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グアテマラ/マタケスクイントラの事件の詳細、その背景について【経過追記】その②

こんにちは、ROUTEMAP COFFEE ROASTERSです。

その①から引き続き、現在グアテマラのシンカ族とカナダの鉱山会社Tahoe Resourcesとの間で行われたコンサルティングプロセスの協議内容と経過報告となります。

前回までの詳細は過去の記事からご覧ください。

マタケスクイントラの構想についてはこちらからどうぞ。


1)第1回コンサルテーションプロセスの内容

今回の協議は、シンカ族の国会議員59名、エネルギー・天然資源大臣とカナダの鉱山会社であり現エスコバル鉱山所有者のPan American Silver社との、鉱山事業の今後についての解決、そして地域住民の文化的・精神的影響を調査するチームを任命するために開かれました。

従来では、このコンサルティングプロセスは、エスコバル鉱山の元所有者Tahoe Resources社が鉱山事業を開始するために、シンカ族と行わなければならない協議でした。

The process of consultation is an extremely important concept in the context of managing an organisation. Organisations exist to create value for stakeholders and consultation is a process by which the management of the organisation aims to better understand the needs, wants and expectations of stakeholders, so that value can be created.

“コンサルテーションのプロセスは、組織を管理する上で非常に重要な概念である。組織はステークホルダーのために価値を創造するために存在しており、コンサルテーションとは、組織のマネジメントがステークホルダーのニーズ、要望、期待をよりよく理解し、価値を創造できるようにするためのプロセスである。”

※「ステークホルダー」は資産的、伝統的な価値があるものを所有する側のことを示しており、つまり今回のケースの場合は、マタケスクイントラ地域の先住民であるシンカ族を指します。

このように、コンサルテーションプロセスは国際法、特に「先住民の権利に関する国連宣言」(UNDRIP)によって求められているもので、先住民が自分たちの伝統的な土地で開発を行う場合には、事前に協議しなければならないとされています。

"States shall establish and implement, in conjunction with indigenous peoples concerned, a fair, independent, impartial, open and transparent process, giving due recognition to indigenous peoples' laws, traditions, customs and land tenure systems, to recognize and adjudicate the rights of indigenous peoples pertaining to their lands, territories and resources, including those which were traditionally owned or otherwise occupied or used. Indigenous peoples shall have the right to participate in this process."(Semilla Coffee)

"国家は、関係する先住民と協力して、先住民の法律、伝統、慣習、土地保有制度を正当に認めた上で、公正、独立、公平、開放的かつ透明性のあるプロセスを確立し、実施しなければならない。これは、伝統的に所有されていたもの、その他の方法で占有または使用されていたものを含む、先住民の土地、領土、資源に関する先住民の権利を認識し、裁定するためである。先住民族は、このプロセスに参加する権利を有する。"


この協議が正式に行われなかったため、地元のカトリック教区はさまざまなシンカ族のコミュニティと人民投票を開きました。

そして、90%以上の地元民による反対票を獲得し、今回の協議においてエスコバル鉱山の開発は「No」であると突き付けたのです。

先住民シンカ族による、エスコバル鉱山開発への平和的な抵抗の結果、グアテマラ憲法裁判所はシンカ族に賛同し、今後鉱山を使用する際には、この合法的で透明性のあるプロセスを完了することをTahoe Resources社(Pan American Silver社)に対し要求しました。


2)不当な影響への懸念

グアテマラ憲法裁判所が協議内で、このような決定を下したことはもちろん喜ばしいことですが、シンカ族側ではこの協議結果から、鉱山の現所有者であるPan American Silver社とその子会社Minera San Rafael社によるさらなる不当な主張、悪影響を受ける危険性があると不安視されています。


その背景には、5月初旬のグアテマラ議会による、憲法裁判所の改編にがあったことが基となります。

憲法裁の改編では新たに判事、補欠判事(各5名)を任命したとありますが、なぜこの改編から懸念事項が生まれるのでしょうか。

その③へ続きます。。。

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