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【毎日一緒】短編小説

彼は毎日私の顔を見る。
夜中ハッと目が覚めて心配そうな顔で私を見たと思ったら安心して眠りにつく。
嫌な夢でも見たのかな?
彼の温もりを感じて私も眠りにつく
朝になって起こすのも私の役目
寝起きが悪い彼を5分ごとにたまに2分ごとに起こす時もある

休みの日は3時間ぐらいずーっと私を見て
時々ふふっと笑ってボーッとしてる。
私を見てくれる彼の事が私は好き。
彼の好みも全部わかってる

いつものように過ごしていたら
彼から「好きだよ」って甘い言葉をかけられる。
こんなの初めてで嬉しい。でも私は声が出せな─
『嬉しい!私も好き』
私から出る声は別の人の声。
そう。私と彼は結ばれない運命なんだ
「あー、そう新しい携帯にしようとしてて」

私はその後中古商品として売られた。
私を愛してくれる人はいない
『ねぇママー!このけいたい欲しい!色可愛い!』
「ふふ、大事にする?」
『うん!』
今は小さな女の子の携帯として生きている。
寝る前になると
『けいたいさん。いつもありがと大好き...ちゅっ!』
へへへと嬉しそうに笑う女の子
私は今とっても幸せに過ごしている
この子にもし、好きな人が出来たらどんな人なんだうと胸を躍らせて──。



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