最強議論スレについて①
1.最強議論スレ
最強議論スレというものがある。
歴史は古く、その発足は5ちゃんねるがまだ2ちゃんねるだった時代に遡る。およそ20年前だ。
『魔人ブウに勝てるキャラっている?』というスレが発端となり、ネットのオタクたちがこぞって世に知られていないマイナー強キャラたちの名やスペックをあげ始め、そこから『じゃあこいつらの中で一番強いの決めようぜ!!』と昼休みの男子中学生みたいなノリで始まった(というのが筆者の観測する限り、最強スレの始源である)。
そこから漫画やアニメ、ラノベやゲームだけではなく、エロゲ、ギャルゲ、アメコミや古典文学、海外SFから絵本から学習マンガや学術書や哲学書など、聖書を除くさまざまなジャンルからキャラクターの強さを証明しようとネットの強さ議論大好きなオタクたちがこぞって参戦し、ルールの制定、先鋭化、マイナーキャラの発掘やメジャーキャラの強さの見直し、テンプレートの確立や数々の捏造やルールの穴をついた拡大解釈や住民同士の工作、気に入らない作品やキャラに対するネガティヴ・キャンペーンなどの足の引っ張り合いや荒らしによるwiki凍結を得て脈々と今に続いている。まあ今はほぼ死んでるが。 ちなみに聖書が出禁な理由は「あれは現実の出来事でありフィクションではないから」である。これはなんとも合理的な判断というか英断である。リアルアサシン派遣されたらたまったもんじゃないしね。
最も、2024年現在においては完全に下火になっており、5ちゃんねる以外のネットの匿名掲示板の発達によって最強スレ住民たちの共通意識でもあったこれはそもそも飲み屋のバカ話というか便所の落書きであることが最強スレ外に広まったり、ルールの先鋭化が進み続けた結果、これはもう『キャラの強さではなくテンプレで殴り合うディベート・バトルと化している』だの『版権キャラの名前を借りたオリキャラ・カード・バトル』だの散々な言われようから、あっという間に飽きられて熱が引いていった。
しかし、なんだかんだでバカ話としては非常に見応えがあって、20年近い歴史もあるためか正直wikiを眺めているだけで結構面白い。
そもそも『ジャン・クロード・ヴァンダムとシルベスター・スタローンのどっちが強い?』をバカな話をしていると自覚しつつアホ真面目に議論しているわけで、拘泥しすぎなければ見ていて面白くないわけがない。なおこの議論はエクスペンダブルズ2で実現しスタローンが勝ったために決着がついてしまっている。んなアホな……。
今回のnote.では、この最強議論スレについてだべりたい。
面白い部分やつまらない部分、最強スレの功罪や栄枯盛衰の歴史について、筆者の視点から部分部分をつまみ上げていこう。
もちろん、これも飲み屋の酔っ払いのバカ話だと思って読んで欲しい。
2.軽い解説
まず、最強議論スレは結構種類がある。
全盛期において、主なものは以下の4つだった。
・主人公最強スレ
・敵役最強スレ
・全漫画最強スレ
・全ジャンル作品最強スレ
それぞれ簡単に解説していく。
まず主人公最強スレは、わかりやすく『あらゆるジャンルの主人公とされるキャラ』のみが参戦可能なスレだ。
つまり、基本的にはドラゴンボールで言えば孫悟空だし、鬼滅の刃で言えば竈門炭治郎が参戦可能というわけだ。
ただし、最強スレでいう主人公とは作品内外の公式で主人公と定義されているキャラであり、世間一般のイメージする主人公とは少し違っている。
例えば格闘ゲームの場合、当然プレイアブルキャラは全てプレイヤーが操作可能となる。
その場合、特にストーリーモードなどがあると顕著だが、『そのストーリーモードにおいてはそのキャラが主役』と(スレ内ルールで)認定できるのである。
つまり、世界一メジャーな格ゲーの『ストリートファイター』シリーズの場合、世間一般的には主人公兼顔役は間違いなく『リュウ』やアレックスとなるわけだが、主人公最強スレにおいては『やろうと思えばケンだろうがザンギエフだろうが主人公だし、なんならベガや豪鬼だって主人公となる(できる)』のである。
このルールのおかげで、例えば東方projectなんかは歴代のプレイアブルキャラはほぼ全員参戦可能になっており、主人公スレなのに十六夜咲夜や伊吹萃香や蓬莱山輝夜などのお前どう考えても主人公じゃねーだろなキャラが主人公として参戦している。もちろん博麗霊夢や霧雨魔理沙もいるぞ。あれ? 魔理沙って神主じきじきに「脇役」って明言されてなかったっけ……?
ここで既に「最強スレって参戦時点でバカ話じゃねーか!!」と見切りをつけた人は間違いなく正常な思考をしているので安心して欲しい。
次に敵役最強スレだが、これはもう読んで字の通り『作品においての敵、あるいは主人公と敵対したキャラ』の最強スレである。こっちの参戦資格はある意味主人公スレよりわかりやすい。
ただし敵だった状態なら後に味方になるキャラでも敵の時のスペックで参戦可能なので、作品を通した場合コイツ味方だろってキャラがいることもしばしばある。
(例:スレに参戦はしていないがドラゴンボールのベジータとか)
しかし、ここでもルールの穴はしっかり突かれておりンホォォォッ!! らめえ太くてはいらないのお!! 主人公スレとは参戦資格その他のレギュレーションが結構違うために、主人公スレにいるのに敵スレにもいるキャラが結構いる。
主に東方projectのキャラとかアメコミキャラとか。またおめーらか。
次の全漫画スレと全ジャンル作品スレは、全盛期こそ最強スレの花形ではあったものの、こっちは各作品から5人ずつ選抜したチーム戦であり、それが祟ってテンプレを作るのが大変、考察の手間がかかりすぎるなどといった理由から最強スレの中でも真っ先に衰退していった。
漫画スレに至っては比較的早い段階で本スレが完全に落ちて旧wikiが爆散したために今は完全に死んでいる。
ちなみに作品がいわゆるマルチバース(多元宇宙として同一世界観)式の場合は作品間を跨いでキャラを選別可能になるのでマルチバースで同キャラが最強の場合は5人全員が同名キャラになると言った頓珍漢なことになったりする。
(近い例:魔法少女まどか☆マギカの場合
【先鋒】Kriemhild Gretchen(二周目)
【次鋒】Kriemhild Gretchen(四周目)
【中堅】鹿目まどか(ポータブル版)
【副将】鹿目まどか(漫画版)
【大将】鹿目まどか
※全ジャンル作品最強議論スレ【ttps://w.atwiki.jp/goronka/pages/2138.html】からの引用
となる。
下手するとアニメ版やゲーム版などで作品別の自分同士で潰し合いにもなる。ぎゃあ! 自分殺し!!
この他にも非人間キャラの非人類最強スレや脇役キャラのみの脇役最強スレ。男キャラ(女キャラ)最強スレやロボット作品最強スレやラノベ最強スレなどもあったが、現在はほとんど稼働していない。かつて栄えていた最強スレたちに特に哀しくもない現在……。
3.ルール
各スレごとにローカルルールが結構細かく別れているのだが、基本的に一貫しているのは「キャラの性格は考慮しない」「常に最善手を出し合う」「全能キャラは非全能キャラより問答無用で強い」「メタ能力やギャグ描写は考慮しない」ということだろうか。
ここでいう「性格を考慮しない」「常に最善手を出し合う」とは、例えばドラゴンボールの悟空がこの手の議論でよく言われる『かめはめ波で地球破壊して瞬間移動で逃げて相手を倒す』という普通に考えて悟空はまずやらない手を最強スレではやる、ということだ。
この2点が最強スレを既存の、(あるいは与太話的に盛り上がる)強さ議論とは一線を画させているルールであり、同時に最強スレを『キャラのガワを借りたオリキャラ・ディベート・バトル』に仕立て上げている最大の要因であろう。
もうオワカリだろうが最強スレはいわゆる「普通の最強議論」ではない。
ネットの与太話としてキャラクターの強さを参考にする際に、最強スレが参考にできない(ならない)理由としてテンプレの拡大解釈などがよく聞かれるが、最大の要因はキャラの性格や知力、シチュエーションなどをガン無視したシミュレーションとその結果にあると言っても過言ではないだろう。
3-1.最強スレにおける全能
創作キャラクターにおいて、稀に見られる「全知全能」のキャラに関しても、最強スレは独特のルールを敷いている。
まずひとつの結論から言うと、最強スレでは口だけの「全知全能」は一切考慮しない。
「全知全能」という設定があるだけでは、そのキャラは「全能(なんでもできるキャラ)」とは認められないのである。
最強スレにおいて、全能と認められる要因は多数あるが、ポピュラーなのは、
・全能(なんでもできる)と明言された上で現実改変をした描写がある
・際限のない因果律操作などで世界創造や世界の終焉を実際にやったことがある
・世界改変描写のあるキャラが「時間を無視して行動可能」である場合
辺りだろうか。
最後の文章が意味不明に思えるだろうが、解説は後ほど。
これも発端は色々あるのだが、明文化のきっかけはONE PIECEのエネルだろう。
元々は最強スレにおいても設定で全能のキャラは全能と認められていた。
このお陰で当時は設定のみの全能キャラがランキングの最上位層にひしめいており、そういうキャラは軒並みマイナーキャラであったために誰だコイツ? と頭をもたげるランキングであった(まあそういうのも最強スレの醍醐味、楽しい部分ではあるのだが)。
しかし、ONE PIECEのエネルがファンブックにおいて全能の存在と明記されていたことからエネルは全能じゃなくね? とスレ住民たちが疑問を投げやり始める。
補足しておくとエネルはゴロゴロの実の全身雷人間であり、自らをゴッド・エネル=神であると自称している。実際に雷の力を自在に使いこなす超強キャラではあるが、作中で全能的なことは全くしていない。
この一件からルールの見直しが行われて、設定だけの全能(設定全能と呼ばれる)のキャラは全能ではないというルールが制定された。
この辺の事情に関しては、ぶっちゃけ最強スレの気風が強く関係しているので後述する。
ちなみに最強スレにおいて全能キャラの能力は問答無用で相手に勝つ能力に変換される。
つまり全能キャラ対非全能キャラで戦う場合、比べた瞬間に全能キャラが勝っている……ということになる。
これが前述した「全能キャラは非全能キャラより問答無用で強い」という部分に繋がってくるのである。
そのため最強スレにおいても全能キャラ軍団とはある意味隔離スペースである。
参戦キャラの9割以上を占める非全能キャラとはそもそも考察が成り立たないので邪魔以外の何者でもないである。まあ一番議論がヒートアップする連中でもあるんやがなブヘヘヘ
3-2.全能キャラの比べっこ
じゃあ全能vs全能になったら全部引き分けじゃん。
というごく当たり前の話ではあるのだが、それを嫌うのがいい歳して強さ議論に拘泥するオタクたち最強スレ住民なのである。
そこで、全能vs全能の場合は世界観がデカい方が勝つということにしよう! とおそらく石川賢作品かFSS辺りを読んでいたスレ住民が言い出した。
これこそが今に続く全能キャラの比べっこの基本ルールになり、同時に最強スレの寿命を縮める遠因となるのであった(後述)。
さて、そこで求められたのが世界観の大きさはどうやって比べるのか? 問題。
例えば地球規模全能と宇宙規模全能が戦えば、宇宙規模の方が規模がデカいので勝つ。
これはわかりやすいだろう。
宇宙規模全能と多元宇宙規模全能(ようするにたくさんの宇宙で全能)でも、まあ数が多い多元宇宙が勝つよね、という話はわかりやすい。
問題は多元宇宙規模全能vs多元宇宙規模全能である。
要するに「いっぱいある宇宙で全能vsたくさんある宇宙で全能」の戦いなので、やっぱりケリがつかないし、そんな規模を人間ごときが推し測れるワケもないので引き分けになるじゃん! となったのだ。
ここで、最強スレ住民は恐るべき悪魔の発明をやってしまう。
なんと多元宇宙にも個数があることにしたのである。
補足しておくと、これは数学的にはめちゃくちゃな話だ。
いや、数学の世界においても超限数や巨大基数といった、無限数を超える数は研究されている。
しかし、絶対論として有限世界(つまり現実における基礎的な数学)においては無限という数の状態には差異はないとされているのである。
詳しくは「カントールの集合論」などでググってもらいたいのだが、めちゃくちゃわかりやすく言うと無限数には何掛けても何を足しても無限という状態に変わりはないのである。
例えば無限数に無限数をかけても濃度が違うだけの『無限の数の集まり』になるぐらいしか変化しないのである(つまり部分的な濃度、密度は変化するが絶対値は変わらない)。
ところが最強スレ住民はぶっ飛んでいた。
宇宙の無限の集まりを1次多元宇宙(既存の概念で言うところのマルチバース)とし、
その1次多元宇宙が無限個ある状態を2次多元宇宙(マルチバース×マルチバース)にすると言い出したのだ。
これはまさに悪魔の発明であった。
これによって無限数以上を最強スレ的論理で説明可能となり、全能キャラごとに上下関係を作れるようになったワケだ。
ちなみのちなみにこれが行き過ぎた結果、作中でさまざまな特殊能力やフィジカルを披露していてテンプレが細かく愛を感じる上にクソ長い上に難解な文章にも関わらず、『◯◯のキャラが強い理由は世界観がデカいから』とか『こいつには世界観部分以外のテンプレはいらない』と一部キャラたちには身も蓋もない結論がでたりしている。
(例:赤屍さん(奪還屋)の強さの9割9分は世界観、など)
4.常時能力強すぎ問題
さて、これまでで何言ってんだこいつ? と思った最強スレ初心者の懸命な読者の方々には是非コーヒーブレイクを挟んでもらいたい。
なにせ、ここから先の話はもっと頭のおかしい話になるし、もっとわけのわからない話しか出てこないからだ。クールタイムは大事だ。
ここからは、最強スレでは全能を除く中で最強の能力とも名高い「常時能力」の話に移っていこう。
常時能力ってそもそもなんだよ!?
と言う方のために結論から言うと、常時能力とはそいつが存在しているだけで恒常的に発揮されている能力のことである。
わかりやすい例をあげるならホラー作品の幽霊などでたまにいる、相手に存在を認知させた時点で問答無用で発狂させるタイプのことである。
このタイプははっきり言って最強スレではめちゃくちゃ強い。
なぜ強いのかというと、これもまた最強スレのルールに則った強さであり、能力がルールに最高に噛み合っているからである。
4-1.耐性問題とソース問題
基本的に最強スレは特定の攻撃はピンポイントで耐性を持っていないと防げない扱いになる。
例えば毒攻撃をフィジカル(体力)のゴリ押しで耐える──という描写は、いかにも少年マンガ的にありそうな描写であるが、最強スレではその理屈は通用しない。
最強スレでは毒攻撃に耐えるためには毒耐性が必須となる。
これがどう言うことなのか、考察の例をあげてみよう。
・Aというキャラ
【スペック】
【大きさ】マッチョな成人男性並み
【攻撃力】惑星破壊
【防御力】惑星破壊
【速度】光速の10倍
【特殊能力】超速で飛行可能、太陽まで届くエネルギー波を打てる
・Bというキャラ
【スペック】
【大きさ】小学生並み
【攻撃力】小学生並み
【防御力】小学生並み
【速度】小学生並み
【特殊能力】常時100m範囲に見えない毒ガスを垂れ流している
という2人を戦わせる考察をする。
この場合、普通に考えたらどう見てもAが強いし勝つだろう。
しかし、最強スレは違うのである。
なんと、この考察の場合は毒耐性を持っていないAは、常時毒攻撃可能な(毒の常時能力を持つ)Bに負けてしまうのである。
なぜなら最強スレにおいて、常時能力とは唯一開始前から発動している能力として扱われるからだ。ずるくない?
つまり、毒攻撃に耐性のないAは、毒の常時能力を持つBには、バトルがスタートした瞬間に負けていることになるのである。
これが最強スレではめちゃくちゃ猛威を振るった。
具体的に言うとホラー作品の怪異やマンガのボスキャラなどが格の違いを見せるために部下を威圧したりして心からブルっちまわせるような行為が『精神攻撃』とみなされて、耐性がないキャラに通ってしまったのである。
(最強スレ的に)最近のわかりやすい例で言うとジョジョの奇妙な冒険のDIOだろうか。
以下実際のテンプレ↓
スタンドは普通の精神力では操れないが花京院は自在に操れる 精神耐性×1
花京院はDIOを見ただけで足がすくんで体中の毛が逆立ち全身が凍りつきゲロまで吐いて行動不能になったため精神攻撃×2
※敵役最強議論スレ【https://w.atwiki.jp/tekiyakusaikyou/pages/2934.html】より
これはつまり、最強スレではDIOを視認した相手は精神攻撃×2を問答無用で喰らうことになり、当然喰らった相手は精神攻撃耐性×2がないとその時点で負けてしまうということ。
このDIOは比較的最近作られたテンプレだが、この手の能力の上位互換が最強スレにはめちゃくちゃいっぱいいる上に、特にこの手の能力は非バトル作品に多かったために、最強スレ的に特殊能力盛り盛りの日常系萌え作品キャラなどが耐性皆無な少年マンガバトルキャラの上に来るなんて最強スレではザラである。
以下閑話。
余談ではあるが、最強スレの傾向としてメジャーな作品ほど下位に落としたがる層と、マイナーな作品ほど上位に上げたがる層というのが間違いなく存在している。
これはもう、本当に間違いない。
よく外部で最強スレが語られる時、メジャーな作品ほどファンが不当に持ち上げるから有利と言われているが実情は真逆である。
私情抜きになぜかを考えると、メジャーな作品というのは手にとりやすく、ソースの確認が容易であるため、捏造や拡大解釈などを指摘しやすいからだろう。
逆に、そもそも年代物のマイナー作品などは中古屋を探してもなかったり、あったとしても値段が高騰していて気軽に手が出せない場合が多いために、ソースの確認が取れない(とりにくい)のである。
【追記】
マイナー作品のソース確認の不備、最強スレ民の逆張り体質、マイナー作品のソース確認の難しさを象徴する話があるので紹介しておきたい。
極端な例として、かつて全ジャンル作品最強スレで『仏』という作品が一位を取っていたことがある。
この作品は、当時としては破格の世界観のデカさを誇っており、考察するまでもなくぶっちぎり一位であった。
しかし、この『仏』と言う作品、いかにもそれっぽいテンプレが書かれていたのだが、有志が調査した結果存在しない作品だと判明する。
一応それっぽい作品は存在していたのだが、該当作はテンプレに書かれているような作品ではなかった。
つまり『仏』は最強議論スレで一位にするために捏造された作品だったのである。
黎明期の最強スレにおいて、これが少なくとも一年近くまかり通っていた事実がある。
最強スレ住民はドラゴンボールのようなメジャー作品だと親の仇の如く突っ込むくせに誰も聞いたことがないどころかそもそも存在しない「それっぽい作品」をテンプレとテンプレ作者の情報を鵜呑みにして長い間一位に鎮座させていたのである。
【追記終了】
上述のエネルは全能か否かの問題も、当時の最強スレルールにおいてはエネルが全能でも何ら問題はなかった(公式ファンブックの文言である以上最強スレとしては公式設定になるため)はずである。
実際マイナーなエロゲや特撮作品の設定全能キャラは結構な数が素通りしていた。
しかし、エネルが今を持って日本現役最強の少年マンガ、ONE PIECEのキャラであることが多くのスレ住民に引っかかりを覚えさせ、結果として大規模なルール変更にまで至ったと言う見方は決して穿ち過ぎではないと思われる。
なぜならこの「マイナー作品のテンプレは素通り」なのに「メジャー作品のテンプレは待ったをかけられる流れ」は現在でもよくあることである。
そこから全体的なテンプレの見直しからルール改定、多くのキャラが巻き込まれで修正送りに至ることも、未だによくある話だからだ。
ソースを確認するためだけに、原作者などに凸したりする無法者が過去にいたもの事実である。
しかも割と近年までいた(なろう系などの台頭によって作者と読者の距離が近づきすぎた結果、感想欄などでソースを聞き出す住民など)。
はっきり言ってこれらの行為は全方位にめちゃくちゃ迷惑な上に、マナー違反も甚だしい。スレでも暗黙の了解としてやるべきではないとされている。当たり前を超えた当たり前。
一時期は『原作者に凸して聞き出した話はテンプレに加えてはならないのではないか?』という話もあったほどである。あたりめーだ。
閑話休題。
とにかく常時能力は最強スレではルールにバツグンに噛み合った強能力とされており、これを持っているかいないかは大違いなのである。
5.「大きさ」こそ正義
最強スレでランキングをのぼるための必須要素は大きさと速度と破壊力である。
テンプレートでは大きさ、攻撃力、防御力、速度、特殊能力と区分分けされているが、ぶっちゃけ非全能キャラにとって大事なのは大きさと速度と攻撃力であり、極論この3つが強ければ防御力はいらない。
もっと言うと極まった「大きさ」さえあれば他のテンプレはいらないと言っていい。
5-1.なぜ「大きさ」が重要なのか?
個人的に最強スレを象徴するキャラとして『ヤチマ』というキャラがいる。
このキャラは非全能キャラにも関わらず、長い間全能軍団に食い込んでいた特殊なキャラである(流石に今は順位は落ちている)。
では、なぜヤチマが非全能キャラなのに全能キャラと比較されていたのか?
非全能キャラは全能キャラに問答無用で勝てないのではないか?
と、ここまで読んだ物好きな読者の方は思われたかもしれないが、このヤチマが全能軍団と比較されていた理由はとてつもなくデカいからである。
〜ヤチマ、その大きさ〜
【大きさ】二百六十七兆九千四十一億七千六百三十八万三千五十四次多元宇宙が1.6×10^-35m以下の宇宙での宇宙船相応
全ジャンル主人公最強議論スレ【https://w.atwiki.jp/saikyousyujinnkou3/pages/111.html】より引用
おまえは何を言っているんだ?
と思った読者の方、あなたは正常だ、安心してほしい。
要するに宇宙が無限に存在する大きさの二百六十七兆九千四十一億七千六百三十八万三千五十四乗倍以上大きいということだデカ過ぎんだろ……。
そのあまりの大きさに並大抵の攻撃は大きさで耐えてしまうし、並大抵の相手は体当たりすれば勝ててしまうのである。
例え速度差が無限倍であってもデカすぎるので適当に体当たりすればまず当たるから無問題。
要するに常時能力はおろか、並の全能攻撃も「大きさで耐えれる」ので負けないし、全能キャラか物理無効キャラでもなければ体当たりでだいたい倒せるという大味化け物みたいなキャラであるが、ぶっちゃけ最強スレにおける全能攻撃って先述の通り「強制勝利能力」=「勝利するという結果に達する能力」だから相手の大きさとか関係なくね? と思われるがこの辺スレ住民すらルールが曖昧になっているものと思われる。。
これが、このテンプレのキャラが仮に「ドラゴンボールの孫悟空」とかなら間違いなくめちゃくちゃ突っ込まれて議論が盛んに行われていただろうに……
面白いことに、さまざまなフィジカルや特殊能力を持つキャラを戦わせるというお題目の元、ルールを先鋭化させ続けた結果最強スレにおいて最も強いキャラは『最もデカくて重い』という、極めて現実的なファクターが占める結果となっている。
さまざまなルールを制定し突き詰めた結果、創作キャラの『最強の概念』が現実的な強さの延長なのは皮肉としか言いようがない。
※ちなみに現実で最強の動物はアフリカ像とよく言われている。その理由は質量と大きさが全生物で最もデカいからである。
一旦ここまで。
その②に続くかも。