秋になると思い出す事
この季節になると、葉っぱが紅葉してきて山々を赤と黄色の美しいグラデーションで彩る。
勿論、色合いが美しいから人を惹きつけるのはあると思うが、惹きつける理由はもう一つあると思う。それは『命の煌き』だと思う。
紅葉には2種類が存在しており、それは黄色い葉と赤い葉である。
厳密に言うと、赤は紅葉で黄色は黄葉なんだそうだ。(読みはどちらもこうよう)
細かい原理は割愛するので個人的に調べて欲しいが、光合成する時に働く葉緑素があって元々葉は緑に見えている。
冬が近づくと日照時間が短くなり、光合成が上手くできず、幹への栄養が足りなくなるので、葉緑素を吸収して養分にする。
そうすると緑が薄くなり、黄色の成分が見えるようになるので黄色く葉が見える。
また養分や水分を通す道を徐々に塞いでいくが、栄養分は引き続き光合成で作られ、アントシアニンという成分に合成される。
よって葉が赤く見えるようになる。
そして紅葉は落葉する。(落葉樹に限る話で、常葉樹で紅葉するものがあるか、詳細はよく知らない。知ってたら教えてほしい笑)
その期間限定さも儚さを演出するため、魅了する要素の一つであろう。
落葉する紅葉乃至黄葉を語る上でもう一つ触れなければならないのは『アポトーシス』という現象についてだ。
アポトーシスとは別名『細胞の自殺』と呼ばれており、細胞に元から死ぬタイミングが組み込まれている為、タイミングが来ると細胞が死ぬ現象の事である。
有名な現象で言うと『オタマジャクシからカエルになる過程で尻尾が無くなる』や『人の手が成長につれ、水掻きが無くなる』と言ったものがある。
落葉に関してもアポトーシスが起きており、予め葉が落ちる事は決定している。
この紅葉/黄葉とアポトーシスによる落葉は、越冬の準備による現象であり、これを行わないと木は枯れてしまう。
つまり木の幹の視点で見ると、春の訪れを命を張って待つ力強さがあり、
葉っぱの視点から見ると、木への栄養供給という役目を終えて、落葉するまでの最後の色合いになる訳だ。
特に紅葉では、もう供給されることのない栄養が溜まっていき、落葉に向けて最後の美しく赤く染まっていく期間となる。
そんな命の煌きを感じられるからこそ
紅葉/黄葉は美しく感じてしまい、人々を毎年魅了してやまないのかもしれない。
紅葉の季節になると、毎年こんな事を思い出すのであった。