9/20 vs大分トリニータ(アウェイ・明治安田生命J1リーグ)
大分涼しくなってきた9月も終盤。1年も残り100日ちょっととか信じられないですね。特に今年は空白の日が多くて実感が湧かないです。そのせいでリーグ戦は過密日程。この間始まったばかりだった気がするのにもう前半最後の試合です。
試合の感想
前節、上位相手に連敗ストップとなる逆転勝利を収めた横浜FC。その時活躍した面々をベースに、疲労等を考慮して、という印象の顔ぶれ。六反と伊野波復帰は嬉しい。ただ、最初にスタメンの発表がされたときに「どういう並びなの?」となった人はそれなりにいたと思う。私は袴田田代伊野波の3CBか
で迷った。しんどそうだけれど、前節は予想を覆してくれたしな……
対する大分トリニータは、ベンチにいる懐かしのノムをはじめ、J2時代に見覚えのある名前がちらほら。組織の完成度は高い上に、連勝中で調子も良い。中3日で疲労が早く来るとありがたいのだが。
繋ぐ組織的スタイルという面では確実に上の相手にどう挑むのか。個で打開できる選手がベンチに控えているので、後半勝負仕掛けるのかな、と思いながら観戦スタート。
前半
幸先よく敵陣を連携で切り崩し、コロスケがシュートを放つも惜しくも枠の外。あとから見れば、ここで仕留めなければならなかったのだな、という前半だった。ここから先は大分の組織的な連動性に全くついていけず、相手がミスしてボールを保持しても、プレスに追いやられて前線にボールを送り届けるのもままならず、攻め手が無い状態。相手の攻撃時に人数のミスマッチから何度も危ない場面を作られ、案の定失点してしまった。完全に配置で殴られまくっていた。
その後も状況は改善せず、ちょっと微妙なハンドを取られてPKに。正直、これで終わったと思ったが、六反が見事これを止めて勝ち目を残してくれた。
後半
前半の展開を流石にまずいと思ったのか、ハーフタイムに3枚換えというかなり思い切った手を打った下平さん。その甲斐もあって後半はボールを繋いでトリニータを押し込むことに成功する。が、コンパクトに守るトリニータのディフェンスラインは中々最後のパスを通させてくれない。そうこうしているうちにビハインドの焦りからか、ロングボールを織り交ぜるようになっていったのだが、これが繋がらない。
同点に追いつくべく、松尾、光毅と投入し、それぞれボールを持った時には良いプレーを見せていたのだが、なぜかその後もロングボールを多用するフリエ。実際にそれで瀬沼に何度かチャンスは訪れたのだが、結局決めきれないまま試合終了。不完全燃焼な印象がぬぐえない試合になってしまった。
全体的に
何がしたかったの?
というのが率直な感想。前半はどう考えても無理のあるメンバーで繋ごうとして完全に機能不全を起こし、後半は、繋げていたのに長身選手を外してからどんどんロングボールを増やしていくという、外から見てると意図を掴みかねるプレースタイルだった。
あえて苦手な方でやって、それでも戦えるチームにするためだ、という考えもなくはないのだけれど、リーグ戦でそれをやるとも思えないし。
いくら前節調子が良かったとはいえ、田代はJ1でボランチ起用するにはプレス耐性が足りていない。前を向けないからと田代がCB間に降りてしまうと、そこから出るボールを貰いに行くためにコロスケも降りて行き、そうしてボールを受け取ってもコロスケには打つ手がなく、とわざわざトリニータの狙いに飛び込んでいくようなプレーを繰り返していた。
解説は前線の動きが少ないようなことを言っていたけれど、後ろがあれじゃ一美も皆川も距離を取って動けないだろう。あの試合展開で前半だけで替えられた一美はちょっと可哀想に思えた。
後半はできないことをやらせようとしていた前半と異なり、できる選手を入れたのであっという間に状況が変わった。中3日のトリニータの選手たちがどんどん動けなくなっていったこともあるが、戦い方に合わせたメンバーでやればちゃんとできるのである。ただ、最後のラインを突破できなかったのは課題だろう。正直、皆川じゃなくて一美を残していれば突破できていたと思うけれども。
瀬沼は常に相手に脅威を与えていた。攻守両面で相当相手選手を疲弊させていただろう。が、それ故に瀬沼に送る意識が強くなりすぎて、全体的に攻撃が雑になってしまっていたように見える。トリニータの守備の弱点は、個の力でぶち抜くとカバーしきれなくなってくることなので、松尾と光毅で仕掛けさせた方が勝算は高かったと思うのだが、出し手にとって楽な方ばかり選んでしまったのは、連戦の疲れのせいなのだろうか?
前後半の諸々を見ていて、どうにも大分トリニータ対策の痕跡が見当たらないのが気になった試合だった。
選手への雑感
GK:六反勇治
復帰した守護神。1失点したものの全体的に良い出来だった。特にPKをキャッチで止めてくれたのは大きい。あそこで2点目が入っていたら試合終了だったろう。
リモート応援のせいでコーチングの声がかき消されていたので、守備陣とのやり取りはわからなかった。元々それが普通なんだけどさ。
DF:志知孝明
右がなかなかゲームを作れない中で、比較的高い位置を取ってなんとかトリニータを押し返そうとしていたが、少し孤立気味に。前半だけで交代させられてしまった。志知の出来が悪かったとは思わないので、悔しかったろうな。
DF:伊野波雅彦
最後尾からトリニータの守備組織を崩そうと何度も縦パスを送り込んでいた。守備でもやれるだけのことはやっていたので、どちらかというと褒めて良いプレー水準だったと思う。
DF:袴田裕太郎
前半はCB。後半はSBとしてプレー。前半は少し周りとの連携が良くなかったが、後半は攻撃参加でも存在感を見せていた。もう少し高い位置での判断が早くなるともっと良い。
DF:瀬古樹
今節も右SBとして出場。1度ビッグセーブを見せたものの、結局対面の田中に決勝ゴールを決められ、少し厳しい判定ではあったがPKも献上してしまった。ただ、これは瀬古が田中にやられたというよりも、配置で殴られ1vs2の状況を作られてしまい、そこを田中に衝かれた形なので、瀬古個人を責めてもしょうがないだろう。
後半はチームの攻勢と共に良いプレーを何度も見せていた。惜しむらくはクロスやロングボールの精度が今一つだったところ。今後もSBやらされそうなので、ここは改善してほしい。
MF:松浦拓弥
開始早々のコロスケへのヒールパスをはじめ、ボールを持てば良いプレーを見せてくれていたが、中々ボールが届かず、守備で後手に回るシーンが多くなってしまった。後半も高い位置でなんとか違いを作ろうと奮闘し続けてくれた。が、いくらなんでもハイボールを送るのは無理があるでしょ……
MF:安永玲央
中央で攻守に奔走していた。安永の走力が無ければもっと悲惨な試合になっていたであろう。後半は攻撃参加とボール回収で上下動が凄いことになっていた。また、プレースキッカーとしても精度の高いところを見せてくれた。シーズン通してこれを続けられるのなら相当な戦力になる。あとは展開力かな。
MF:田代真一
前節の活躍もあっての起用だったと思うが、正直、良くなかった。本人の出来というよりも、明らかに相性悪い相手に起用された感。中盤ですぐはたく相手にどう守るのかが中途半端だったし、ボール保持時も何もできなかった。前半だけで交代になったのはやむを得なかったが、無謀な作戦の責任を取らされたみたいでちょっといたたまれない気分になった。
MF:齋藤功佑
前節の活躍を思い起こさせるような開始早々のシュートだった。が、その後は責任感の強さが裏目に出て、自らトリニータの罠に嵌りに行ってしまった。ボール運びに苦慮する後方を助けに下りてしまったせいで、前線が動けなくなり、却って相手選手たちを自陣に呼び込んで苦しい状況に。我慢して高い位置を取った方が、後ろも割り切って放り込みに切り替えられただろう。レドミ並みに低い位置から自力で持ち上がれるなら良いが、そういう選手ではないのだから、あの判断は良くない。
後半、謙介がボランチに入ってからはやっと本来のプレーをするようになった。
FW:一美和成
与えられたタスクが良くわからないまま前半だけで交代させられてしまった。本人の問題というよりは後ろの問題で、とばっちりで替えられた印象。結果的に、後半こそ一美が必要だっただけに余計そう思ってしまう。
FW:皆川佑介
相手DF陣がボールを持つとプレッシャーをかけ、ボールの収めどころになろうと奮闘していたが「いや、そうじゃないでしょ……」ってなった。相方に収めてもらって皆川はエリア内にいるべきなのである。瀬沼が入ってからは結果的にボールを収めきれない良くないシーンが目立つことになってしまった。
DF:小林友希
田代と交代し、袴田をSBに移してCBに。攻守で安定していた。一時期不安定だったのはやはり疲労のせいだったのだろうか?
MF:松尾佑介
切り札1として投入され、相手左サイドを立派に切り裂いたのだが、途中からボールが来なくなってしまった。もったいない。
MF:佐藤謙介
後半からボランチで登場。試合展開を完全にひっくり返してくれた。やはりゲームメイク能力はチーム随一だ。欲を言えば、もう少し攻撃時に味方を落ち着かせてほしかった。
FW:瀬沼優司
後半から登場し、攻守でトリニータを追い込んだ。かなりキレが良く、決めてくれそうな雰囲気は出ていた。惜しむらくは、その瀬沼に引っ張られてチーム全体が攻撃時に雑になってしまったことと、それでも生まれた決定機を仕留めきれなかったことだろう。3回のビッグチャンス、どれか1つは決めて欲しかった。
FW:斉藤光毅
終盤に切り札2として登場。松尾との連携でいいシーンも作ったが、あまりボールが渡ってこなかった。トリニータのDFの能力を考えると、光毅なら充分切り崩せていただろうに……
終わりに
フリエサポとしては不完全燃焼な試合ではあったが、はたから見るとフットボールの面白さが詰まった試合だったのかな、と思う。フリエサポなのですげーイライラしたけどね!
トリニータはしっかり整備されて、再現性の高い攻撃と、それをするための守備の仕方を徹底していた。ボールを保持して主導権を握るスタイル、という括りでは横浜FCと一緒だが、設計の細かさはかなり違う。ボールの運び方に関して、出し手受け手の裁量が横浜FCは大きく、迷いが発生しやすい。その結果があの前半だろう。
だからと言って、トリニータが目指すべき理想の姿なのかというと、そこは意見が分かれるところだろう。設計が緻密過ぎない分、遊びの部分で変化を持たせて局面を変える余地があるからだ。後半はその良い部分が出て押し込めたのだから。まぁ、出し手の裁量に任されるデメリットとして攻撃が雑になった面も出てしまったが。
なんにせよ、似たような予算規模で順位と勝ち点がほぼ一緒だった相手に負けてしまったのは痛い。10位以内に入るのが目標なら絶対に落とせない試合だった。ここで落とした勝ち点を他の試合で補わなければならない。できれば次の試合でしっかり勝って。
で、そんな次の相手はフロンターレ。前半戦では散々な結果に終わったが、成長を見せる機会が訪れたわけだ。問題は、向こうもそれ以上に成長してる感じがあるというか、サブがえげつなさ過ぎてちょっと……とはいえ、名古屋に勝てたのだから名古屋が勝ったフロンターレにだって勝てるはずである。そう信じて応援しよう。