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【考察用 エルデンリング史書】王を待つ礼拝堂にて

褪せ人たちが最初に見る光景、最初に訪れる場所、それがストームヴィル城の西に位置する礼拝堂である。

ここは『王を待つ礼拝堂』と呼ばれており、絶海の孤島に存在するため、おいそれと誰もが近付けるような建物ではない。

「王を待つ」という名の通り、王たる資格を持つ者たちが導かれる地として神聖視されているが、多くの褪せ人が絶望に苛まれ、剣を投げ捨てたことを考えると、単に流浪者の集会所といった表現が相応しいように思える。

その証拠に、褪せ人たちが最初に手にする恵みの品が『褪せ人の老指』だというから皮肉なものだ。

骨皮に瘦せ細った、死蝋の指
後人を助けんとした先人たちの遺物

『褪せ人の老指』の伝え聞き

私が調べた所、この痩せ細った老指を使って褪せ人たちは各地に助言を刻んでいるが、その殆どが役に立っておらず平然と嘘が書かれており、騙し合いの道具としての印象が強い。

隠し道など無かった

王たる前に品格を磨けと苦言を呈したくもなるが、狂人だらけの壊れた世界で何を言っても焼け石に水である。

――しかしながら導かれた褪せ人たちは、あの英雄ゴッドフレイに率いられた者たちの末裔、もしくは血の繋がった存在である可能性は高い。

災厄の芽は早めに刈り取らなければならぬ……そう危機感を抱いている者も少なくなく、特に現在のストームヴィル城の城主はゴッドフレイの遠い血縁者であると喧伝していることから、褪せ人を目の敵にしているのは間違いないだろう。

祝福無き者たちが二度と立ち上がれぬよう、王を待つ礼拝堂には『接ぎ木の貴公子』が待ち構えている。

『接ぎ木の貴公子』との戦い

接ぎ木とは、植物の枝や芽などを他の植物へ接ぎ合わせて育てる栽培手法のことだが、これを『接ぎ贄の儀式』を通して生身の身体に応用し、醜い姿へと変貌した成れ果てが「接ぎ木の~」呼称を得た戦士なのだ。

――彼の者たちは、力を求めるが故の愚かさを象徴した存在だと言えるだろう。

接ぎ木の貴公子には数多の褪せ人や騎士、戦士だけでなく、トロルや一般市民の手足までも身体に接ぎ足されており、その姿は歪な蜘蛛を想像させる……しかも骨子は端正な顔立ちの少年である。

だが、かつてゴッドフレイの血縁や関係者と呼ばれた『黄金の一族』の末裔としての誇りは捨てておらず、その戦いは褪せ人たちの最初の洗礼と言っても過言ではない。

接ぎ木の貴公子が所有する『儀仗の直剣』と『獣紋の黄金盾』では、こう伝え聞いている。

古い儀仗を模した細身の直剣
卓越した剣士は、これを二刀で用いる
黄金の一族の末裔たちは
没落の後、古きに力と縁を求めたのだ

『儀仗の直剣』の伝え聞き

獣の紋章を刻んだ、鈍い黄金の盾
大盾の中では軽く、扱いやすい
その獣は、黄金の一族の導きの老賢
セローシュであろう

『獣紋の黄金盾』の伝え聞き

セローシュはゴッドフレイが背負う黄金の獅子である。

ゴッドフレイと老賢セローシュ

接ぎ木の貴公子が持つ『獣紋の黄金盾』は、ゴッドフレイが背負う獣(セローシュ)の紋章を刻んでいるため、彼に対する敬意と憧憬の表れだと捉えても良いだろう。

この地では「指」、「獣」といった言葉が非常に重要な意味を帯びるため、ゆめゆめお忘れなきように。

――さて、数多の褪せ人たちが接ぎ木の貴公子に負けようが勝とうが関係ないだろう……何故なら彼らはすべて墓場へと落とされるからだ。

<参考資料>


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