【考察用 デス・ストランディングRPT】フラジャイル
【CASE No.126】
セントラル・ノットシティ(K1)崩壊までの記録
サム・ポーター・ブリッジズが携帯する端末の音声データのみ
※画像データは消失
ズガガッ、ズガガガガッ!
何かが倒れるような大きな音がした。
おそらく乗っていたバイク『リバース・トライク』が転倒したのであろう……原因は分からないが幾つもの荒野を駆け抜け、運転慣れしたサムが転倒するのは珍しいと思える。
そして荷物を2、3個ほど背中に積んだような音がすると、そのまま雨水の含むぬかるんだ道を歩き出した。
――どうやら『時雨』が降っているらしい。
いくらフードを被っているとはいえ、時雨が降る中を進むのは自殺行為に等しく、まさにポーターは命懸けの仕事だと馬鹿でも理解できる。
しばらくしてサムの足音が止まり、雨避けの洞穴でも見つけたのか、激しい雨の音が少しだけ収まったような気がした。
その時だ、明らかにサムではない「別の何か」が歩いている音が正面から聞こえた。
低い唸り声からBTだと考えられ、おそらくサムの周辺で纏わり付くように動き回っているのだろう……奴らをやり過ごすには息を止めてジッと動かずにいるしかない。
「行ったようね」
――唸り声が消え、BTが去ったと思われると、突然女性の声が聞こえた。
フラジャイル……その名前は俺でも聞いたことがある。
『フラジャイル・エクスプレス』は、中部エリアに基盤を持つ民間の配送会社として彼女の父親が設立したらしい。
だが悪い噂が立ち、自社配送網が爆破テロに利用された疑いにより利用者が激減したとのこと。
……会話の流れからサムを自社へ引き抜こうとしている。
どうやらサムはフリーランスとして委託契約しているらしく、現在は何処の組織にも属していないようだ。
ここで彼女の声は途切れた。
<参考資料>