GIFT~僕が見たい世界~
僕は、世の中に素敵なチームが溢れる世界が見たい。
そのために、チームビルディングに精を出したいリーダーやマネージャーをサポートをするコーチとして、活動を始める。
そのはじめの一歩として、想いを綴る。
Mr.Childrenに見たもの
僕は、Mr.Childrenが大好きだ。
ファンになってかれこれ20年が経った。
先日、30周年を迎えたMr.Childrenが出演したあるテレビ番組を見ていた時のこと。
「僕が見たい世界は、これだ」と思った。
僕は、Mr.Childrenが体現する世界を見たい。
Mr.Childrenのようなチームが世の中にあふれる世界を見たい。
それこそが、人々を幸せに導いてくれるはずだ。
Mr.Childrenであること
その番組では2曲演奏されたが、2曲目は「GIFT」という2008年の曲だった(1曲目は最新曲の「生きろ」)
なぜその選曲なのか、はじめは分からなかった。
しかし、演奏を見て、すぐにその理由が自分の中で腑に落ちた。
桜井さん(Vo.)はドラムのJENの方を時折見ては、セッションを楽しむように歌った。
ナカケー(Ba.)も田原さん(Gt.)も、本当に楽しそうだった。LIVEではいつも淡々と"職人"のごとく演奏する2人が、信じられないくらい楽しんでいた。
極め付きは、最後のコーラス。
あんな満面の笑みで歌うMr.Childrenを、僕は見たことがなかった。
30年以上連れ添ってきたメンバー同士、互いにこの言葉を贈り合っているようだった。
「僕の方こそありがとう」――涙が溢れた。
Mr.Childrenの4人は、お互いをリスペクトしながら、この4人でやってきたことを、心から喜び、慈しみ、楽しんでいるんだと感じた。
その時の演奏では、「俺たち、4人でこんな素敵なバンドなんだぜ?」って見せつけられている感すら覚えるほどだった。
"モンスターバンドMr.Children"というより、ただただセッションを楽しみ、夢に期待を膨らませる少年のようでもあった。
桜井さんはきっと、ソロでやろうと思えばできてしまう人だし、「売る」のが目的なら、十分売れると思う。でも桜井さんは、ユニットこそあれ、ソロ名義で曲を出したことが一度もない。
「不思議とこのメンバーで奏でるのが好き」なのだと言う。
他のメンバーも似たようなことを別番組で言っていた。
Mr.Childrenというチーム
親友?仲間?恋人?家族?…どれでもあるし、どれでもないような関係性がきっとMr.Childrenにはあって、もはや"Mr.Children"という関係性とも言える気がする。
これはきっと、ただの友達や恋人では得られない感覚だろう。
一人では乗り越えられないほどの高い高い壁を、皆の個性と強みを最大限に生かしながら超える経験。それがあって初めて得られる感覚なのだと思う。
これこそ、僕が思う理想の"チーム"だ。
4人のキャラクターが違いすぎて、「なぜこの4人?」と思うことが前からたびたびあった。
カリスマシンガーソングライター桜井和寿、底抜けに明るいムードメーカードラマー鈴木英也、寡黙なザ・バンドマンベーシスト中川健介、哲学的で職人肌のギタリスト田原健一(キャッチコピーは独断と偏見です)。
まさに個性はバラバラのように見える。
しかし、だからこそ、Mr.Childrenは強い。
個性や強みが違うことで、場面ごとに持ちつ持たれつの関係が流動的に変化する。現状維持を許さず、バンドとして常に高い目標を設定し成長し続けている。それも、楽しみながら。
そうすることで、船を沈めることなく、常に前に進めるのだ。
映画『キングダム2』の主題歌『生きろ』について、桜井さんはHPで「自己ベスト更新に挑む気持ちで制作させていただきました」と語っている。
ここまで来てもまだ自己ベスト更新!?と驚くほどである。
この自己ベストは、必ずしも売上とかランキングとかではなく、自分たちの中での最高傑作という意味だろう。
僕が見たい世界
僕は、このようなチームがスポーツやアートの場面だけでなく、ビジネスにもたくさん生まれたら、きっと世の中は大きく変わると確信している。
生産性が上がるとか業績がアップするとか、そういう面もあるだろう。
でもそれ以上に、世の中にもっとイキイキした人が増えるはずだ。
それは無理なのだろうか?
本当に望めば、可能だと僕は信じている。
でもそのためには、個々人の明確な目的とチームとしてのビジョン、そしてそれを常に忘れずに束ねるリーダーの存在が不可欠だ。
そんなリーダーをサポートするコーチに、僕はなりたい。
『嫌われる勇気』で有名なアルフレッド・アドラーは、人間の最終目的は「共同体感覚」であり、そのためには①自己受容、②他者信頼、③他者貢献だと述べる。
そして「幸福とは、貢献感だ」と言い切る。
この貢献感は、必ずしも有益な人間でなくても、「社会に貢献してるな」と"自分が"思えていればいいのだが、そう簡単なものでもない。
人は日々、「自分は役に立てているのか?」「自分の価値とは?」「自分がいなくても平気なんじゃないか?」と悩みながら生きる。
だからこそ、チームに心から所属感を抱ければ、きっと貢献感も得られる。
貢献感を持てば、チームとしての成果にコミットしたくなる。
成果にコミットしたくなればより良い仕事やプロダクトが生まれる。
そうすれば、チームに対する喜びと誇りは増し、貢献感がさらに高まる。
そんな循環は、間違いなく個人にも社会にも良い影響を及ぼし、幸福感をもたらしてくれるはずだ。
そんなふうに、ありのままの自分でいながら、日々自己実現とチームの成長を、楽しんで続けながら、結果的に成果が出てしまうようなチームを、一つでも多く増やしていきたい。
それが、コーチとしての僕の願いだ。