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成人したら、自分を育てるのは、自分。

わたしの場合ですが、父親が過保護・過干渉で、支配的でした。
友達付き合いも禁止でしたし、部活なども禁止。
わたし自身はわかりませんが、目の前で毎日のように実兄を怒鳴りつけ、殴りつけ、大声を出していたことは、精神的DVに入るのかもしれません。
わたしも実は幼い頃に、何故か水がとても怖かったので、水にまつわる何かがあったのかもしれません。とにかく、父は愛情は深かったのですが、その表現を間違えた人でした。
わたしは、人付き合いのいろはも知らずに、大学に進みました。

通っていた大学は、辛うじて家から通える距離でした。だから最初の2年は、頑張って通いました。電車内で知らないおじさんに絡まれることも多かったです。父は門限を設けて更に支配を強めようとしてきました。でも知らない人に絡まれるのは遅い時間に限ったことでは無いのです。通学往路途中でも、絡まれる時は絡まれました。

「俺の言うとおりに生きれば人生うまくいくんだ」良く父はそう言っていた気がします。実兄の扱いに怯えて、父の言いなりになって勉強して、優等生を演じて……大学で、「何か変じゃない?」と悩むようになりました。

そしてわたしは、20歳になって、家を出ました。アパートを借りて、一人暮らしを始めました。「失敗が許される学生のうちに、失敗しておきたいから」と父と交渉(ほぼ喧嘩)しました。父はわたしの見つけたアパートを物色しに大学近辺までやってきました。色々あって、仕送りはしてもらえることになりました(大学生にもなって尚、バイトをすることを許してもらえなかったのです)。

一人暮らしは勉強になりました。何と、自分はレタスさえ買えないのだ、と知ることが出来ました。スーパー内の何処に売っているのかが、わからないのです。箱入りもここまで来たら異常です。エスカレーターにも苦戦しました。家にいた頃からわたしはどこかおかしかったのです。

例えば、五千円を兄に渡されて、「マックでハンバーガーを買ってきて」と頼まれました。わたしは、五千円をフルに使って、ハンバーガーカテゴリの商品をどれだけ効率的に多く買えるか、おつりを最小限に出来るか、計算して、どっさり買って帰りました。家につくと、兄に「これ、2人で食べるんだけど? 飲み物は? ポテトは?」と聞かれました。わたしには、「○○くんはおつかいにいって、何円でりんごとみかんを幾つずつ買いました~」的な、テスト問題みたいな感覚しかなかったのです。

また、これも親不在で食事を任された時ですが、兄と2人だけなのに、2キロ入りのパスタしか無かったので、鍋を幾つも使って2キロ全部茹でたこともあります。兄に「2人で食べる分だけ茹でて、残りをしまっておくという発想はないの?」と聞かれました。なかったんです。思いつきもしませんでした。

そんな失敗をナチュラルにしていたので、一人暮らしでも波乱万丈でした。思えばそこで父と離れたのは良かったのかもしれません。一人暮らしを始めてから、わたしは成人喘息を発症するのですが、父に「俺の言うことを聞かないから病気になるんだ」と嫌味を言われたのを覚えています。大学に通うこともままならない、入院すれすれのグレードでした。毎日のように点滴に通いました。父と離れて、段々、うちの父はおかしいのではないか、干渉が過ぎるのではないかと思えてきました。

父の言いなりに優等生を演じて、勉強して、大学に入って。生活能力もコミュニケーション能力も未熟で。わたしは、最初、「何が俺の言うとおりにしていれば人生うまくいく、だ」と父に苛立っていました。面と向かって噛みついたこともあります。でも、父はさらりと言いました。「お前が勝手にそう育っただけだろう?」と。

わたしは健康問題と、コミュニケーション能力の欠如のため、就職できませんでした。アルバイトも長くは続けられませんでした。あちこちを転々としました。「働けないならしんでしまえ」と父に罵倒もされました。

ああ、誰も責任を取ってくれるわけじゃないんだ。父の掌返しに、ようやくわたしは気づきました。自分を育てるのは、自分しかいないのだと。わたしは目の前で兄が怒鳴られているのを見せつけられ、怯えて、父に従うことを自ら選んだのだと。言いなりになるのを選んだのは自分だと。どんなに怒鳴られても反抗し続けた兄はメンタルも強くなり、サバイバル能力も身につけていたようです。でもわたしはそうできなかった、しなかった。恐怖に負けて父の言いなりになったのです。結果、心を壊し、まともに生きる術も知らず、人生に失敗したと感じています。

成人後は、自分は自分で育て直さないといけない、という想いが、徐々に湧き起こってきました。今では、確信に近いものになっています。自分の言動に責任を負っているのですから、親の所為にはもう出来ないのです。自分のなりたい自分になれるように、ずっと模索しています。


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