【考察用 エルデンリング史書】狭間の地における生命の循環『坩堝』
『嵐丘の封牢』に囚われていた『坩堝の騎士』だが、そもそも彼らが「坩堝」と呼ばれる理由をご存じだろうか?
明確に分かっているのは、かつて『最初の王、ゴッドフレイ』に仕えた重装の騎士たちであり、赤褐色の鎧を身に纏っているのが特徴的である。
赤褐色は原初の黄金樹の色を表していると言われ、当時の黄金樹は「生命の坩堝の力」を宿していた。
狭間の地における「坩堝」とは「様々な生命が入り混じった混沌たる状態」を指しており、騎士たちが翼や尾などをその身に生やすのは、坩堝の力を利用して異形の技を駆使するからである。
嵐丘の封牢にて坩堝の騎士を撃破すると、『坩堝の諸相・尾』が手に入ると思われるが、この「諸相」を使いこなすのが坩堝を冠する者の特徴だと言える。
しかし現代において坩堝の諸相は穢れとして扱われ、過去には先祖返りとして神聖視されてはいたが、こうした生命が入り混じる状態を今では忌避する傾向にある。
……余談だが、輝石魔術の源流を追求すれば、いずれ坩堝の混沌へ辿り着くと言われている。
レアルカリアから追放された女の戯言など耳を貸す必要はないが、セレンは禁忌とされている輝石魔術の源流を探求し、再び学院を混乱に貶めようとしていた。
彼女の研究は危険だ、それだけは断言しておく。
……では話を黄金樹へ戻すが、そもそも原初の黄金樹は何故赤みを帯びていたのだろうか?
原初の黄金樹が「生命の入り混じった状態」だと考えると、その赤みは血液の赤だと言えるのかもしれない。
『聖血の木の芽』の伝え聞きにあるように、狭間の地での樹木は人間の肉体を養分にする可能性がある。
『還樹』の儀式から察する通り、黄金樹の根である『大樹根』に張り付いた無数の死体が何よりの証拠であり、黄金樹とこの地の生命は切っても切り離せない存在だと言えるだろう。
還樹は肉体の死後、黄金樹に齎された祝福を再び黄金樹へ還す儀式だと言われているが、それが黄金律に則って「正しい死」、「名誉の死」であるかは疑問が残る。
また、狭間の地に住まう民は原初の黄金樹時代から思想があまり変わっておらず、こうして地下墓地で「坩堝」を再現していることから、坩堝の騎士たちを穢れた存在として差別するのは御門違いではないかと苦言を呈したくなるのである。
……それはいずれ対立する『忌み子』たちにも関わる問題でもあるのだ。
<参考資料>