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おやじパンクス、恋をする。#158
そう、俺はまだ雄大のことが本当は気になっていた。
奴が俺を、大切な「姉さん」の相手として認めてくれた。
俺は自分に都合のいいその決定を迷わず受け入れた。
奴の気が変わる前に、それによって彼女の気が変わる前に、急いで「既成事実」を作っちまった。
それでうまくいった。
そう、ひとまずは。
だけど、そうさ、色恋を歌ったポップスと同じだ。
付き合うことができた途端に、今度は漠然とした別れに対する不安が押し寄せてくる。彼女とうまくいったからこそ、頭はネガティブな感情ばかりを集め始める。
せつなくて、さみしくて、くるしい状態に、自分から進んで入り込んでいく。
ああ、くそ。
ああ、くそ。
道行く何の関係もない人たちに、八つ当たりしそうな気分だった。
この小説について
千葉市でBARを経営する40代でモヒカン頭の「俺」と、20年来のつきあいであるおっさんパンクバンドのメンバーたちが織りなす、ゆるゆるパンクス小説です。目次はコチラ。