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【詩】届け

薄暮。私は手を止める。
「思い出は拠り所ではない」
言葉を連ねては消す。
「過去は帰る場所ではない」

つくりものの悲しみを、私は必死に飾り立てる。

誰かを救う為に?
誰かに届ける為に?
少しでも助けになればと思って?

微塵もない。

誰かに届いたことなどあっただろうか。


闇に降る雪が綺麗だから夜明けは嫌いだ
と書いたのはもう十年以上前。

誰に届くこともなく、唯、私の中に在り続けた言葉たち。


そうか、寂しさは確かにずっとここにあったんだな。

創作の火に焼べるべき悲しみがないなんて。

それでも私は好きだったから
読み返しては頷いた。


それだけが、多分。
懲りもせず諦めもせずこうやって書き続けている理由かもしれない。


いつか誰かに拾い上げてもらえる日は来るだろうか。
ただ私に向けられた言葉を。

私だけが好きでいればいい
と言い続けられるほど、独りではいられないので。


どれだけ先でも、拾ってもらえるように
こうして私は、書き残す。


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ローゼン
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