小說丨執着

第二話：混乱

この紙が燃えている。そして、私も燃えている。

20xx年6月14日

ジェイ、君がどうしようもなく恋しい。本当に恋しい。

何度も君が夢に出てくるけれど、どの夢の中でも君は僕に微笑んでくれない。夢の中では、あのギタリストが公園の人工湖のそばを君と一緒に歩いている。湖面に霧がまだ晴れていないから、きっと朝だろう。ぼんやりと、君たちがキスをするのが見える。

必死に、これは全部偽物だ、ただの夢なんだと自分に言い聞かせる。でも、どうして夢はこんなにリアルなんだろう？君の目に浮かぶ涙のきらめきが、はっきりと見える。時々、夢の中では君が他の人と一緒にいる。彼らの顔は見えないけれど、それでも僕は一人残らず憎んでいる。

やっとある日、僕たちの過去の夢を見た。二人だけの。

僕の記憶力は決して良くない…でも、君のことだけは鮮明に覚えている。あのバーで君が僕の人生に入ってきた夜から、僕の記憶は滑らかに流れ始めた。君と一緒の人生は鮮やかで、それまでの灰色の日々はぼやけてしまった。

一緒にバーベキューに行ったこと、映画を見たこと、ゲームセンターで遊んだこと。君の笑顔の一つ一つ、君が僕に言った言葉の一つ一つ、そして僕たちのキス。君は僕が木偶の坊みたいだって、間抜けでぼーっとしているって言った。でも、それが可愛いとも言ってた。

毎晩寝る前に、君との思い出を頭の中で再生する。忘れるのが怖いから。

僕は歌うことが好きだ。特に愛する人のために。有名な歌手になって、君のために書いた歌を世界中に届けたい。

君は本当に眩しい、ジェイ。時々、自分がすごく劣っているように感じる。君みたいに優秀になれなかったら、君に釣り合うはずがない。だから、必死にボイストレーニングをして、もっと上手く歌えるように練習する。君が好きなあのギタリストに勝てるようにギターの練習もする。鏡の前で笑顔の練習をして、暗い表情をしないようにする。君は笑っている僕の顔の方がいいって言ってたから。

でも結局、僕は全部失敗した。優秀にもなれなかったし、一番大切な人も守れなかった。

僕はいつから可愛くなくなって、君の目に魅力的に映らなくなったんだろう？

ごめんね、ジェイ。本当にごめん。本当にごめん…

君が恋しい、ジェイ。

戻ってきてくれないか？

20xx年7月18日

ジェイ、今日、君に会いに行くことにした。

最近、たくさんの曲を書いた。君に伝えたい言葉を全部歌詞に込めたんだ。これらの曲がネットのリスナーから好評で、本当に嬉しい。ますます多くの人が、君への僕の告白を聴いている。本当に嬉しい。

君からの最後のメッセージを覚えている。「もう連絡しないで」って。でも、ジェイ、君が恋しすぎるんだ。

邪魔するつもりはない、誓うよ。ただ、一目君に会いたいだけなんだ。

虚ろな夢は毒で渇きを癒すだけ。君を夢に見れば見るほど、君が恋しくなる。君に会えなかったら、僕は気が狂いそうだ。

20xx年7月19日

君に会った、ジェイ。

君は相変わらず綺麗だった。息を呑むほど綺麗だった。呆然とするほど綺麗だった。でも、君は僕の知らない男と手をつないで、ホテルに入っていった。

僕は一晩中、ホテルの外に立っていた。

胸が痛いよ、ジェイ。君がその男を見る目は、まるでかつて僕を見ていた時のようだった。次の日、その男は先に出て行った。僕は腹が立った。朝帰りなんて最低な奴だ！でも、少しだけ嬉しくもあった。もしかしたら、彼はただの遊び相手で、すぐに君が捨てるのかもしれない。

長い時間待った後、やっと君が出てきた。君を見た瞬間、心臓がドキドキし始めた。鼓動が他のすべてを消し去り、僕を君だけに集中させた。

君は清潔感のあるクリーム色の半袖シャツを着ていて、とても爽やかに見えた。髪は毛先が少し跳ねていて、可愛かった。

君を見つめていると、首の後ろに赤い痕があることに気づいた。雪の上に咲く梅の花みたいだ。ついこの間までは、君に痕を残せるのは僕だったのに。

目の前の景色がまたぼやけてきた。顔を上げると、君はすでにいなかった。嫉妬の味が、僕を almost 引き裂きそうだった。

20xx年7月22日

また君を探しに来た、ジェイ。

でも今日は、君に会えなかった。

君がよく行くホテル、仕事帰りに通り過ぎる花屋、時々座っているカフェ、そしてオーロラバー…どこにも君の影はなかった。

君は、どこにいるんだ？

20xx年7月26日

やっと君に会えた、ジェイ。

君はあのギタリストとキスをしていた。

彼の腕の中で、君はすごく穏やかな顔をしていた…僕は嫉妬で狂いそうだ、ジェイ。あんな風に長いキスをするために君を抱きしめる機会は、僕にはほとんどなかった。君はいつも僕のキスが下手だってからかっていた。

どうしてあいつは何度も戻ってくるんだ？君が何度も振ったのに、どうしてまだ君のもとに戻ってくることができるんだ？

君があいつを受け入れることができるなら、僕にもまだチャンスがあるってことだろうか…？

ジェイ、ジェイ、ジェイ、ジェイ…

20xx年8月14日

ジェイ、君はあのギタリストを家に連れてきた。

僕たちが二年一緒に暮らした場所。かつて僕たちの家だった場所。

君の部屋のカーテンは薄すぎる。ナイトライトの光が、君と彼の影を映し出し、上下に揺れている。

僕はアパートの下に立って、あの得体の知れないギタリストを、思いつく限りの汚い言葉で罵った。

一晩中。

20xx年8月27日

ジェイ、明日は君の誕生日だ。ここ数ヶ月、君のためにたくさんの曲を書いた。まだ発表していない曲だ。

愛を伝えるのにバラの花束は僕には似合わない。歌うことのように、もっと繊細で優しい方法が好きだ。どの曲も、君に伝えたいメッセージなんだ。

君のために歌いたい。直接、君に聴いてもらいたい。そして、もう一度僕を受け入れてくれるか聞いてみたい。

仕事を全部裏方に回したから、これからは毎日家にいられる。君は子猫を飼いたいって言ってたよね。一緒にペットショップで選ぼう。真っ白な子猫か、三毛猫がいいかな。君はヨーグルトプリンが好きだって言ってたから、作り方を覚えたんだ。

君の笑顔が恋しい。君の吐息が恋しい。君の温もりが恋しい。僕に甘えてくる君が恋しい…

君への想いは骨の髄まで染み渡り、魂の奥底に刻まれている。

もうこれ以上考えられない。じゃないと、眠れなくなってしまう。

おやすみ、ジェイ。明日会おう。

20xx年8月28日

僕は失敗した。

僕はただのドブネズミだってことを忘れていた。暗闇を這いずり回るドブネズミ。明るすぎる太陽の光は、僕を腐らせてしまう。あの暗い考えは煙のように消えていく。

どうやって君の誕生日パーティーに顔を出せるっていうんだ？

みんなの視線に晒される。驚きの視線、嫌悪の視線。誰かが叫んでいる。「狂人だ！」と。

僕は首を横に振る。視線は君から離さない。ただ君のために歌いたいだけなんだ。ただ君に許しを請いたいだけなんだ。僕は狂人じゃないって言いたいのに、口を開けるとかすれた声しか出ない。

この瞬間にやっと気づいた。僕は声が出ないから、歌えないんだ。

コンサート、人工湖、薄い色のカーテン…何もかもがごちゃごちゃだ。ジェイ、本当に気が狂いそうだ。頭の中がどんどん混乱していく…これらの記憶は現実なのか、それとも僕の妄想なのか？もう分からなくなってきた。

君と一緒に暮らしたことも、ゲームセンターに行ったことも、なかったみたいだ。

僕はただ、君が他の人と一緒に暮らし、他の人とゲームセンターに行くのを見ていただけだった。

僕はまるで幽霊のように、君の後ろをずっと彷徨っていた。見ている時間が長くなるほど、欲求が強くなるほど、かつて君と一緒にいたあの人になっていくみたいだ。

そしてこの瞬間、君の視線と目が合う。驚きと嫌悪が入り混じった視線。

君はステージの中央に立っている。スポットライトが君の美しさを照らし出し、まるで女王の戴冠式のようだ。

周りの囁きや叫び声が消えていく。光が弱まり、君だけが見える、ジェイ。

君の唇が動くのが見える。「消えろ」と言っている。

この紙が燃えている。そして、私も燃えている。

ごめんね、ジェイ。僕のせいで君の気分を害してしまったなら、本当に申し訳ない。

何も望まない。ただ、君と過ごした時間が現実だったと信じたいだけだ。