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奥底まで沈み、そして天上に昇る

いのうえのぞみx福島裕二写真展 - I/F Y/N- パート2

二人の本気と本気がぶつかり続けて生まれた究極の2冊の写真集 I/F と Y/N。
その作品が撮影時期順に4つのパートに分けて、北村写真機店で展示されている。じっくり向き合うことができる幸せな夏。
そしてパート2。一言でいうなら、やばい。この空間に入ると、衝撃をうけ心が掻き乱される。そして眺めているうちに癒される。それは何なのか言葉にしたくて、再度見にいった。

ふるえる展示

心に直接何かがふれたときに、ふるえる。
パート2は、展示の中に入るとふるえるのだ。
福島のトークやインタビューの中で「ふるえる写真」という言葉がよく出てくる。自分を守っているふりをしている壁や皮がはがれおち、いいも悪いもない、自分そのものと向き合うことになったいのうえと、それを目の前にした福島。2人のふるえがダイレクトに伝わってくる。

2019年7月3日は、いのうえが覚醒した日。
オフィシャルブックレットをたよりに、この日の撮影の順に写真を辿る。
ヘアメイクが入り、1日の中で場所を変えながら次々に新たなチャレンジが続いていく。今までを超えたいと願い続けているいのうえ。今まで見せたことがない自分。自分を囲む壁がくずれていき、芯に閉じ込めていたものし、情念があふれ、水に流れ出していく。

福島のモノクロは、じっと見つめていくと、光が増えていくように感じる。まるで暗がりになれると、あたりがはっきり見えるかのようだ。
水、そして、目、唇、髪が光に反射する。その細かい光のゆらぎを福島は見逃さない。このゆらぎをとらえることと、ふるえる心をつかまえることがつながっているのかもしれない。

純粋な光

7月19日の材木座の写真は、清らかで美しい。
そしてこの日のいのうえは、福島の予想をちょっと超えたのかもしれない。

7月3日の奥底まで沈み、窓際でこの世とあの世の合間にいるような感じだったいのうえが、今までとは違う存在となって、海岸の暗がりの中に、純粋な光となって浮かび上がる。
いのうえが大事にもっている「光」。それは、この世界の中に、あなたという存在がいるということが大事というメッセージなのかもしれない。
ふっと消えてしまいそうなはかなさの中で、瞳の奥にある芯の強さをしっかり見たくなり、距離をかえて見続けてしまう。

一人十色

両極の作品を見せてくれたパート2。
いのうえの表現の振り幅が一気に広がり、写真展「一人十色」につながったんだとあらためて感じた。最後の写真は次への入り口。(パート1のラストの写真が今回の展示の中にあったことで、この位置の意味を知った。)
パート3がどんな展示になるのか、楽しみだ。

いのうえと福島が作り上げたポートレイトの高みと向き合う時間。

新宿 北村写真機店 6F イベントスペース 10時~21時
パート2:7月11日~ 7月24日
パート3:7月25日~ 8月7日
パート4:8月8日~8月21日

*トップの写真は、写真集の最終段階のセレクトの様子。写真集プロジェクトのクラウドファンディングで、撮る機会をいただき、感謝しています。

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