保護犬を迎えるということ

先日こちらに投稿したしんのすけについてですが、しんのすけは元保護犬です。
10年前に我が家に来ました。

里親サイトを見ていて運命的な出会いをして…という話がよくあるのですが、私の場合は全く違っていました。
しんのすけは里親サイトには出ていなかったのでその存在を知らず、私は全く別の保護団体の全く別の犬に里親希望を出しました。

数日後にその保護団体から電話があり、私が希望した子は近所で里親希望の方が見つかり、すでにそちらで飼われることが決まってしまったとのこと。
「私としては残念ですが、良い里親さんが見つかったなら何よりです。良かったですね」と言うと「本当にすみません。でも…」とお話が続き…
「もしよろしければ、私の友だちがやっている保護団体に同じような性格の犬がいるんです。トライアルだけでもしてみませんか?」と提案されました。
それがしんのすけだったのです。
今思えば、里親希望を何度出しても譲渡の審査に通らないと悩んでいる方も多い中、電話で少し話しただけで私を信用してくれたことはとても光栄なことですよね。

そして写真を送ってもらい、その頃私は兵庫県に住んでいたのですが、保護団体の方がはるばる香川県からしんのすけを連れてきて下さり、トライアルが始まりました。

とにかくかなりのビビりで、こちらが見ていたらご飯も食べようとしない。サークル内ではお尻をコーナーにピタッとくっつけて絶対に後ろをとらせない。
なんでも生まれてすぐに他の兄弟たちと一緒に捨てられて、保健所に持ち込まれ、他の兄弟は全て殺処分され、しんのすけだけ残してもらえたそう。
そして保健所で2ヶ月ほど過ごして殺処分ギリギリで保護団体の方に引き出してもらえたとのこと。
1番社会化が必要な時期に保健所にいたので、全く人慣れしてないのです。
そのため攻撃性は皆無ですが感情が感じられない。

もう10年も経った今頃になって、ようやく自分を出せるようになってきたかな?という有様。
保護犬を飼うには、動物の専門家でもない私に偉そうなことは言えないけれど、ただ一つ、絶対に焦ってはいけないということだけは言えるかな。
大袈裟だけど、もうその子が犬生を終える前の日に慣れてくれればいいわ、ぐらいの気持ちでいる方が良さそうです。

ただ今になって思うのです。
しんのすけはうちに来たその日から、オドオド、ビクビクはしているものの、ご飯はきっちり完食するし、ストレス性の下痢もしない。快食快便。
もちろん嘔吐もなし。こちらの様子をジーッと伺うような仕草を見せるものの、多分私や私の家族をそんなに悪い人間だと思っている感じはなかったのです。

以前テレビでとある保護団体の方が
「犬たちはこれから家族になる里親宅へいくときには、ドヤ顔で出ていくんですよ」
と言われていました。
私たち人間からすれば、いきなり見たこともない家に連れてこられて「今日からここがあなたの家だよ」なんて言われて置いていかれ、どんなに不安だろうと思うのですが、案外犬はちゃんとわかっているのかもしれない。
「これからここが僕の(私の)家になるんだ。この人たちはその他大勢の中の一匹じゃなくて、僕(私)だけを特別に可愛がってくれる人たちなんだ」って。

しんのすけもビビりながらもそんな気持ちだったのかなと思うのです。
だからこれから里親さんになる方は、可哀想という気持ちをあまり持たずに、犬たちは意外に希望を抱えてうちに来るのだと思っても良いのではないかな。

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