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10年前のメールから 『大震災後の残業代請求』その2

前回の続き

大地震後の労働審判手続の第1回期日は取消しになり、後日改めて第1回期日が指定されました。

労働審判手続きの第1回期日には結局相手方は誰も出廷しませんでした。もちろん答弁書も出ていませんでした。訴訟の場合だと答弁書も出さず被告も口頭弁論期日に出廷しないのであれば、結審して判決になりますが、労働審判はあくまで裁判上の和解を図る場だからでしょうか、第1回期日では、審判官と審判員が申立人である依頼者から事情を聴取して、第2回期日が指定されました。法律上は、関係人が理由なく審判廷に出廷しなかった場合は、裁判所は5万円以下の過料に処すとあるのですが、その過料の話しも出てきませんでした。

第2回期日では、裁判所の書記官が説得したのでしょう、相手方の社長さんが出廷しました。そこで審判官らはもっぱら相手方の社長さんから事情を聴取して、ある程度の未払い残業代があることを認めました。

それで調停の話しになったのですが、どうも相手方の社長さん曰く、一時に一括して申立人に支払うための解決金に充てるお金がないというのです。

相手方の社長さんの事情を汲んで、審判官らは申立人である依頼者と協議をして、結局解決金を12分割してこれを毎月一回都合12か月に分けて支払ってもらうことで調停が成立しました。

今から思えば、相手方の社長さんも、大地震の後の大変な時期に、追い打ちをかけるように元従業員からの残業代請求を受けて、涙を零していたのではないでしょうか。今は、少しだけ、ですが、ごめんなさい、という気分になります。

文責:社会保険労務士おくむらおふぃす

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