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秋は天皇賞へ

クリスティやスマイルカナ、イベリスとハナを主張したい馬が多く、ペースが速くなるかと思いきや、前半マイルが46秒0、後半が45秒0というスローペースに落ち着いた。全体時計が速いので見誤りがちだが、G1としてはドスロー。そのため馬群の内を走った馬が有利になった。

グランアレグリアは道中は中団より後ろを走り、馬群の外を回したにもかかわらず、ゴール前であっという間に突き抜けた。ペースもポジションも関係ない、圧倒的な強さ。このメンバーでは力が違いすぎる。ゴーサインが出てからの反応の鋭さはアーモンドアイ以上かも。母父にTAPITが入っているので、精神的なリズムを崩したら難しくなると心配していたが、大阪杯の敗戦を払拭する圧巻の走りを見せてくれて安心した。前走の結果にめげることなく、秋は天皇賞に挑んでもらいたい。距離は2000mまでは全く問題ないだろう。

ルメール騎手は盤石の騎乗というべきか、道中は変な動きをせず、グランアレグリアの力を発揮させることだけに専念。まるで未勝利戦を勝つかのように冷静なタイミングで追い出し、ゴール前も余裕のフィニッシュ。心技一体、全てが揃って、とにかく落ち着いている。

ルメール騎手以上に見事な騎乗を見せたのが吉田隼人騎手。僅かなスペースを見逃さずに内に入れ、勝負所ではグランアレグリアの後ろのスペースを狙って抜けてきた。最後はくるぶしで馬を挟んでもうひと伸びさせた。騎乗技術と経験、ヘッドワークの完成形を観た気がする。

ランブリングアレーは1年前は条件戦でなだれ込むような競馬をしていたが、ここに来て一気に強くなっている。友道厩舎の育成手腕は本当に素晴らしく、目に見える形で馬が変わっている。一口馬主として出資する際に、友道厩舎予定の馬の評価が高くなるのは当然の結果か。

マジックキャッスルは内枠を生かして、スタートからゴールまで完璧な形で走れた上での3着。この馬の力は出し切っている。上手に立ち回れたし、スローの瞬発力勝負になったことで、ディープインパクト産駒らしさがいかんなく発揮された(2着ランブリングアレーも同じ)。


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