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横浜家系ラーメン
横浜家系ラーメンですが、「いえけい」と読みます。
決して「やけい」ではないので、お間違えのなきようお願い致します。
さて皆さんお待ちかね、肺結核で入院の第6話なんです。
やっぱりね、長期入院してると飯くらいしか楽しみがなくなるんですよ。
私なんかも食べ盛りな方じゃないですか、いつも残さず完飲完食じゃないですか、病棟でも先頭を切って走ってるじゃないですか。
いつもトップ完食だったので気付かなかったのですが、飯を食い終わった爺さん達が連れ立ってどっか行くんです。
どっか行くっても隔離病棟なんで、どこにも行けないはずなんですよ。
私もアレ?と思ったんです。
ちょっと気になるんで談話室から観察していたんですよ。
そしたら15分くらいで戻ってくるじゃないですか、なんか不思議な行動じゃないですか。
例の可愛い女の子も爺さんとか職人さんと混じっているんで連れションでもなさそうなんです。
これは何だと思って次の昼飯を食い終わったら私も混じってみたんです。
そんな向かう先には階段があるじゃないですか、みんなで笑いながら階段を登ってるじゃないですか、でも結核の病室って最上階だったはずじゃないですか。
そう、登った先の扉を開けると、そこは屋上だったのです。
でもなんか曇ってるんです、晴れだったはずなのに霞んでいるんです、先がガスってるんです。
考えられます?
屋上で結核患者が集まってプカプカ煙草吸ってるんです。
結核といったら肺の病気ですよ?
最悪、肺から出血して死にますよ?
それをプカプカと煙草吸いますか?
もうね、脇目も触れず速攻で病室に戻りましたよ。
そんで屋上に煙草持って戻りましたよ。
こちとら愛煙家ですから、スモーカーですから。
屋上に戻ったら同じ病室の結核職人が煙草吸ってたんで挨拶したんです。
ちぃーす、って。
そしたら職人さんが言うんですよ。
「にーちゃん、無理せん方がええ」
この説得力あるアドバイスが、職人から結核重鎮へと進化した瞬間でした。
「こっから朝焼け見るのも気持ちえーんだ」
もうね、重鎮から直々の助言ですよ、私も朝が早いんで自分のベッドとか誰もいない真っ暗な談話室で飲む缶コーヒーは味気ないと思ってたんですよ。
朝焼けの中でコーヒーと煙草って最強の組み合わせじゃないですか、至福のひと時と言っても過言ではない華厳の滝じゃないですか。
この日から早朝の屋上で煙草の煙を燻らせながらコーヒー飲むのが日課なニッカウヰスキーとなったのです。
そんな日々が続いた朝、看護師さんがやってきて私に言うんですよ。
「第2週も勝ち抜き、おめでとうございます!」
ほら、終わろうと思ったのに終われなかったじゃないですか。
重鎮と屋上が同時に出てきちゃったじゃないですか、でも登場の順番が次回予告と逆ってどういう事ですか、重鎮がいじけるじゃないですか。
でもどうすんですか、これ今年最後の記事じゃないですか、年内に終わらなかったじゃないですか。
【 次回予告 】
この、果てし無く広がる闇は、輝く星のためにあるとしたら。
入院という日が、退院のためにあるとしたら。
天国はこの病棟の隣にあるはずだ。
ここはもう充分に見た、充分に。
たとえそこが禁断の地であろうとも。
次回「帰還」
だが、退院という日が、入院のためにあるのだとしたら。
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