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実は知らない?小規模事業者持続化補助金申請の抜け道
小規模事業者持続化補助金を申請したいけど、公募要項をみると従業員数が多くて申請できない。業種が良く分からない。といった経験はありませんか?
この記事を読むと、以下のことが分かるようになります。
小規模事業者持続化補助金の概要
業種の考え方
常時使用する従業員数の考え方
それでは、順番に見ていきましょう。
小規模事業者持続化補助金の概要
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
つまり、自社の経営を見つめ直し、販路開拓や生産性向上の取り組みを行う小規模な事業者を支援する補助金になります。
小規模事業者持続化補助金の申請対象者
それでは、「小規模な事業者」とはどれくらいの規模なのでしょうか?
事業の業種、従業員の人数によって以下のように規定されています。
下の表に該当していれば、個人、法人関係なく申請することができます。(特定非営利活動法人もOKです)
事業の業種 常時使用する従業員数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 5人以下
宿泊業・娯楽業 20人以下
製造業その他 20人以下
業種の考え方
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)
「他者から仕入れた商品を販売する(=他者が生産したモノに付加価値をつけることなく、そのまま販売する)事業」、「在庫性・代替性のない価値(=個人の技能をその場で提供する等の流通性がない価値)を提供する事業」のことを言います。自身で生産、捕獲・採取した農水産物を販売するのは「商業・サービス業」ではなく「製造業その他」に分類されます。
分かりにくい言い回しですが、要するに「仕入れ販売」をしている人のことを言っています。
サービス業のうち宿泊業・娯楽業
「宿泊を提供する事業(また、その場所で飲食・催事等のサービスを併せて提供する事業も含まれる。)<日本標準産業分類:中分類75(宿泊業)>」「映画、演劇その他の興行および娯楽を提供する事業、ならびにこれに附帯するサービスを提供する事業<同:中分類80(娯楽業)>」のことを言います。
製造業その他
「自者で流通性のあるモノ(ソフトウェアのような無形の商品や無形の価値を含む)を生産する事業、他者が生産したモノに加工を施したりするなどして、更なる価値を付与する事業(在庫性のある商品を製造する事業)」のことを言います。
なお、「商業・サービス業」、「宿泊業・娯楽業」、「製造業」の定義に当てはめることが難しい事業(建設業、運送業等)や、区分が異なる複数の事業を営んでいるなど判断が難しい場合は、「その他」として、「製造業その他」の従業員基準を用います。
業種を個別具体的に判断していく必要があるんですが、下のような要注意事例もありますのでしっかりと確認しましょう。
【例:飲食店】
○調理技能を用いて生産した料理をその場で提供するのみ
⇒商業・サービス業
○調理技能を用いて流通性のある弁当、総菜、お土産を作っている
⇒製造業
【例:本屋】
○出版社・取次から仕入れた書籍をそのまま販売するのみ
⇒商業・サービス業
○自社の知覚とノウハウをもとに、小説と小説内に登場する料理を提供する飲食店を掲載した案内雑誌を「文字と舌で楽しみたいグルメセット」等として販売している
⇒製造業(他者が生産したモノに新たな価値を付与している)
常時使用する従業員数の考え方
これは、意外に知らない方が多いのですが、常時使用する従業員に含めなくても良い人達がいます。
小規模事業者持続化補助金事業では、以下の方は「常時使用する従業員」に含めないものとしています。
会社役員(従業員との兼務役員は「常時使用する従業員」に含まれます。)
個人事業主本人および同居の親族従業員
申請時点で育児休業中・介護休業中・傷病休業中または休職中の社員
法令や社内就業規則等に基づいて休業・休職措置が適用されている者
日々雇い入れられる者、2か月以内の期間を定めて雇用される者、または季節的業務に4か月以内の期間を定めて雇用される者(ただし、所定の期間を超えて引き続き雇用されている者は「常時使用する従業員」に含まれます。)
所定労働時間が同一の事業所に雇用される「※通常の従業員」の所定労働時間に比べて短い者
これらの人は申請の時に、従業員数に含めなくていいのです。
例えば、小売店を経営しているけど、従業員が6人いた場合、常時使用する従業員数が6人だから申請できない。
でもよく見てみると、従業員のうち1人は同居の親族だった場合、同居親族はノーカウントだから、常時使用する従業員数は5人になって、申請することができるようになるのです。
※通常の従業員とは
本事業における通常の従業員とは、社会通念に従い、事業所において通常の従業員と判断される従業員とします。
労働契約の期間の定めがない、長期雇用を前提とした待遇を受ける賃金体系である等、雇用形態、賃金体系などを総合的に勘案して判断することになります。
例えば、事業所にいわゆる正規型の従業員がいない場合、フルタイムの基幹的な働き方をしている従業員がいれば、その従業員が通常の従業員となり、その従業員より所定労働時間が短い従業員(1日または1週間の労働時間および1か月の所定労働日数が、通常の従業員の4分の3以下である)はパートタイム労働者とします。
「パートタイム労働者」に該当するのは、「1日の労働時間および1か月の所定労働日数が4分の3以下」もしくは、「1週間の労働時間および1か月の所定労働日数が4分の3以下」の場合に限ります。
これは分かりにくいのですが、例えば、従業員が全員アルバイトの場合、8時間勤務をしている人がいたとします。
その人の8時間を基準にして4分の3以下(6時間以下)の人がいた場合、その人はノーカウントになるという意味なんです。
まとめ
この記事では、意外とみんな知らない小規模事業者持続化補助金の申請要件についてみてきました。
業種や従業員数で色々な抜け道がありました。
例えば、「自社が「小売店」だと思っていて、従業員が8人いるから申請できないなー」って申請を諦めていた人。
小売業だと思っていても申請上「製造業」になりませんか?
製造業であれば、従業員数の申請要件は20人まで大丈夫なので、小規模事業者持続化補助金を申請することができます。
また、8人のうちフルタイム従業員の4分の3以下の時間で働いている人はいませんか?
4分の3以下の人はノーカウントなので、実は申請できるという事例が意外と多くあるのです。
小規模事業者持続化補助金の申請を業種や従業員数で諦めていた人は、この記事を読んでもう一度自らの事業所を見直してみてください。
意外と、申請の土俵に乗る人は多いと思います。
この記事が少しでも多くの事業者さんのためになれば幸いです。