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韓国と中国の不思議な宗教事情

韓国と中国の宗教事情は、とても興味深い。無神論者が多い日本と比べると、ずいぶん違うように感じる。

ちなみに、私はクリスチャンだ。大学2年生の時に洗礼を受けた。韓国でも中国でも、今住んでいるシンガポールでも日曜日は教会に通っている。読んでいる聖書は同じでも、教会を取り巻く環境はその国ならではの文化が反映されているから興味深い。そんなことについて紹介してみたい。

ゴスペルがK-POP並

韓国はクリスチャンが多い。

クリスチャンとプロテスタントを合わせると全体の約3割に上るというのだから、かなりの数だ。町を歩けば、ありとあらゆる場所に十字架が立っているし、そもそもクリスチャンに出会う機会が多い。

私は韓国の大学でアカペラサークルに所属していたのだが、日曜日は練習を入れないという暗黙のルールがあった。クリスチャンの部員たちは、教会に行くのだから、その日に練習を入れても、どうせ人が集まらない。みんなが無意識にそう認識している程に、クリスチャンが多い。

韓国の教会で最も驚いたのは、ゴスペル演奏のクオリティーの高さだろう。初めて聞いたときは、韓流ドラマの主題歌か何かかと思った。歌だってKPOP歌手のように上手いから、つい聞き惚れてしまう。よく聞けば、韓国にはCCM(Church Contemporary Music)という音楽ジャンルが成立してしまうほど、現代版のゴスペル・賛美歌が多く存在する。

また、韓国はクリスチャンが多いがゆえに、異端と呼ばれる宗派が多いのも残念ながら現実だ。大学のキャンパス内でも、そのような勧誘が多いから気をつけたい。

私はある日、大学内で一人の大学生に声をかけられた。。彼女は最後に「それではこの教室に来てください。水槽を用意しています」と一言。どうやら教室に水槽を持ってきて、今すぐ入水させて洗礼を受けさせようということらしい。なんと言うハチャメチャな勧誘だ。

厳しすぎる管理下での礼拝

一方、中国の宗教を取り巻く環境は、とても複雑だ。

基本的に、政府の許可が降りない限り、教会を運営することはできない。説教をしているだけの牧師が逮捕されるということが、普通に起きている。政府に批判的な思想を植え付けているのではないか、と政府は目を光らせているのだ。

私が通っていた北京の教会は、いわゆる政府公認の教会。公認とだけあって、建物は巨大。大勢が集まる。ときどき、温まりに来ているようにしか見えない人を見かけるが。北京の冬は寒い、みんなウェルカムだ。

公認教会ならではの欠点は、牧師が「共産党は素晴らしい!」など発言することがある点だろう。はじめて聞いたときは耳を疑った。でも、この国の状況を理解すると、政府へのリップ・サービスは聞き流すしかないようだ。牧師も本心からそう言っているのではないのだろう、ということもだんだんわかってきた。

地下教会

政府公認の教会とは別に、「地下教会」と呼ばれる教会がある。大大的な建物は建てられない。見つかれば捕まる可能性もある。私も一度だけ足を運んだことがあるが、まさに半地下室とでもいう小さな場所にあった。カーテンは締め切り、外は見えない。「牧師」や「聖書」など教会であることがわかるワードは、別の言葉に置き換えて使われていた。

まるで、かつての「隠れキリシタン」のような状況だ。そんな状況が現在進行形で存在するのか・・・。言論や信仰の自由が、これほどまで抑制されているという現状に直面した瞬間だった。いや、むしろ、当たり前だと思っていた自由こそ、実は当たり前と思ってはいけないのかもしれない。

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