1億円の低カロリー【#ショートショートnote杯】
謎解き好きの山内先生が作ったんだなコレ絶対。借り物競争の借り物が書かれたメモを見てすぐ思った。
「さとやんの、何て書いてる?」
隣のレーンから伊丹が覗き込んできた。
「1億円の低カロリー」
「わーお。イカれてるね。俺のも見てよ」
伊丹のメモは『金持ちジュリエット』。間違いない、山内の仕業だ。
「ムズい。かったりーマジで」
高校生にもなると、体育祭なんてのは息抜きイベントでしかないから、さほどエキサイトもしない。先生たちの詰所のテントを見ると、腕組みしてニヤニヤしてる山内と目が合った。
「あ、そーだ。俺、多田さん連れてこよっと」
ホクホク顔で多田病院の一人娘のところへ向かう伊丹が妬ましい。俺は、長机の上にたくさん並べてある衣装や小道具を物色した。
・・・わかったぞ。これか?これだな!?
安っぽい白バイの制服を着て、こんにゃくゼリーを掴んだ俺を見て、山内が大笑いした。
「わははは!かかったな里谷!それは3億円事件だ!」
しまったーっ!!