【ラムネ】短編小説
真夏の陽射しを外で浴びて玄関をあけ
肌に服をくっつけながら
『ただいまぁ』といつもの挨拶をし
急いで靴を脱ぎ捨てる
『かあちゃん!ラムネ!』
はいはい冷蔵庫に冷えてるよと
呆れ顔をよそに
『大丈夫!取ってくるから』
母の足より自分でいった方が早い
これを待ちわびて帰ってきたのだから
冷蔵庫を開けるとひんやりとした風と共に
お目当てのガラス瓶を手に取る
ドタドタと居間に向かうと母が
『はい。開けたるからここに置き』
もしもの為の新聞紙を敷いてその上でポンポンと
軽い手招きをする。
『今日はできる...もん』
呆れた顔をして中身少ないんだから
早く貸し。と言われグッと備え付けのプラスチックを使いビー玉を押し込む。カランっと音を立てて
炭酸が溢れだすことは無かった。
今思えば何故母は必ず成功させてたのだろうか。
大人になっても謎である。
あと子供が出来た時に私がそれを出来るかどうかも
また怪しい。
瓶は分厚くて中身は少ない。5分経たずに
飲みきってしまう程に。
小さなペットボトルと量を比べたらどちらが少ないのか気になるぐらいだ。
今はもう喉の乾きでは買わないラムネ。
大きなサイズのソーダじゃ味わえないあの感覚
また、今度ラムネ買いに行こうかな。
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