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喜劇の可能性(悲劇ばかりは疲れるぽよ)
あと一週間で1月終わるとか早すぎるじゃん…今月なにもしてないよ…なんでよ…?って思ったけど、インフルで倒れてて約一週間何もしてないのだ。
せいさまの1月は実質三週間。
さて、twitterのフォロワーさんとのやりとりで、宝塚歌劇の悲劇やら喜劇やらの話になったので、ちょっと書いておこうと思った。
私はとある舞台作品(not宝塚歌劇)を観劇した際に、演出が微妙で出演者の大多数の演技もチケット代金に見合わず嫌になったにも関わらず、人が死ぬシーンでうっかり涙してしまったことがある。
「人が死ぬ」って、感情を大きく動かす装置として非常に有効なのだな、と冷静に感じた。
そして、感情が大きく動くと、なんとなく「感動した!」みたいになるものなんだろうな、と思った。
(そのシーンの演出はわりとまじで胸糞。ほんと無理。)
元々、ちぎみゆプレお披露目から雪組メインで本格的に宝塚歌劇を観始めた人間であり、今も雪組はやっぱり贔屓組なので、雪組の悲劇の多さには食傷気味であるところに、前述の作品を観てしまったので、余計に悲劇が疲れるようになった。
いや、悲劇もね、いい作品あるの分かってるの。
でも、そればっかりは疲れるの。まじで。
「霧深きエルベのほとり」が、人は死なないのに悲しくて悲しくて切なくて切なくて涙した経験があるからこそ、人が死ぬ悲劇は余計に冷めた気持ちになることがゼロとは、正直、言い難い。
しかも、「ANOTHER WORLD」で主人公が死ぬところから始まるのに生き返ってハッピーエンドというとんでもない力技コメディをみせられた後では、最早、人の死を感動発動装置として使うのってナンセンスなのでは?という気持ちもほんのり湧いてくる。
さて、ここから詳しく語りたいのは、宝塚歌劇の作品ではない。
しかし、悲劇に疲れており喜劇を求める方にはなんらかの考える欠片を提供できるかもしれない、と思いついたので書いて行こうと思います。
その作品はWBBの「サムライナイトフィーバー」
我がじたんが弟氏と始めた演劇ユニットWBBの第一回作品であり、後に再演もしている。
当時はじたんがまだ某J事務所に所属しているにも関わらず、弟とはいえその事務所外の人間とタッグを組むことを明確にしたということで、非常に驚きであるとともに、某J事務所がじたんを信頼しているのだなと私は思っており非常に嬉しかった。
出演者はたったの5人。
じたん兄弟に加えて、2歳から芸能界入りしておりキャリアはじたんと同じくらいの井出卓也さん、せいさま大好き救急戦隊ゴーゴーファイブのゴーブルーであり実力派としても知られる谷口賢志さん、そして元劇団四季であり数々のミュージカル作品でもお馴染みの岡幸二郎さん。
改めて書き出すととんでもないキャストをしょっぱなから揃えたんだな…。
じたんのみなぎるやる気を今更ながらひしひしと感じる。
ここからは作品のネタバレがあるので「サムライナイトフィーバー」を今後、DVDなどで観る機会があるかもしれないネタバレが嫌だという人は読まないでください。
元赤穂藩士ののんきで陽気なおバカ三人組が師走の雪降る寒い夜、迷い込んできた寝間着の老人と酒を酌み交わす。
その老人こそ、三人の主君を死へ追いやった憎き敵、吉良上野介。
しかし、三人はそれに気付かず、吉良も元赤穂藩士とは気付かず大盛り上がり。
そこへ、何やらガッツリ討ち入りな出で立ちの堀部安兵衛がやってくるが、ワンシチュエーションコメディなので、タイミングがいいんだか悪いんだか、堀部と吉良は何度もすれ違う。
その勘違いを、観客は笑って楽しむ。
しかし、吉良の最期を我々は知っている。
どこかのタイミングで堀部と吉良は気付くことを薄々感じつつ観ている。
三人は、討ち入りに呼ばれていない。
武士の覚悟や忠義、目の当たりにした老人の人柄、討ち入りに呼ばれていない悔しさ、堀部の圧倒的な強さ。
終盤は驚くほどシリアスで、鳥肌が止まらなかった。
三人がおバカであればあるほど、堀部は登場するだけでその場の空気を変え、更に三人のおバカさが引き立つ。
最後は、堀部が吉良を連行して終わり。
と思いきや、あと少しだけ飲むか、と別れの時間を与えてくれて幕が降りる。
この作中で登場人物はだれ一人として死なないが、浅野内匠頭の死が物語の発端となっているし、我々はこのあと吉良が死ぬことも分かっていて、更に堀部が死ぬことも知っている。
人の死を確実に知っていながらも、コメディ作品と認識させるのに、それはコメディの仮面だったのかと思わせるような。
私はそこまでクドカンマニアではないのだけれど、「木更津キャッツアイ」「流星の絆」と共通する、死というシリアスな悲劇が根底にありつつも見せられる笑いは、共通しているのではないかと思っている。
中盤までは、本当に腹筋が痛くなるほど笑える。
ひたすら笑う。
でも、終盤の緊張感は呼吸を忘れそうになる。(エルベでカールがマルギットの背中を札束で叩くとき、カールが家の外で独り言を言うとき、カールがヴェロニカの膝で泣き崩れるとき、の劇場の空気を思い出してみて欲しい。あれと同じだ。)
めちゃめちゃ泣いたし、でもラストシーンは結局笑って拍手してた。
決してハッピーエンドではない。
でも、悲劇と言い切れない。
コメディだとは思うけど、ハッピーエンドでもないし。
と色々考えちゃう。
悲劇ではなくても感動は出来るし、アンハピエンでも笑って楽しむことは出来る。
「悲劇に疲れた、ハピエンが観たいよぅ。」と思う時には、こういう作品をやたらと思いだす。
宝塚歌劇だって、主演二人が結婚式してラブラブハッピーで終わるものばかりではないことはみんな知っているんだ。
「カサノヴァ」は一時的とはいえ二人は離れるし、「ローマの休日」だって二人は結ばれない。
それでも、あたたかい気持ちになって劇場をあとにした。
そういう満足感というのは、稀有なものなのだろうと分かってはいても、貪欲な私はついつい求めてしまう。
安易に死を感動発動装置にしないでほしいし、感動したとしても疲れてばかりいるのは不本意だ。
取りあえず、この記事でWBBに興味を持って下さった方は是非!観てください!
最近は元タカラジェンヌさんにもご出演いただいており、私は土下座の勢いです。
毎回、じたんと弟氏が交代で企画するので、vol.〇という数字が奇数の!じたん企画の際に!!ぜひ!!!
こんなにひたすらワンシチュエーションコメディばっかりやり続けてる人も少ないんじゃない?ってくらい、じたんはワンシチュエーションコメディの出演などが多く、演出も経験しているので。
ほんとに、ぜひぜひ♡(*^o^*)
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