自殺なんてクソダサい。
オーストラリア生まれ育ちのロットン瑠唯です。
今回のタイトルだいぶ強めな言葉を選んでしまいました。
見ただけで気分が悪くなってしまうタイトルにして、ごめんなさい。そんな中読んで頂けて大変嬉しいです。
中学校の頃、ジャックラックという友達がいました。
ジャックは韓国とオーストラリア人のハーフ。
頭が良くて日本語と韓国語と英語が喋れて、顔立ちがよく学校の人気者。
私はオーストラリア生まれ育ちの日本人。
白人の中でクラスで浮いている状態でした。鬼ごっこの鬼のように避けられていました。
酷く虐められていて、クラスのみんなも先生も私を見て見ぬフリでした。
毎日学校からの帰りのバスの中、いろんな会話が飛び交う最中。私は一人ぼっちで窓の外を眺めながら、涙を堪え「今日も一日みんなの笑いのネタになれたね!笑われているんじゃない!笑わせたんだ!」とかなり無理がある嘘で自分を励ましていました。
ある日、「おいジャップ、自分の国に帰れよ!」差別的なことで言われて心の底から悲しい気持ちになった時。クラスメイトのジャックが飛んできて「お前らそんなことを言うな!」と大きな声で怒鳴りました。誰もジャックが怒鳴っている姿を見たことがありませんでした。静まるクラス、私もビックリして言葉が出ない。私は今までジャックと話たこともなかったのにどうして庇ってくれたのか不思議でした。嬉しいのか救われたのか恥ずかしいのか、今何が起きているのかも唖然としました。
そんな放心状態の私にジャックは私に駆け寄り。「ルイ大丈夫?」と真っ直ぐな目で私に聞きました。私の名前を知っているのことさえも知りませんでした。私は涙を堪えて「大丈夫!」と下手くそな笑顔で答えました。私はジャックのおかげで心が救われました。
それから私とジャックは仲良くなりました。
とても心強い味方ができ一緒に校舎を歩いているとすごく嬉しかった。沢山笑ったし、沢山喧嘩もしました。「友達」ってこんなにも大変で楽しいことなんだ!と思いました。
高校になるとジャックは学校に来なくなりました。噂によると「マダムと付き合って遊び歩いている」「悪い仕事をしているらしい。」真相がわからない噂ばかりが学校で広まりました。
「お前ジャックと仲がいいだろう?あいつどうしているんだ?」とクラスメイトにも先生にも聞かれましたが、私は真相がわかりませんでした。お互いまめに連絡を取り合うのが苦手で、普段の会話は弾むのにメールになるとすぐ途切れてしまう。会わなくなってしまったその頃、果たしてもう仲がいいのかもわからない状態でした。ジャックは昔からモテモテで、頭も良い。噂が本当でもあまり不自然ではない話だなと思っていました。
ある日ジャックが突然学校に登校しました。久しぶりにジャックに会えてみんな大騒ぎ。気づけばジャックの周りには沢山の人が駆け寄り、長蛇の列ができていました。アイドルに会いに行くかのように私はドキドキしておりました。私はジャックに話しかけ「久しぶり!元気だった?」と寂しかったことを悟られないようにジャックに聞きました。唐突に「オレ、学校辞めるから」希望に満ち溢れているような顔で言い放ちました。「何をするの?どこへ行くの?」とジャックに聞きました。
「今はまだ秘密だよ。」とジャックは優しい笑顔で答えました。とてつもなく格好良かった。
ジャックは本当に学校を辞めてしまいました。
つまらない授業中にクラスの窓からぼんやり窓の外を眺めながら「ジャックは今頃どうしているのかな」と気にかけておりました。その後、押し寄せるかのように高校の卒業のテストに追われ、気づけば私は美大に進学し。忙しい日々を過ごしました。
その後私は音楽がやりたくて美大卒業後、日本に来ました。日本で慌ただしい日々を過ごしいたある日、全然連絡を取っていなかったオーストラリアの友達から一通のメールが届きました。「ねえ、ルイこれ知っている?」とあるリンクが添えてありました。
リンクを開いたら台湾ニュースの英語サイト
「人気タレント・モデル、ジャックラック自殺」と大きく書いてありました。
私は「あー!ジャックあの時言えなかった将来の夢は人気タレントになることだったんだ!え、でも中国語喋れなかったよね?頑張って勉強したんだ!ってか、めっちゃ体鍛えたね!すごい格好いいじゃん!めちゃくちゃ素敵だよ!台湾で有名なタレント・モデルになれたのすごいじゃん!え、、ジャック、、、自殺、、、この世からもういないの?」
自分でも信じられない大きな声で泣きました。
気づけば毎日毎日仕事をしながら脳裏でジャックのことばかり考えていました。
「ジャックは私を救ってくれたのに私はジャックの為に何してあげられただろうか。」
あの日クラスでいじめられていた私を救ってくれたジャックはもうこの世にいない。
ジャックの自殺により私は自殺に対する考え方が変わりました。
仕事、家族、人間関係、お金、恋愛、将来の夢。全て重なり上手く行かない時、私もふと「死にたい」と思うがあります。
ジャックが亡くなってから私は「死を美化しない」と決めました。
どんなに生きづらくてもどんなに辛くても私はどんなに不器用でも絶対に自分から死を選ばない。
どんな時でも「自殺なんてダサい、生きてジャックに格好いいところ見せてやれ」と歯を食いしばって失礼かもしれないけどジャックは頑張れる起爆剤になりました。
私はジャックから沢山学びました。
「人が困っていたら助けること」
「人を楽しませること」
「人と友達になること」
「人の前に立つ為には努力が必要ってこと」
「人は絶対自分から死を選んではいけないということ」
ジャックに教えられたことは絶対に忘れないです。
ジャックは私の心のお守りです。
だから私はジャックのような人になる為に頑張ります。
私に大切なことを沢山教えてくれた、ジャック有難う。
私の大好きな友達、おやすみなさい。
寂しいけど今はゆっくり休んでね。