Curve Wars($CRV)からみるGamefiの未来について
ハロー!Rottenです。
今日はかなりDefi寄りの話になります。
DFKきっかけでDefiにふれてみた、この分野色々興味はあるけど、複雑すぎるし追いきれない><
そんなあなたに今日は、ここ数ヶ月間Defiの震源地で起きている非常に面白い事象を、なるべく専門的な言葉を使わずご説明し、Defiの深淵に少しふれて頂こうとおもいます。
我々DFK国民に馴染み親しいGamefiにもこれから影響を及ぼすかも、なので是非ご一読ください!
TLDR:
- Curveは"ve"という仕組みを使って、ステーブルLP報酬を「民主化」
- Convexは民主化されたLP報酬を「民営化」
- "ve(3,3)" は、Gamefiを含むプロトコル上の様々な報酬設計を、市場経済に委ねることを可能にするかも?
Curve戦争について ($CRV)
Curveはステーブルコイン専用のDEXと思ってください。
クリプト界にはUSDにペグした様々なデジタルUSDが存在しますが、(USDC、USDT、UST、DAI、BUSD、MIM、などなど)DappによってはUSDTしか受け付けなかったり、Dexや選ぶステーブルによって、換金レートがぜんぜん違ったりしますよね?
このままだと非常に使いにくいなー、ということで発足したのがCurveです。
ここではステーブルコイン同士をLPに預ける(流動性提供)ことで$CRVトークンを報酬として獲得することが可能になります。
二段目のmimというプールの例では、MIM(その名もMagical Internet Money! これまじ)+3Crv(DAI+USDC+USDTの総称)の混成プールなので、どれをLPに入れても良いし、Dexでどれと交換してもほぼ1USD=1USD(格安手数料!)でいけちゃいます。便利!
上記図のtAPRというところに見慣れない数字が載っていますね。💴
先程ふれたMIM+3Crvのプールでは、+3.63%→9.08CRV + 0.00% SPELLという記載になっています。
これは3.68% ~ 9.08%まで、人によって貰えるAPRが異なるという意味になっています。
こんなAPR表記はみたことがありませんよね。さて、何故でしょうか?
ここでCurveのT/E(トークンエコノミクス)の面白みが発揮されます。
$CRVトークンはCurveのガバナンストークンです。ガバナンストークンは投票に使われます。
ただし、$CRVをそのまま利用することは出来ません。
Curveでは$CRVを一定期間(1~4年間) ステークすることで、$veCRV(vote escowed)という投票権を獲得する手順となります。
そしてこのveCRVを使って、「どのプールにCRV報酬をどれだけ排出させるか」を決めることが出来ます。
DFKで言うところの「Pool Reward Allocation(プール報酬配分)」をユーザーが決めるようなものです!
あなたならもちろん自分がLPを組んでいるプールにより多く配分されるように投票しますよね?
そして1年ステークした人は3.68% 、4年ならx2.5の9.08%のAPRをもらえます。💰
$CRVまとめ
ここまでの話を整理すると$CRVには2つの用途があります。
1. LPの排出量の決定(自分のLPに優先的にAPRを配分する権利)
2. 受け取るAPR倍率の決定(長期間ステークすれば、より高いAPR倍率を獲得)
ということはですよ?
①LPたくさん組む👇
②大量の$CRVが排出👇
③$veCRV全部自分のLPに投票👇
④最大APR獲得👇
⑤①に戻る👆
あれ?永遠に$CRVをチューチュー出来るじゃん!そうなんです!(笑)
このT/Eの仕組みに気付いた人たちがこぞって$CRVを購入し、自分のLPへの投票を始めました。
これがCurveを制するものがDefiを制するとまで謂わしめた戦争化した所以なのです!
そしてここに新たなキープレイヤーが現れることで、この$CRV略奪戦争は劇的な変貌を遂げます。💣
それがConvex Financeです。
Convex Finance ($CVX)について
Convexは、CurveでLPを持つ人に対し、自動で自己利益を最大化してあげる便利なツール。
$CRV報酬を4年間ロックしたり、各週で投票したり、面倒だよね!という人たちに対し、CurveのLPを預けてくれたら、Curve上の最大APR相当額+αをUSDベースで支払うよ!という訳です。
要するに$CRVの換金&報酬ブーストサービスですね!🚀🚀
Curve上では最大9.08%だったMIM+3Crvが、Convexに持ってくると17.74%に生まれ変わります。
これによりユーザー側は、Curve上の最大APR+αをステーブルUSDの運用で達成するとともに、Convex側はCurve投票権を牛耳ることが可能になります。🐮
ユーザーがCRVやCurve上LPをステーキング
Convexが投票権を集め、自身のLPをブースト
CurveはConvexに最大報酬を配分
3の報酬の一部分をユーザーに還元💰
そして、投票権を牛耳ったConvexの次の一手は驚くべきことでした。
なんとこの投票権自体を第三者(主にDex)に販売しはじめたのです!
$veCRV投票権が欲しい人に対し、ConvexがCurveに直接投票するよりも高い値段で投票権を販売することができれば、LPステークしてくれたユーザーに更なるAPR還元することが出来るようになります。
(MIMの場合:17.74% - 9.08% = +8.66%)
これにより2と3が分岐します👇
2b. Convexが投票権を集め、投票権をDexに売却。Dexは自身のLPをブースト
3b. CurveはDexに報酬を配分。Dexは報酬の一部をConvexへの賄賂原資に充てる
4b. 2の報酬の一部分をユーザーに還元💰💰
Convexでは、この投票権販売について、Bribe(賄賂)という単語を使っています。💸💸
Dex側からの視点
ではDex側の背景として、何故投票権をConvexから購入してまで欲しがるのか?
DexはユーザーがLP流動性を提供してくれる対価として、自分のトークンを報酬として差し出しています。(例:Uniswap→$UNI、Pancake→$CAKE、Orca→$ORCA)
しかし、これらトークンは売る以外の実用性に乏しいため、大半のDexトークンは以下の顛末を辿ります。
①常に売られ続ける💸
②APR縮小/LP魅力低下💸💸
③LP解除/TVL減少💸💸💸
④更なる売り💸💸💸💸
その中でもLP構成比が最も大きく、負のサイクルを誘発する主要因となっているのがステーブルコインLPです。💸💸💸
したがって、Dexはトレジャリー(取引手数料の貯金)を使って、投票権を購入することで、ステーブルコインに関連するユーザーへの報酬をCurveに肩代りしてもらい、自らのDexトークンの希薄化を防ぐことを目指しているのです。
Curve/Convex/Dexの役割
この構造は、実は我々が日々訪れているWeb2.0企業の代表格Googleのサービスに、非常に類似しています。
① Google Search
Googleが検索データ(=ユーザーの関心)をデータベース化し、ユーザーに可視化したのと同様、CurveはステーブルLPのニーズを、ve(投票)制度によりデータベース化し、LP報酬の「民主化」を行いました。
② Google Adsense
Adsenseがユーザーの関心が集まるWebサイトに対し、関心を収益化するツールを提供したのと同様に、Convexは一般ユーザーの投票権をワンタッチで買い取ってくれます。
③ Google Adwords
Adwordsが企業に対し、ユーザーの関心を購入する手段を提供したように、ConvexはDexに対し、ユーザーの持つ投票権や、LP提供インセンティブ(即ちAPR)を購入する手段を提供しました。
Dex側参加者について
どのようなDexプレイヤーがこの戦争に関わっているのか、何故関わっているのか、掘り下げるとこれまた非常に面白い世界が見えてくるのですが、キリが無いので、本記事では概要のみ触れておきます。
ve(3,3)について
ここまで滅気ずに読んでくれた読者は、既にお気づきかと思います。
veという仕組みは、様々な報酬設計を市場経済原理に基づき、ユーザーの行動によって自然的に調整(均衡)させる手段として、非常に理に適っています。
ve(3,3) : 様々な仕組み投資サービスを提供するYearn Finance($YFI)の創業者Andreが提唱するve(投票権)による報酬の民主化・民営化と、ナッシュ均衡(ゲーム理論)をかけ合わせた概念。
これまではDexがLP毎のトークン排出量(報酬)を決定し、ユーザーはそれに応じてLPを組んでいました。
ただ、これはLPの実質的な取引利用量(=Dexの手数料収入)とトークン排出割当量(ユーザーのLP報酬)が必ずしもマッチしない可能性を含んでいました。
一方で、ve制度では、Dexの利用利用量=トークン排出割当量に近づくよう市場が自ら調整すること(ナッシュ均衡)で、手数料そのものを、報酬に充てることができます。
(=トークン排出の希薄化を最小限に抑えられる)
また、排出割当により、最も高い手数料を稼ぐLPへのLP提供を促進し、LPの流動性を高めることで、より良いレート(更なる使いやすさ)を可能にします。
結果として、排出量とプロトコルのインセンティブを一致させ、ユーザーがシステムを自己最適化することを可能にします。
$veJEWEL(仮説)
「ve(3,3)のような仕組みを全体的、部分的にDFK経済に適応することで、Gamefiにおける難易度と報酬のバランス調整をユーザーに委ねる仕組みを構築可能なのではないか?」
例えば、クエストの実行回数で$veJEWEL投票権が付与され、ゲーム内の様々な制度(ガーデン報酬や、ロックジュエル報酬割合、ヒーロー召喚コストや、ポーション制作ゴールド)に割合することで、ユーザーがユーザーのゲーム内活動を自ら誘導し、ゲームの発展を目指す。みたいな世界を妄想しました。
というのも、MMOPRGにおける最も難易度の高い分野がゲームエコノミストです。
経済循環の仕組みは、ゲームを開発すれば用意出来ますが、各変数の細かなバランス調整は非常に難度が高いし、(誤解を恐れずに言えば)どんな調整も不意な格差を生む火種になります。
ゲーム内経済の非中央集権化は、ゲーム開発にとって悲願の夢であり、その可能性の片鱗を、ve制度からは感じました。
Defiを中心に本概念は拡張し、Gamefiを含む様々なDapp領域への適応が進むと想定しています。
今後もこの領域の発展には注視していきましょう!