突然の出来事2

救急車の中で、救急隊の人に必要事項の会話をしたことだけは覚えてる..。
当のダンナは...心肺停止状態だった..。
救急車が揺れるたびに、心電図モニターが少し動く..。でも、ダンナ自身の心臓の動きじゃなかった..。
何も考えられない..。でも頭を整理しなきゃいけない。覚悟もしないといけない..。
色んな感情や考えがアタシに迫ってきていた..。

ほどなくして病院に着いて、コロナ禍だったこともあり外に設置されたプレハブの待機室にアタシは通された..。
早朝6時半くらい..。ちょっと外を見たら空が明るくなってきていることに気づいた..。

しばらく座って待っていたが、落ち着かない。「どうしよう..。誰に連絡しよう..。」必要なところに、この状況を報告しなくては..。
まずは、ダンナの仕事先の人からだ..。幸いにも、家族ぐるみでお付き合いがあったK氏に早朝にも関わらず連絡した..。もちろんK氏も驚きと動揺を感じとれたが、ありがたいことに会社関係に色々、伝達してくれた..。
次は、ダンナの親である姑だ..。
姑も数年前に夫を亡くし、1人で暮らしていた。
悪い人ではないのだが、まぁ「のんき」な性格な人なのだ..。
息子(ダンナ)が心肺停止で病院に運ばれてるなんて知ったら、気が動転して倒れてしまうんじゃないか..。そう心配しながら電話した。

「あら、そう..。どこの病院に行ったらいいの?」そんな返答にアタシは拍子抜けしたのを覚えている。...こんなに冷静なものなのか?いや、冷静を装っているのか?よくわからないまま、病院名と現状を伝えて電話を切った..。

どれくらい時間が経ったのか、もうわからなくなっていた頃..ようやくアタシは救急救命室に呼ばれた..。ダンナが今、どんな治療を受けているのか..チラチラと周りを見渡したが、見つけることはできなくて、そそくさとパソコンとデスクがある仕切られた別スペースへ通された。
胸部の画像を見ながら、担当の医師が「ここから血液が漏れてるように思いますので、大動脈が破れてますね..。」
その言葉以降の説明は、頭に何も入ってこなかった..。
「大動脈破裂?あぁ、もうダメやん!助からないヤツや..」
アタシの頭の中は、もうそればっかりグルグルしていた..。アタシ、未亡人になるのか..。アタシを置いてこの人は、逝ってしまうのか..。そんな「思い」が行ったりきたりしながら、院内の救急救命室の前の待合のソファーに座った..。

しばらくして、「来たよ、どんな?」馴染みのある声が耳に入った..。K氏だ。
有難いことに、息子たちを連れてきてくれた。
息子たちも、以前からK氏にとてもなついている。K氏と一緒に来て、我が子たちは少し落ち着いているように思った..。だが、日常とはかけ離れた状況に彼らの顔つきは言い表しようのない表情だった..。

とりあえず、医師から聞いたことを話すと、いつもバカみたいに明るいK氏が泣き崩れた..。
「何で..。なんでや..」
見たこともない彼の姿をみて、現実を突きつけられている気がした..。

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