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たったこれだけ?コンサルは二軸思考で食っている

「経営コンサルタントって内緒の特別な思考方法があって、難しそうな計算をしてそう。」

私もずっとそう思っていました。

いざコンサルの仲間入りをしてみると、フェルミ推定による市場規模推定や売上予測をやりますが、それは方向性が決まったあとの検証手段であって、重要ではありません。

二軸思考とは

そもそも二軸思考とは、問題を解決する際に重要因子を見つけ、二軸で表現することで概要を端的に可視化する思考方法です。

二軸思考は大きく分けて3つのタイプがあります。

  1. グラフ

  2. マトリクス

  3. 4象限

1. グラフ

グラフは見慣れている人が多いと思いますが、改めて見ると二軸で表現されています。

グラフ

データのプロット点を結んで推移を分かりやすくしたり、いくつか並べて比較したりすることができて大変分かりやすいです。

2. マトリクス

マトリクスは横軸にカスタマージャーニーであるAIDMAのような購買プロセスを置き、縦軸には目標や施策などを置き、トーナメント表のように対比させて考えることができます。

マトリクス

マトリクスは数値よりプロセスを表す時に大変便利です。

3. 4象限

4象限は軸をクロスさせ、4つの象限を作り出し、各領域に名前をつけることで理解を早めます。

例えば、あなたが外食産業の場合、顧客の嗜好を捉えることができます。

4象限(顧客の嗜好分類と代表的なお店)

または、企業の成長戦略プロジェクトにおいて、大戦略の方向性を策定する際にも大変便利です。

4象限(成長戦略の方向性分類)

二軸思考を使う場面は?

二軸思考を使う場面は多岐にわたります。

私のような経営コンサルタントが関わるプロジェクトは主に大戦略策定から実行方法策定までをサポートしており、特に戦略プロセスでは全てのタイプ(グラフ、マトリクス、4象限)の二軸思考を使います。

プロジェクトの大まかなプロセス

戦術プロセスにおいては具体的で範囲が狭い考察になるため、二軸思考の中でもグラフタイプの作成が多くなる傾向があります。

二軸思考にはどんなメリットがある?

二軸思考をすることで、以下のようなメリットがあります。

  • 話し下手でも共通認識が取れる

  • 無駄のない話ができる

  • 重要因子に気が付く

二軸思考を手に入れることで、共通認識が取れ、たくさん話さなくても相手の”わかった!”につながりやすくなります。
また、同じ図を見ることで誤解を防ぎ、無駄のない建設的な議論をすることができます。
後ほど説明しますが、二軸思考には重要因子の選定が必要であり、見落としの発見や、逆に重要でない因子を発見できます。

二軸思考は網羅性を必要としない仮説思考であり、活用することで目的を迅速に解決できる可能性があります。

二軸思考の例は?

ここでは4象限の例をご紹介します。

例1 売上(=市場規模×シェア)の目標設定

しっかりした数値目標がある場合はグラフでも構いませんが、大きな方向性の認識合わせをしたい場合、かけ算になる項目を二軸にすることができます。

また、理想の領域を記載することで目標設定をしやすくなります。

売上=市場規模×シェア(概要)

基本の二軸を作成したあとに、現在地と目的地がある場合にはそれを落とし込むことで、簡単に戦略を立てることができます。

我々がこの4象限のどの辺にいて、どういう経路を辿って目的地に到達しようか考えることは立派な”戦略”であり、一つ前の図から考えると、かなりまともな話になります。

売上=市場規模×シェア(戦略立案)

さらに条件を追加して、具体的にどの市場規模でどのくらいのシェアを獲得したいのか考えていくことで、発散していた議論も一枚の図で収束させることができます。

売上=市場規模×シェア(条件追加)

このように、一枚の図に条件や現在地・目的地を付加していくことで言葉で示すよりも分かりやすく、多くの情報をまとめて伝えられます。

例2 スポーツジムの利益向上施策(会員数と利用率)

スポーツジムの利益向上について、コストと売上の二軸を設定しました。右上を理想としたいので、コストは「低」を上に設定しています。

例1のようにかけ算ができないものも二軸にすることができます。

スポーツジムの利益向上施策(会員数と利用率)

この図を作ることで、重要因子と不要な因子が判明したのですが、何かわかりますでしょうか。

現状を見ていただくと、すでに売上が高い状態であり、左半分が全く意味をなしていないです。つまり、この会社は売上について考えることより、利用率やその他コストについて考えるべきということがわかります。

このように、重要と思っていたが、4象限にしてみることで実は重要ではない因子があることに気づきます。

結論として、4象限に分割して現在地と目的地をプロットする場合は”対角”に振り分けられる二軸を選定する必要があるということです。

例3 インスタグラムの需要予測(ニーズとウォンツ)

インスタグラムでフォロワーを増やしたいと考えた人を想定し、4象限を作成してみました。

下図に示す通り、全く数値と関係のないものを二軸にすることもできます。

インスタの需要予測(ニーズとウォンツ)

インスタグラムを利用するユーザのニーズとウォンツを把握することで、SNS自体がニーズではなく、ウォンツが大きな力学として作用していることが言えます。

そのため、ためになる投稿より、目の保養や暇つぶしが求められていることがわかります。

例えばこの図に便利グッズをプロットしてみます。便利グッズのニーズは高いですが、ウォンツが低いため、SNSで販売する場合、ウォンツに訴求する必要があることが分かります。

インスタの需要予測(ウォンツへの訴求)

二軸思考の能力を育てるためには?

二軸思考の中でも、4象限の重要因子の選定は難しいのにもかかわらず、重要因子の選定がそのまま結果として現れます。

よい二軸を自力で捻出できるに越したことはありませんが、世界のトッププレイヤーでも、一瞬で捻り出せる代物ではありません。

とは言え、経営者の方やこれからコンサルタントとして働きたい方は今にでもノウハウが欲しいと思います。

そのため、私がいつも実施している重要因子を捻り出す方法と例をご紹介します。

重要因子を導出する方法

  • 目的と課題の明確化をする

  • 課題を因数分解する

  • 戦略やマーケティングに関わる本をたくさん読む

  • インターネットで4象限を調べる

  • 一度二軸を出してから考察する

重要因子の例

  • 市場規模×シェア率

  • 売上高×コスト

  • 客単価×客数

  • 従業員満足度×売上高

  • 商品数×売上高

  • CAGR(年平均売上成長率)×売上高

  • ニーズ×ウォンツ

  • 営業難易度×一人当たり営業コスト

  • インプレッション数×購入率

  • 独自性×便益          …etc

特に重要なことは、目的と課題の認識です。正しく目的を言語化し、現状と目標のギャップである課題を明確にすることが大切です。

また、課題の因数分解について、式で表せるものは極限まで因数分解(ロジックツリーを作る)することが大切です。式で表せないものは気付きにくいため、本質を見抜く必要があります。

今後もロジックツリーや本質の見抜き方等、細かいところでつまづくノウハウをお伝えしていきますので、論理的思考能力を磨いていきましょう。

Sho

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