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社員を雇うメリットとは?業務委託のほうが良さそう?

永遠のテーマである、社員か!業務委託か!
とてもよく聞かれるので、私なりにまとめてみました。

会社の立場から考える

会社にとって社員を雇うデメリット

社会保険料が高い
社会保険料の13〜15%が会社負担になるので、とても高い。。。
単純計算で人件費が1.15倍になります。

解雇にできない
社員の解雇はかなり難しいと考えてください。価値観の違い、能力不足などでの解雇は、会社側の不当解雇扱いになる場合があります。
出勤不良などの理由なら解雇できる可能性もありますが、それ以外は厳しいでしょう。ちなみに不当解雇で訴えられると、年収の約2年分を支払わなければならない場合があります。

残業代の支払い
雇用契約では労働時間とお金を交換することが前提です。
「〇時間働いて、賃金は〇円」と決まっているため、設定した時間を超えた場合は残業代を払わなければなりません。
つまり、お金のコントロールに加えて時間のコントロールもしないといけないということになります。

合理的な理由なく言及できない
「仕事が遅い」などの理由で大幅な減給はできません。会社には、社員の生活をある程度まで安定させる義務があるのです。

こうして考えてみると、社員雇用はなかなか大変ですよね。

会社にとっての業務委託

<メリット>

会社にとっての業務委託で雇うメリットを考えます。

社会保険料がかからない
社会保険料は13〜15%ですから、これがかからないだけでも大きなメリットだといえるでしょう。
また、固定費になりにくいので経営上でも大きなメリットがあります。

いつでも解雇できる
社員よりも簡単に解雇させることができます。仕事が無くなった、仕事ができない、などの理由でも問題ありません。
ただし、フリーランス保護法があるのでちゃんと契約していることが前提です。

 契約の中途解約・不更新の際の事前予告
 フリーランスと継続的に仕事をする場合、契約の中途解除や期間満了後の不更新を選択するなら「中途解除日または契約期間満了日の30日前まで」にその旨を予告しなければなりません。
 またフリーランスから求められれば、事業者は契約の終了理由を明らかにする必要があります。

というルールもあるので気を付けましょう。契約書が無かったりすると会社が不利になります。

<デメリット>

良いこと尽くしの業務委託ですが、リスクもあります。

月給制や日給制などでの業務委託は訴えられると負ける可能性がある
実質的に雇用形式とみなされて、会社が負けるケースが増えています。
「実際は社員みたいに扱われていたから、残業代を払って欲しい」
「病気で働けなくなったのに保障が無い。実質的に社員だったんだから損害賠償をして欲しい」
などと言われると、かなり厳しいでしょう。

病気やケガのとき、クビにしづらい
業務委託メンバーが病気やケガで働けなくなってしまったことを想定してみてください。会社としては「切る」判断をするべきだと思います。
ただ、その人には家族もいる。収入はどうしよう。。。
長く一緒に仕事をした仲間を切るというのは、かなりストレスを感じると思います。何とかしてあげたいと思うはずです。
しかし、収入を保障することはできません。社員だったら、傷病手当金や失業保険で多少のカバーが可能です。

まとめ

仲間だと思える、良好な関係を築いていれば、業務委託はとても良いものです!(会社としても楽です!)

働く人にとって

業務委託で働く

<デメリット>

●安定しない

傷病手当金が無い

●失業保険が無い

<メリット>

●社会保険料がかからない

社員で働く

<デメリット>

●社会保険料が高い
給与の13〜15%が引かれます。とにかく高い。高すぎる。。。

●時間に縛られる
飲んだ次の日も決められた時間に行かなければなりません。。。

<メリット>

反対に、社員として働く際のメリットを考えていきましょう。

●クビにされづらい
安心感・安定感は、社員ならではです。

●傷病手当金がある
病気やケガで働けないときに、健康保険から約66%の給与を最大1年半受け取れます。

●失業保険がある
退職後に失業保険が受け取れます。

労災がある
仕事中や通勤中にケガをした場合、労災で給与の保障があります。概ね60%です。

それでも社員で雇う


ということで、何となく「業務委託のほうがいい」と言われがちですが、私個人としては社員で雇いたい派です。

なぜなら、組織として考えるべきことがあるからです。

組織とは

組織に必要なものの一つとして、「共通の目標」があると思います。
同じ目的を達成し、結果としてみんながメリットを得る。これが組織です。

業務委託だと目的が違います。
目的が違うとどうなるか。プロ野球で考えてみてください。

チーム:ペナントリーグ優勝
個人:1試合打点4点

こんな風に目的が違うと「試合に負けているけど1打席目満塁ホームランを打ったから帰ります」ということが起きてしまいます。

組織として目的が違うことは決定的に良くありません。
ペナントリーグに優勝する→みんなの年俸が上がる。これを実現することが組織にとって重要なのです。

人材の価値

多くのサービス業にとって提供している実際のものは、サービスではないと考えています。実際の提供商品は「サービスを提供する人間」です。
そこにはノウハウや知識はもちろん、提供する人間の人間性が含まれます。

  • いつも笑顔で明るい

  • 丁寧に対応してくれる

  • お客さんのことをちゃんと考えてくれる

そういう思考と行動を合わせて「サービス」だと思うのです。

こういった人間性や日常行動を、業務委託関係で指導、教育するのは難しい場合がほとんどでしょう。
もちろん指導できれば問題ありませんが、外注業者に「電話に出るときは明るく出なさい」と言えるかどうかだと思います。

病気やケガ

業務委託とはいえ仲間です。そんな仲間が病気やケガで働けなくなったとき、あっさり関係を断てるでしょうか。
経営だけを考えたら関係を断つべきですが、経営者も人間です。心苦しい気持ちになります。

しかし、関係を断たないと他のメンバーの利益を食い潰すことになります。それはフェアではありません。

そんなときに、「社会保険から手当が出る」「失業保険や労災が下りる」というのはとても重要なことです。

人材の獲得

事業を拡大していこうとするのであれば、どうしても知らない人を採用する必要があります。つまり求人です。

業務委託でもメンバーが集まる業種は問題ないと思います。
しかし、社員で募集しないと安定的にメンバーが集まらない業種は社員雇用を考えなければなりません。

最後に

一概に、どちらが良い、悪いとは言えません。

  • 人気の職種で人が集まる

  • 少数精鋭で本当に仲の良いメンバーだけでやる

  • 病気や事故は自己責任

そういった形でかまわないのであれば、業務委託でも問題はありません。
また、会社設立の初期などであれば、コスト削減にもつながるでしょう。無理に雇う必要はありません。

ただし、

  • ある程度、事業を拡大していく

  • メリットよりも万が一のリスクも想定していく

  • 価値観をそろえて組織的に活動していく

などを考えると社員のほうがいい場合も多くあります。

どんな会社を目指すのか」でどちらが良いか考えると良いかもしれません。


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