2/16 vsサンフレッチェ広島(ホーム・ルヴァンカップ)

試合の感想

フレッシュな顔ぶれを並べた横浜FC。ボールを持って主導権を握る戦いがしたい、という下平監督の意志が伝わってくる顔ぶれでもある。六反はちゃんと実戦に出られる状態に回復したんだな、と清水エスパルスサポも一安心だろう。対するサンフレッチェ広島は……ガチメンだなこれ、と。稲垣がいなくなって、川辺が去年はシャドーやってた気もするので少しポジションや役割は変わっているのだろうけれど、去年とほぼ同じスタメン。これは厳しそうだな……ほぼJ1初挑戦の選手たちがどの程度やれるのか、それを楽しみに見てみようと思ったのであった。

前半

立ち上がりは少しバタついた印象が否めなかった。やはりJ1チームの、それも上位に位置するクラブだけあって、速さも強さも去年までの相手とぜんぜん違う。半分以上入れ替わった顔ぶれではやはり連携もちぐはぐで、序盤から大分押し込まれた。そんな中、トップ下でゲームキャプテンとして出場したコロ助は割りと落ち着いて技術を発揮し、ある程度時間を作ってくれた。松尾中山の両翼もボールを前進させられるところを見せてくれたおかげもあって、押され気味とはいえ段々と戦い方を掴んでいく。ボールを持てる新戦力組の連携でシュートまで持っていったりと見せ場も作れるようになっていた。

が、武田がハイネルとの接触で負傷。一度ピッチに戻ったものの、走ろうとした瞬間に膝から崩れ落ちて担架で運ばれることに……ここでバランサーの武田を欠くことになったのが結果的に響いたかな、と。志知を緊急投入したものの、直後に大外へのクロスからの折返しで因縁のドウグラス・ヴィエイラに決められて先制を許してしまった。その後も少し引き気味でボールを散らすようになった青山と、2列目の森島に翻弄され、相手からなかなかボールを奪えず前半を終えた。

後半

気を取り直して同点に追いつきたい後半。が、開始早々不用意なビルドアップのミスから失点してしまった。こうなってしまうと、前半から質的優位を発揮していた外国人選手を残して守備を固めたサンフレッチェに有効な手を打てず、持たせてもらってる状態に。それでも数回チャンスを作りかけたものの、結局ミスが出てシュートまではいけないことがほとんどだった。途中出場の光毅とイバでシュートに持ち込んだもののサイドネットを揺らすに留まり完封負け。J1上位クラブとの差を痛感させられるシーズン初戦になった。

全体的に

やる前から厳しいことはわかっていたので、敗戦自体にはあまりショックを受けなかった。むしろ、「この段階でこれだけやれるなら、連携高まれば攻撃陣はやれそうな感じだな」と。個人個人では良いところを見せてくれていたと思うし、後半から終盤にかけて、相手が引いていたのもあるにせよ、息が合い始めているのも見て取れた。ただ、守備強度は連携高めるだけでは少し厳しいとも感じた。サンフレッチェ広島は、決して攻撃力の高いチームではない。攻守に空中戦で全く歯が立たなかったり、レアンドロ・ペレイラにあっさり1vs1で躱されるようでは……

ボールを持ってゲームを作るというチームコンセプトが見て取れる顔ぶれで、たしかにアタッキングサードまでならボールを繋げるところは見せてくれた。ただ、最後のところで繋がらずにボールロストすると、それを奪い返す守備力が足りないのもよくわかった。囲んで奪ってカウンター、というシーンもあったけれど、それを増やそうとするととにかく走力、くらいしか手がなさそうな感じも。

北爪と中里がいなくなってロングスローが戦術から消えたのは地味に辛い。どのみち空中戦で勝てないやんけ、ってのはあるけれど、エリア内に放り込むと何が起こるかわからないのがフットボール。VARがある今シーズンはなおさらである。加えて、オフサイドが取られないので強制的に相手のラインを下げさせられる。ここらへんの手段が取れなくなったのよね。この試合でそれができれば結果が変わったか?と言われるとそんなに変わらなかった気もするけれど。

レフェリングの基準がコンタクトプレーに寛容になったせいか、お互いにいい位置でのFKというのはあまりなかった。これだとCKの重要性は更に増しそう。

などなど、今後のことをあれこれ考えさせられる試合だった。

選手への雑感

GK:六反勇治

まずなによりも、実戦復帰できたことを喜びたい。清水エスパルスサポは一安心だろう。おかえりなさい。

プレーは安定していたと思う。ハイボール対応も飛び出しも危なげなかったし、ビッグセーブで1点分は防いでくれた。キック精度も問題なかったように思う。ただ、前線の空中戦勝率を考えると、スローを増やしたほうが良いかもしれない。2失点目は、触ったからには防いでほしかったけれども、六反を責めるのは酷だよね……

DF:マギーニョ

期待の新戦力。スピードやバネを見せてくれた。中山との連携が深まれば攻撃は問題なさそう。守備は、正対しての1vs1やハイボールには決して弱くはなさそう。とはいえ、攻撃は最大の防御臭漂わせてるのは確か。

DF:田代真一

J1のプレースピードに対応しきれずちょっと褒められない出来だった。レアンドロやドウグラス相手に完全に後手に回ってしまい、マイボール時もビルドアップにあまり貢献できていなかった。2失点目の流れは擁護しようがない。徐々に小林がボール要求を無視してたようにも見えたが……もう一皮向けてくれることを願う。

DF:小林友希

期待の新戦力。獲得が無駄ではなかったところを見せてくれた。ミスもなかったわけではないが、左足でしっかりボールを繋げるところ見せてくれたし、時間経過とともに守備範囲を拡げ、身体を張った守備で奮闘してくれた。終盤にラインコントロールで巧みにオフサイドを奪ったのも印象的だった。満足の行く結果にはならなかったと思うが、しっかりアピールはできたと思う。

DF:武田英二郎

チームの大事なバランサーとして、周囲の若手を上手くサポートしていたが、膝を痛めて前半途中で交代。直後に失点を喫したことを考えても非常に悔やまれる。長引く怪我でなければよいのだけれど、1週間そこらで戻ってこれるような怪我にも思えない……

MF:瀬古樹

期待のルーキー。攻守に積極的に走り、良いパスも出して充分戦力になることをアピールしてくれた。チーム最多のシュートを放った、はず。ただ、そのシュート精度が酷かったのと、目の前にいた松尾に出せよ……ってシーンが。あと、明らかに無理な方向からプレス掛けに行ってあっさり躱されて中央突破されてるシーンも数度あったので、そこらへんは課題だろう。

MF:手塚康平

期待の新戦力。柏の天才レフティとして噂に違わぬ左足の精度と技術を見せてくれた。ボールロストはほぼ無く、セットプレーのキッカーとしても期待できるところを見せてくれていた。が、攻守に無理をしない感じで、そこで違いを見せてくれないならあまり起用する意味が……味方の無駄走りを本当に無駄にしていたので、連携向上させて、下平監督の要望が無駄でなかったことを証明してほしい。

MF:齋藤功佑

ユース出身者がキャプテンマークか……クラブ史に新たな1ページが、としみじみ。

序盤から落ち着いてテクニックを発揮していたあたりに成長を感じた。昨シーズンは試合の序盤やあまり高くない位置では無難なプレーをしがちだったので。中央で攻守に奮闘していたものの、新加入組とはイマイチ呼吸があっていなかった。レドミならそこを個人で打開できるのだけれど、守備面も考えるとやはり今後もファーストチョイスになりそう。個人としてはJ1でも通用する実感を得られたと思うので、これからに期待。

MF:中山克広

スピードは充分通用するところを見せてくれた。昨シーズンより速く厳しいプレッシャーの中でも、正確なクロスを上げられるようになってくれれば、と。マギーニョとの連携を向上させて、昨シーズン北爪とともに敵陣を切り裂いた姿を再現してほしい。

MF:松尾佑介

期待のルーキー……ルーキー?あれ?

スピードもドリブルもJ1でも充分通用しそう。ただ、エージロー交代後は明らかにプレーのクオリティが落ちていた。志知との連携を向上させて、サイドから相手を切り崩していってほしい。

FW:一美和成

序盤は存在感を出せていたものの、リードされて守備を固められたあとはあまり目立てなかった。チャンスになりかけたシーンもあったが、まだまだ連携不足な感じだった。ただ、守備ではしっかり走っていたし、なかなかボールに触れない状況でも焦れて下りたりせずに、しっかり高い位置に残って相手ラインを押し下げていたことは評価したい。これからこれから

DF:志知孝明

エージローの負傷で緊急投入されてJ1デビュー。ただ、しっかりアップする時間も無く、投入直後にクロスで振られて失点という難しい状態に陥ってしまった。求められる役割や、周囲との連携でも戸惑いが見られて、あまり良さの出せない試合になっていた。それでも、終盤には攻撃参加を増やして良さを見せていたので、これからに期待している。

FW:斉藤光毅

中山と交代で投入され、左サイドに。得意のドリブルはJ1でも問題なく通用するようでなにより。イバへのラストパスで見せ場も作った。とはいえ、流れの中でポジション動いて、志知を左サイドに孤立させてたシーンはちょっと困るかな……そこら辺の連携面を向上させていけば、J1の他サポもビビらせられると思う。

FW:イバ

やっとJ1でイバ様を見れた……改めてJ2にいるのがおかしいレベルの選手であることを見せてくれた。J2のときほど簡単に相手を弾き飛ばせるわけではなかったけれど、個の能力では全く問題ない。コンスタントに出場すれば二桁ゴールは狙えそう。

終わりに

J1がどういうレベルなのかを選手もサポも実感できた試合だと思う。幸い、といってはなんだけれども、ルヴァンカップは全敗したって支障はないわけだし。いや、できれば勝ちたいけどね?

個人としては充分通用しそうな選手たちが多かったし、連携を高めていけばある程度は戦えそうとも思った。問題は守備力だな……個人としても組織としても足りていない。サンフレッチェ広島にこれだと、リーグ開幕戦のヴィッセル神戸にはとてもじゃないけれど……ある程度覚悟を決めて観ることになりそう。願わくば勝利してほしいので、祈ろう。

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