2/23 vsヴィッセル神戸(アウェイ・明治安田生命J1リーグ)
いよいよ待ちに待ったJ1開幕戦!昨今の新型コロナウイルスの影響で、色々と応援に制限が設けられる中、アウェーの地で天皇杯とゼロックス・スーパーカップを獲得し、ACLも含めて今シーズン連戦連勝のヴィッセル神戸に挑みました。
試合の感想
ルヴァンカップ広島戦時に「今のベストメンバー」と下平さんが言ったように、基本的に顔ぶれは同じ。小林は神戸からのレンタルなので規約上出場できず。それ以外は種々の情報から判断すると、選手の入れ替えは怪我によるものっぽい。伊野波とキャラが戻ってきてくれたのは本当にありがたい。
ヴィッセル神戸はフェルマーレンの怪我もあってか4バック。中3日の連戦でもあるので、小川やドウグラスはベンチスタート。とはいえ、一人で横浜FC3つ分くらいの給料貰ってる世界的名手イニエスタを筆頭に、新旧日本代表クラスがずらりと並ぶ圧巻の顔ぶれ。これで「控えの選手層が薄い」とか舐めてんのかアァン?
この顔ぶれに混ざって、ウチから飛び出してポテンシャルを開花させたレオがスタメン張ってるのがすごい。ジャンボとともにWジャニーズJr.として売り出そうとしたけれど、売り出し方が間違ってましたな。
正直なところ、惨敗しなければいいな、と思ってキックオフを迎えたのだった。
前半
広島戦同様、立ち上がりから相手にボールを持たれる時間が多かった。ただ、広島戦と比べると随分一人ひとりが落ち着いてプレーをしていた。ルヴァンでの初戦でJ1のレベルというのがどういうものなのか体感できたおかげだろう。
マギーニョと中山の連携も向上しており、何度も攻撃を仕掛けていた。2CBのレオを釣り出し、中央部分で数的同数以上を生み出せるというシチュエーションを見せてくれた。ただ、より効果だったのは左の松尾と志知だろう。松尾自身のテクニックもあるが、右サイドと比べれば左サイドの相手は攻守両面で劣っていた。特に郷家は比較的対処しやすい相手だった。あくまであの顔ぶれの中では、だけれど。
スリッピーなピッチコンディションもあってかなり心臓に優しくない展開ではあったものの、最終ラインがしっかりエリア内で守りを固めることで、藤本や古橋を抑え込みつつなんとかイニエスタにも対処。そうして守りを固めつつのカウンターが実ったのが前半24分。志知が独力で敵陣奥深くまで突破して上げたクロスに一美が競り、エリア外にこぼれたボールをルーキーの瀬古が冷静かつスピードに乗ったシュートを流し込んで先制に成功!私も含めて大方の人の予想を覆す展開に持ち込んでくれた。CBが釣られやすいことと、敵中央のスピードがあまり無いことをしっかり狙って生み出したスペースをものにしたゴールだったと思う。
そこから当然神戸は攻勢を掛けてきたけれど、守備陣が、というか、みんな身体を張って守りきって前半を終えた。
後半
後半はさらに攻勢を強めるヴィッセル神戸。明らかに最終ラインを高くしてビルドアップし、サンペールとイニエスタが何度もこちらをヒヤリとさせるパスや持ち上がりを見せた。それでも集中した守備を見せる横浜FCに対し、ヴィッセル神戸はアタッカーの2枚替えで対応。温存していたドウグラスと小川を投入してきた。これによってただでさえ押し込まれ気味の中、更に最終ラインの面々の攻撃参加が難しくなってしまった。それでも60分過ぎに、イニエスタのバー直撃弾で止まりかけた心臓を熱くしてくれるシーンが訪れた。カウンターから一美がGKとの1vs1の曲面を作るも決めきれず。ただ、やはり前線のスピードは相手に脅威を与えられることがわかるシーンだった。
ただ、この後くらいから横浜FC選手たちのミスが目立つようになる。カウンターで全力疾走した中山や、前半は走行距離が一番多かった俊輔などは明らかに疲れが見て取れる状態に。そして残り15分ほどというところで、志知のボールロストから、サンペールの針の穴を通すようなスルーパスに古橋が抜群の飛び出しを見せ、これを決められて追いつかれてしまった。
その後も再三ピンチを迎えたものの、六反のファインセーブなどでしのぎ切り、終了間際には松尾がカウンターを繰り出してあわやのシーンを作ったものの古橋に防がれて試合終了。勝ち点1をゲットしたのだった。
全体的に
ヴィッセル神戸が強いなんてのはわかりきっていたのでどうなることかと思ったが、勝てた試合だった、くらいのレベルの試合を見せてくれた。ルヴァンカップの広島戦を経て、個々がJ1のレベルに慣れてきたな、というのと、まだまだとは言え連携も向上しているのが見て取れた。特にサイドは攻撃面ではJ1でも充分にやれることを証明したと言えると思う。
「ボールを保持して主導権を~」、というのは今節も無理だったけれど、ボールを保持した時には的確に繋いで、という部分はある程度できていたと思う。何もできずにとりあえず回すだけのパスというのはほぼなかった。
守備に関しても、俊輔までもがあれだけ走ってプレスを掛け、待ち構えている最終ライン付近まで誘い込んだら集団で奪いに行くというのを実践できていた。タイマンに強い伊野波とキャラが戻ってきてくれたのも大きいが、その状態でならマギーニョも結構強いのがこの2試合でわかった。裏取られやすいけど、向き合ってればできる子だよマギーニョ。そこからでもスピードで攻撃に持っていけるし。
まぁ、流石にイニエスタはどうにもならない。むしろよく頑張って抑えたほうだと思う。あれを完璧に抑えられるなら今頃横浜FCの選手たちはCLで戦ってるわ。サンペールも、イニエスタほどではないにせよやはり凄い。出すと見せかけて前に運ぶのうまいし、パスめっちゃ正確だし。なんだあいつら?なんで中3日の連戦であんな凄いんだよ?横浜FC戦の時だけバルサに帰れよ。でも三ツ沢でも見たいんだよなぁ……
それはさておき、やはり肝心なところで連携ミスが目立った。極力早く向上させてほしい。それと、やたら滑るピッチのせいでプレーそのものとはちょっと違う面で観戦ストレスが……ピッチにすぐ適応するのも技術の内、と思うしかないんだろうなぁ。
選手への雑感
GK:六反勇治
MOM級の活躍だった。DAZN週間ベストセーブに選ばれても良いのでは?唯一の失点も触ってはくれていたし、3点分くらい防いでくれていた。ビルドアップ面でもほぼ問題はなかった。当分守護神の座は譲らないだろう。
DF:マギーニョ
しっかり引いて待ち構えていると結構守れるところを見せてくれた。ハイボールもしっかり対応。やはり裏を狙われやすい。でも、戦術の問題もあるので、一概にマギーニョのせいとは言えないけれど。ただ、北爪同様スピードがあるのである程度対応できていた。攻守で中山との連携は向上していた。イニエスタに躱されたのはしゃーない。マルセロだって躱されるし。
DF:伊野波雅彦
事前情報だと故障があったっぽいけれど、スタメンフル出場。キャプテンマークにはちょっとびっくりした。去年同様攻守に安定していた。コンディションが問題なければ右のCBは伊野波がファーストチョイスだろう。
DF:カルフィン・ヨン・ア・ピン
キャラも怪我っぽい情報が出ていたけれど、開幕戦に無事に出場し、去年からのリーグ戦フル出場記録を更新した。地上戦の強さとボールさばきの上手さはJ1でも問題なし。失点シーンでは古橋の飛び出しに気づいて必死のカバーに入るも一歩及ばずだったけれど、試合を通して身体を張って何度も相手のシュートを食い止めてくれた。小林とのポジション争いは激しくなりそう。
DF:志知孝明
スタメンで登場。怒涛の縦突破から先制ゴールに繋がったクロスは悪くなかった。郷家から小川に相手が代わってからは少しトーンダウンしてしまったが、松尾や中央との連携も良くはなっていた。ただ、時々「なんで?」というプレーを選択することがあった。サンペールや山口蛍が待ち構えてる中央に向かわんでも……と。失点に繋がった自陣でのパスミスは、非常によろしくなかった。エージローと比べるとやはり攻撃の選手の感が強い。ストロングポイントは充分通じていたので、まずはミスを減らしていってほしい。
MF:瀬古樹
中盤で攻守に奮闘し、サンフレッチェ広島戦の外しっぷりが嘘のようなコントロールショットで見事な先制ゴールを叩き込んでくれた。とにかく適応が早い。すっかりJ1のプレースピードに慣れていた。自分が激しいチャージを受けてノーファールだったのに合わせて、以降の当たりはかなり強くいっていたあたりも良かった。適応したんだよね?単にイラッとしたわけじゃないよね?コンタクトプレーもインターセプトも見事だった。下平監督の「今のベストメンバー」がリップサービスでないことを証明してくれている躍動ぶり。今後も期待できそうだ。
MF:手塚康平
瀬古より少し下がった位置でボールの循環に貢献していた。なんだかんだで的確に味方からボールを受けられる位置にいてくれた。左足の精度はやはり良い。ウチでは2番目に良かった。広島戦と比べると連携も取れていたし、守備面でもプレー強度が上がっていたように思えた。ただ、たまに落ち着きすぎてて集中切れてるようなシーンもあったので、90分集中してほしい。実戦の場で前にいた天才レフティーから色々学べたと思うので、今後も頑張ってくれ。
MF:中村俊輔
最年長スタメン出場。前半の最多走行距離だったのにはちょっとびっくりした。やはりスピード不足は否めないけれど、それでも必死に前線で守備をし、攻守の切り替えも早かった。左足の精度はやはり素晴らしい。ただ、FKやCKの機会自体がなかったのは残念だった。トップ下の一番手、というわけでは無さそうだけれども、まだまだJ1で黄金の左足を振るう機会はありそうだった。
MF:中山克広
ハマの両翼は充分J1で通用するところを見せてくれた。カウンターからいいシーンを作り、再現性のあるヴィッセル神戸が崩れる形をチームで共有できたのが先制点に繋がったと思う。代表クラスとバチバチにやりあえたのはいい経験になったと思う。
MF:松尾佑介
解説の水沼さんに絶賛されるのも納得のプレーを披露。西大伍相手に質で優位に立てるところを見せ、ヴィッセル神戸の右サイドを切り裂いていた。最後のカウンターは残念ながら不発に終わったものの、それまでにあれだけ走り続けながら、90分過ぎてもドリブル状態で素走りの古橋と互角のスピードというのは衝撃的だろう。多くの人に東京オリンピック候補はここにもいるぞと思わせたのではなかろうか?
FW:一美和成
前線で守備に走り回りながら、攻撃時には必ずゴール前まで飛び込んでいた。先制点のシーンでもしっかりエリア内で競り合い、それがゴールに結びついた。あのシーンは決めてほしかったなぁ……あそこで決めてればヒーローだった。
押し込まれる展開の中でも何度もボールに触っていたあたり、大分連携も良くなって周りの選手のことがわかってきたのだろう。ただ、状況的に中々裏抜けは狙えず、接触プレーになるとJ1のCB相手には競り負けてしまっている。去年までならそれでFKゲットできそうなシチュエーションでも今年は流されてしまうので、ボディバランスの向上必須だろう。
MF:松浦拓弥
中村俊輔と交代で登場。が、スリッピーなピッチに対処しきれず。もう少し時間があれば、という感じ。ただ、J2と比べて相手が前がかりな分プレーしやすそうにも見えた。アンカー脇が空くようなチーム相手なら結構やってくれるかもしれない。
FW:皆川佑介
一美と交代で出場。こちらもスリッピーなピッチに滑って終わってしまって、ちょっと残念な感じに。ハードワークの面では問題ないけれど、中央でボールを受けてキープさせるのはちょっとしんどそうな印象は受けた。とは言え、走れて高さもあるので今後も出番はあるだろう。そこでアピールしてほしい。
DF:田代真一
中山と交代でボランチの位置に。しっかり中央で守ってくれた。今節はその機会がなかったけれど、セットプレーはやたら強いので、守備固めしつつCK・FKでワンチャンス狙いたい時には重宝されるだろうし、今後もベンチ外になることはあまりなさそうな気がした。
終わりに
スター軍団ヴィッセル神戸相手に熱戦を繰り広げてくれた。よそのサポも横浜FC侮りがたし、と思ったのではないだろうか?おぅ、松尾と中山の移籍金計算するのをやめろ。やめてくださいマジで。
とは言え、海外アウェーで中3日の相手に押されまくった、というのも現実。内容的にはよく1失点で済んだな……という試合でもあった。やはりJ1は厳しい。とにかく決定機を逃さないように戦わなければなぁ。
リーグ戦次節は同じ昇格組の柏レイソル。同じ昇格組と言うには戦力充実しすぎてる気もするけど、J1残留のためにもできれば昇格仲間に負けたくはない。TOP10を目指すというなら勝たなければ!ホーム開幕戦、チームが勝てるようにしっかり応援しよう!