見出し画像

【もののけ姫】ひとりで屋久島に行ってきた。 その2

宮之浦港〜民宿まんてん

ということで、高速船の到着した宮之浦港から一人トボトボ歩き始めた。スマホでGoogle Mapを開き、経路を確かめる。距離は1.3km。歩くのは苦にならないタイプだし、何なら10kmくらいなら歩いてやるぞと思っていたので、余裕というかむしろ拍子抜けである。

だが、甘かった。

暑いのである。いや、暑いだけじゃない。湿気がハンパない。汗がダクダク出てきて止まらない。それだけじゃない、道の勾配がキツイ。ちょっと待ってくれよ、南国っていうのはどこまでも平坦なんじゃないのか? 遠く海まで見通せる平たい田園風景を思い浮かべながらそう考えるが、なるほどそうか、屋久島は島というよりそれ自体が巨大な山なんだった。

画像1

歩き始めて5分で辛くなってきた。背中には大きなリュック、手には重いスーツケース。坂はキツく、まるで既に山登りが始まっているようだ(いや、実際に始まってるのか)。到着すぐにこんな汗ダクダク息ゼエゼエの状態になるなんて思ってもみなかった。

ああ、クソ。頭の中で悪態をつきながらふと視線をずらして、息を呑んだ。

画像2

海である。

どこまでも続く、海。

写真で切り取るのがもったいないくらいの、圧倒的な海。

鼻先にとどく磯のにおいも、知っている海よりどこか爽やかだ。

思わず頬が緩んだ。

よっしゃ。旅だな。

そう思うと足が軽くなった。坂はさらに勾配をきつくしたが、なんてことはない。

そんなこんなで今日の宿、民宿まんてんに到着した。

画像3

宿についたのが14:30頃、とりあえず受付に言って挨拶すると、思ったより若いお兄さんが対応してくれた。聞けばチェックインは15:00かららしいが、「まあ大丈夫ですよ、入っちゃってください」と言ってくれる。

建物や部屋は思ったよりずっとキレイだった(写真撮っとけばよかった。民宿のサイトで見てください)。

ちなみに今回の旅だが、1日目の今日は移動日、2日目の明日は早朝から夕方まで縄文杉トレッキング、3日目は完全にフリーで、4日目の昼に高速船で鹿児島に戻り、そのまま飛行機で羽田に戻る、という工程になっている。

つまり今日は、宿に着いてしまえばもう予定がない。明日のトレッキングが朝4時からと非常に早いので、できれば今日は早めに眠りたい。とはいえ時間はまだ昼過ぎだ。何もせず部屋でゴロゴロしている気は毛頭ない。

ということで散策に出かけることにした。

宮之浦港周辺を散策

さっき来た道を、今度は手ぶらに近い姿で戻っていく。汗だくのTシャツも着替えたし、荷物もない。坂道も今度は下り。実に快適である。

とりあえず宮之浦港に戻って、突堤に行ってみる。するとさっき自分が乗ってきた高速船が出港する所だった。

そのまま周辺をうろうろしていると、そばにある小高い山のてっぺん付近に、妙なものが見え隠れしていることに気付いた。それは大きな木の切り株のようだが、どこか人工的な雰囲気がある。

「とりあえず、行ってみるか」

もとより予定などないのである。その切り株らしきものの位置を頼りに進んでいくと、細い遊歩道のようなものに出くわした。どうやらこの先にあるらしい。

どうやらこれは、ウィルソン株という有名な切り株のレプリカらしい。明日行く縄文杉トレッキングでも、「本物の」ウィルソン株を見に行く予定になっている。よく知らなかったが、縄文杉に次ぐくらいに有名な屋久杉らしい。

ウィルソン株(Wikipedia)

ちなみにこの場所だと切り株自体が「木霊神社」という神社になっている。最初「木霊ってなんだ? もくれい?」とか思ったんだが、すぐに「コダマ」だと気付いた。木の霊で、コダマ。そう、もののけ姫に出てきたあいつらのことだ。

画像4

その後は、明日の縄文杉トレッキングのために事前購入しておいて欲しいと頼まれていたバスチケットを買いに、港近くの土産物屋へ。チケット購入時、島の保全のために1000円ほどの寄付をお願いされた。断る理由もないので支払うと、YAKUSHIMAと焼き印のされたストラップ的なものをもらえた。

益救(やく)神社通り〜ヤクデン

その後も何かおもしろいものがないかと散策を続けた。宮之浦港から民宿んまんてんとは逆方向に進んでいくと、やがてこの辺りの「メインストリート」的な場所が見つかった。

「益救(やく)神社通り」というのがそれで、スナックやらカラオケパブ、居酒屋、ダイニングキッチンなどが並んでいる。ここについては後日改めて来ることになるので、ここでは割愛する。

宿を出てから2時間、夕食までには戻らないといけないので、来た道をまた戻っていく。途中、「ヤクデン」というスーパーに寄って、トレッキングに持っていくためのお菓子と、部屋用の水、そしてやっぱり少しは飲みたいなということでビールを買った。

画像5

宿に戻ると、風呂の用意ができたというのでサクッと入った。小ぢんまりとしてはいるが立派な岩風呂で、お湯はまあ普通のお湯だったけど、何の不満もない。一日の汗をさっぱり流して部屋に戻り、さっそくビールを一本開ける。

画像6

うまい。「ああ」ではなく「嗚呼」と声が漏れるほどうまい。まあ今日はただ移動してきてちょっと散策しただけなんだけどね。

で、その後は食堂に行って晩御飯食べました。でも、まさかの写真撮り忘れ。でも思ったよりずっと美味しかったな。

食後、明日自分が縄文杉トレッキングで早朝に出発すること、そしてその際に持参する登山弁当を朝昼2食分頼んで、部屋に戻った。

明日の準備(トレッキングシューズ、ゴアテックスなど)をして、早々に布団に潜り込む。普段は朝の2時3時まで普通に起きてる自分、こんな早い時間に寝れるかしらんと思ったが、なんだかんだ疲れてたんだろう、9時過ぎにはもう眠気が来て、パタッと意識を失った。

その3につづく
マガジンTOP

↓ゆるゆるパンクス小説連載中↓



いいなと思ったら応援しよう!