金の違法還付で逮捕されたニュース〕

現エネルギー・鉱山大臣のAlberto Pimental Mata氏は第一回の協議後の会見で「今回の事件に関わる全ての当事者が、良好な態度のまま相違点の解決に臨んでいた。非常に良い傾向が見られた協議であった」と述べているが、裁判所の人事改編の背景で、今後の協議プロセスに「誠実さ」が失われないかと心配する声が上がっています。


2)今後の協議プロセスの「鍵」

第1回コンサルテーションプロセスの協議内容において、最も重要なポイントとして挙げられたのは、文化的・精神的影響を調査するチームのリーダーとして任命されたクラウディア・ダリ医師の動向についてです。

前回の記事に書いた内容にもあるように、先進企業が文化的、歴史的に資産価値があり、先住民が保護活動を行っている地域を開発する際には必ずその地域を開発する際に「文化的・精神的影響の調査」を行う必要があります。

今回の調査リーダーの任命について、Xinka族の議員Alex Reynoso氏(マタケスクイントラのFINCA PALO DE QUINAコーヒー農園主。こちらをクリックすると彼についての詳細がご覧いただけます。)は彼女についてこう言及しています。

"She is the best the country has, and she knows a lot about the Xinka people. She's lived in most remote communities in the Xinka region to study the culture in the past. The only thing that worries us is if she gives in to the pressure that the government will surely make, and the oligarchs of the country to give a report very simple in place of what has really been damaged by Minera San Rafael"

[日本語訳]“彼女は、この国の最高の人材であり、Xinkaの人々についてよく知っています。彼女は過去に文化を研究するために、Xinka地域の多くの遠隔地区に住んだことがあります。ただひとつ心配なのは、彼女が政府やグアテマラ国のオリガルヒ(寡頭政治における支配者のこと)たちのの圧力に屈し、Minera San Rafael社によって受けた被害を実際よりも非常にシンプルな内容に報告書に仕上げ、提出してしまうのではないかということだ。”


ダリ医師はXinkaの歴史や伝統をよく研究し、深い理解を得ている重要人物と彼は述べていますが、グアテマラ政府と鉱山企業の圧力に彼女が屈してしまうのではないかと警戒もしています。

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多くの発展途上国の政府と、資金を潤沢に蓄えた先進国の企業は、どこの国においてもお互いの利益ばかりを追求する傾向があります。そこには現地民の事情などは含まれていないままです。

コーヒーだけでなく、国内で安く売られている外国産の製品。例えば洋服や、文房具、フルーツなど。

広告でよく見られる現地の人たちの笑顔が撮られている写真も、実際には企業イメージの宣伝のために使われていることが多く、生産される製品に対して背景を深掘りして行かない限り、現地の人たちと消費者では製品に対する認識にズレが生じてしまうです。

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3)Don Miguel Rodríguezの言葉、今後の協議について

グアテマラの政治・司法の最高レベルで汚職の脅威にさらされ続けている限り、現在でどのような状況にあるのか、その都度何が起きているのかを認識し共有することが、今後の競技において重要なポイントとなります。

Don Miguel Rodríguez氏(マタケスクイントラ、Quebrada Onda農園のコーヒー生産者)はこの点について以下のように言及しています。

"It's a little hard for us because the truth is the government has always put and are now putting into all of the Ministries people that go against the Indigenous population. We have this problem that what they're looking for is to eliminate the right of consultation by saying the international conventions don't have validity. They put in the majority of the ministries people in favour of this position, that are always in favour of the corrupt that do things with talking with the Indigenous population. We believe that legally we will have to come out victorious in this but as we know there always exists the power of force that the large business owners have here in Guatemala. We know it's not easy because they look to criminalize all those who lead the Resistencia and there are many ways in which they try to intimidate us to make us withdraw."

[日本語訳]
"政府はこれまでも、そして今も、現地先住民の抗議に反対する人たちのみを選定し参画させているので、私たちに対し非常に厳しい状況が続きます。政府側が求めているのは、国際条約には効力がないと主張し、協議権をなくすことなのです。

彼らは省庁の権力ポストにこの立場を支持する人々を配置しました。彼らは常に、先住民との話し合いをせずに物事を進める腐敗政策に賛成しています。

法の下では先住民側が勝つはずの状況にあるのですが、ご存知の通り、グアテマラには大企業の経営者たちが持つ力が常に存在します。彼らはレジステンシア(Xinka族の抗議グループのこと指す)を率いている人たちを犯罪者にしようとしているし、私たちを脅迫し、撤退させようとする方法もたくさんあるため、簡単ではないことはわかっています。”


"But we're in the battle and we ask of God that all will go well, and for those of you outside the country I ask that you give us a hand in going against what this mine is doing to our environment and the natural resources and all the laws they are breaking. Really, they won't leave us in peace and they are finishing our natural resources. We're going to continue fighting until we see where we end up. We hope the government of Canada can also realize what they're doing and what is happening here in Guatemala - they haven't done it legally and they haven't consulted us. We hope you can publish this in all your means of communication, all that is happening here in Guatemala. There is a lot of fear but we won't give up because of that."

"しかし、私たちは抗争の最中であり、すべてが良い結果となるよう神に祈っています。また、国外の皆さんへ、この鉱山事業において、彼らが破っているすべての法律、そして私たちの生活環境や天然資源に対し彼らが犯している事を反対するため、どうか、私たちに手を差し伸べてください。

彼らは私たちから平和を遠ざけ、私たちの所有する天然資源を終わらせようとしているのです。私たちは結末を見るまで戦い続けるつもりです。カナダ政府にも、自分たちがやっていること、そしてここグアテマラで起きていることを理解してほしい。

グアテマラで起きていることを、すべての通信手段で公表してほしい。多くの恐怖心があるが、私たちはそれで諦めたりはしない。”

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第2回目の協議セッションは6月22日開催。

ダリ医師による初回の調査結果と、提出されたデータを評価する独立オブザーバーの選定を検討することです。


こちらの日本語訳も、協議結果が発信され次第SEMILLA COFFEEとコンタクトを取り、順次投稿いたします。

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