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新NISAのつみたて投資枠のデメリットとは?投資顧問が損する人の特徴を詳しく解説
つみたてNISAの後継制度であるつみたて投資枠は、投資で得られた利益を非課税で受取れるお得な制度です。つみたて投資枠の利用を検討しているものの、やめたほうがいいという意見もあり、申込みを踏みとどまっている人も多いのではないでしょうか。
本ページでは、つみたて投資枠をやめたほうがいい理由や向いている人の特徴を解説します。口座を開設する証券会社の選び方なども紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
つみたて投資枠はつみたてNISAの後継制度
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2024年12月に開始したNISAのつみたて投資枠は、つみたてNISAの後継制度です。つみたてNISAとは、少額での長期・積立投資を支援するためにつくられた国の制度のこと。通常、投資の利益には20.315%の税金が課せられますが、NISAを利用すれば非課税で受取れるのが大きなメリットです。
つみたて投資枠はつみたてNISAの特徴を引き継ぎつつ、年間投資枠や非課税期間などが大幅に変更されました。非課税期間は20年から無期限に変わり、最大40万円だった年間投資枠は120万円に増額されています。
また、一般NISAの後継制度である成長投資枠との併用が可能になったり、非課税保有限度額が800万円から1,800万円に増えたりと、より効率的に資産形成ができる制度になりました。投資対象はつみたてNISAと同じく、保有中のコストが一定水準以下の投資信託です。購入手数料もかからないので、投資初心者でも気軽に始められるでしょう。
旧NISAと新NISAの違いについては、以下のページで詳しく解説しています。仕組みについて理解を深めたい人はぜひチェックしてみてください。
つみたて投資枠はデメリットが多い? やめたほうがいいといわれる理由
つみたて投資枠は利用するメリットが多い制度ですが、やめたほうがいいといわれることがあるのも事実です。まずは、つみたて投資枠のデメリットを詳しく解説します。
投資できるのは特定の投資信託・ETFのみ
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やめたほうがいいといわれる理由のひとつに、つみたて投資枠は特定の投資信託・ETFにしか投資できないという点があります。個別企業の株式や新規公開株、不動産投資信託などには投資できません。
さまざまな金融商品に投資したい人には、つみたて投資枠が物足りなく感じられることもあるでしょう。投資信託以外への投資を検討している場合は、つみたて投資枠ではなく成長投資枠がおすすめです。
成長投資枠なら、株式をはじめとしたさまざまな商品に投資できます。非課税期間はつみたて投資枠と同じく無期限です。年間240万円まで非課税で投資できるので、資産運用の幅を広げられるでしょう。
なお、つみたて投資枠と成長投資枠を併用することも可能です。投資信託以外の商品にも投資したい人は、2つの枠を組み合わせて運用することも検討してみてください。
運用成績によっては元本割れのリスクがある
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つみたて投資枠で運用する投資信託は、元本保証がありません。運用成績によっては、資産が減ってしまう可能性もあります。
ただし、つみたて投資枠では比較的リスクが抑えられる長期・積立投資が可能です。毎月同じ金額を積み立てることで、価格が安いときには数量を多く、価格が高いときには少なめに購入できるので、平均購入金額を抑えられます。
つみたて投資枠は一定のリスクをともなうものの、日々の値動きに一喜一憂せず継続できれば、安定的に資産運用ができる制度といえるでしょう。
成長投資枠に比べて投資できる金額が少ない
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つみたて投資枠の非課税投資枠は年間120万円、月々で換算すると10万円程度です。まとまった資金がある人は、年間240万円を非課税で投資できる成長投資枠のほうが効率よく資産を増やせる可能性があります。
とはいえNISA制度は非課税期間が無期限なので、年間120万円でも長期的に運用すれば利益を十分に伸ばせるでしょう。非課税で受取った利益を再投資に回すことで、利益が利益を生み出す複利効果が発揮されます。運用期間が長くなるほど、利益が雪だるま式に増加していくことを覚えておきましょう。
短期投資には不向き。資産形成までに時間がかかる
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つみたて投資枠は原則として積立投資しかできないため、短期投資には不向きだといえます。証券会社によっては年2回までボーナス設定月を決めて追加投資できますが、毎月または毎日積立投資を行うことが前提です。
長期投資を行うことで利益を増やしやすい仕組みなので、資産形成にはある程度の時間がかかることを理解しておきましょう。
とはいえ、自分でタイミングを見て一括投資できない点はデメリットでもありますが、価格の動きを正確に予測できる人はほとんどいません。取引のタイミングを考える必要がなく、機械的に積立投資できることはメリットとも考えられるでしょう。
損失が出ても損益通算・繰越控除ができない
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つみたて投資枠は、損失が出たときに税制優遇を受けられないデメリットがあります。利益が非課税になる代わりに、損失が出てもほかの課税口座との損益通算ができません。
損益通算とは、同一年に生じた利益と損失を相殺することです。例えば、同じ年に投資信託で10万円の損失、株式で10万円の利益があった場合、両者の損益を通算し、利益は0円として税金を計算できます。その点、つみたて投資枠で損失が出ても、課税口座で運用している金融商品の利益と合算できない点に注意しましょう。
新NISAのつみたて投資枠をやめたほうがいい人の特徴
新NISAのつみたて投資枠をやめたほうがいい人の特徴は4つあります。ここから詳しく解説するので、自身の性格や収支状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。
短期投資や一括投資が目的の人
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短期投資や一括投資が目的の人は、つみたて投資枠に向いていないといえます。つみたて投資枠では、非課税で投資できる上限が年間120万円にとどまるほか、運用できる商品も長期投資に適した投資信託のみです。短期間でお金を増やすのは難しいといえるでしょう。
また、つみたて投資枠は一定の金額を定期的に積み立てる投資方法であり、長期投資を前提としている制度です。そもそも一括投資はできないうえ、利益を伸ばすには長期的に投資する必要があります。まとまった金額を一括で投資したい人や、銘柄の値動きを見極めてすぐに利益を得たい人は、FXなど別の投資方法を探したほうがよいでしょう。
ただし、短期投資は大きなリターンを狙える反面、リスクも大きくなります。取引のタイミングを見極めるには一定の知識・経験が必要になるため、投資初心者がいきなり短期投資をしても、うまくいく可能性は低いでしょう。自分の投資スタイルや目標を見つめ直したうえで、最も適した制度を活用することが重要です。
金銭的に余裕がなく、投資資金を用意するのが難しい人
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家計が苦しく投資する余裕がない人は、つみたて投資枠に限らず投資全般には手を出さないのが賢明です。生活費を補うために、つみたて投資枠で保有する商品を売却してしまうと、長期投資によるメリットを享受できません。損失のリスクが高まるほか、利益も思うように伸ばせなくなります。
投資は余剰資金を使って、無理のない範囲で行うものです。投資に回す余裕がなければ節約をするか、収入を上げるために転職活動や副業を始めることも検討しましょう。
元本割れのリスクを許容できない人
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元本割れのリスクを許容できない人も、無理に投資をしないほうがよいでしょう。一時的な資産の変動に惑わされて保有する商品を手放すと、損失が生じる可能性が高くなります。
元本割れを避けたい場合は、元本が保証される定期預金や個人向け国債などに投資しましょう。ただし、定期預金や個人向け国債では、大きなリターンは期待できません。リスクが低い金融商品はリターンも少ないことを忘れないでください。
新NISAのつみたて投資枠はどんな人に向いている?
ここからは、つみたて投資枠が向いている人の特徴を紹介します。つみたて投資枠のメリットを正しく理解したうえで、本当にやめたほうがいいのか判断してみてください。
投資初心者の人
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つみたて投資枠は、どの商品に投資したらよいかわからない投資初心者におすすめです。購入できる商品は金融庁が厳選した投資信託に限定されているので、商品選びに悩むことも少ないでしょう。
投資信託は複数の投資先で構成されているため、1つの商品を購入するだけで自動的に分散投資できます。また、運用できる投資信託はすべて長期投資に適しており、政治・経済の動向や短期的な値動きによる損失のリスクを抑えやすいのが特徴です。運用もプロに任せられるので、取引のタイミングなどを自分で判断する必要もありません。
少額から投資を始めてみたい人
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少額から投資に挑戦したい人も、つみたて投資枠が向いています。金融機関によっては100円から積み立てができる商品もあり、投資のためにまとまった資金を用意するのが難しい人でも気軽に始めやすい点が魅力です。
毎月の積立金額はあとからでも変更できるので、少額からスタートし、投資に回せる資金が増えたら積立金額を上げるとよいでしょう。最低積立金額は金融機関によって異なるため、実際に口座を開設する前にチェックしておくことをおすすめします。
投資期間が長い20代・30代の人
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投資期間を比較的長くとりやすい20代・30代の人も、つみたて投資枠の活用を検討してみてください。先述のとおり、新NISAでは無期限の非課税期間を活かして投資ができます。若いうちから始めておけば、長期的な目線でじっくりと資産を増やせるでしょう。
いつでも好きなタイミングで引き出せるため、将来まとまったお金が必要になったときに対応しやすい点もメリットです。今はライフプランが決まっていない人も、余裕を持って貯蓄ができるうちにつみたて投資枠を始めておくと、将来の結婚資金や住宅購入費、教育資金などの出費に備えられます。
教育資金や老後資金を準備したい人
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つみたて投資枠は、教育資金や老後資金を準備したい人にもおすすめです。長期投資で資産を増やせるつみたて投資枠を活用すれば、将来に向けてまとまったお金を用意できます。
大学への進学を視野に入れる場合、子どもが生まれたころから投資を始めると、入学までの約18年間を活用して資産形成が可能です。進学先や学部にもよりますが、私立大学では4年間で500万円程度がかかるため、早めに準備を始めておくとよいでしょう。
ライフステージのなかで特に大きなお金が必要とされる老後資金の形成にも活用できます。国内に住む18歳以上なら誰でも運用できるため、20〜30代はもちろん、子育てが落ち着く40〜50代や定年退職後でも始められるのが魅力です。投資によって得た利益をさらに運用すれば、老後の生活資金を十分に蓄えられるでしょう。
新NISAのつみたて投資枠で失敗しないためのポイント
つみたて投資枠の運用で成功するためには、長期的な目線をもつなど、いくつかのポイントを知っておくことが大切です。以下で詳しく紹介するので、つみたて投資枠を始めたいと考えている人はぜひ参考にしてみてください。
長期的目線・短期間の損得で売り買いしない
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つみたて投資枠を運用する際は、長期的な目線をもち、短期間の損得に左右されないことが重要です。長期運用を行うことで複利効果が働き、より効率的に利益を得られる可能性が高まります。
コツコツ積み立てることでドル・コスト平均法を実践できる点もメリットです。ドル・コスト平均法を用いると、価格が安いときに多く、価格が高いときに少なく購入できるため、平均購入単価を下げられます。積立期間に応じて購入価格が平均化される期間も長くなり、価格変動リスクに備えることが可能です。
つみたて投資枠は非課税期間が無期限なので、例えば30~40年といった長期間なスパンで投資を行うのもおすすめ。投資信託をはじめとする金融商品は国の財政状況などさまざまな影響で価格が変動するものなので、短期間の損得で一喜一憂せず、継続的に積み立てる姿勢を心がけましょう。
金融商品を複数組み合わせてリスクを分散する
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つみたて投資枠で投資を成功させたいなら、ほかにも複数の金融商品を組み合わせてリスクを分散させましょう。
金融商品は国内外の財政状況や企業の業績などの要因で価格が変動するため、投資先が偏っていると、万が一の事態が起きた際に大きな損失を出す可能性があります。その点、値動きの異なる金融商品を組み合わせて投資を行えば、ひとつの商品で大きな損失が出ても、すべての資産を失う事態は回避できるでしょう。
組み合わせる商品は投資の目的にあうものを選ぶことが大切です。例えば、元本割れのリスクを回避したいなら定期預金やiDeCoの元本保証型商品、短期間で大きなリターンを狙いたいなら株式やFXが候補になります。ただし、大きなリターンが期待できる商品はリスクも大きくなるため、元本割れの可能性があることも覚えておきましょう。
運用のプロに相談してみるのも手
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運用方法に迷ったら、プロに相談することをおすすめします。つみたて投資枠は長期運用を基本とした制度なので、運用を行うなかで市場が暴落したり、どのように運用すればいいのかと迷いが生じたりすることもあるでしょう。
商品選びや銘柄選びなどに関する疑問点は、金融機関やIFA(ファイナンシャルアドバイザー)など、資産運用のプロからアドバイスを受けることで解決するケースもあります。大手ネット証券のなかにはカテゴリーごとに相談窓口を設けているところもあるため、特に初心者は積極的に活用してみてください。
口座開設先は1つのみ。商品数や手数料を比較して選ぼう
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NISA口座を開設できる金融機関は1つのみなので、取扱商品数や手数料を比較したうえで開設先を選びましょう。
取扱っている投資信託の数は金融機関によって異なります。購入したい商品があらかじめ決まっている場合は、取扱いがあるかを確認しましょう。どの商品にすればよいか迷っているなら、ラインアップの豊富な金融機関を選んだほうが選択肢を広げやすいのでおすすめです。
つみたて投資枠と成長投資枠の併用を検討しているなら、手数料にも注目してみてください。つみたて投資枠の購入手数料はどの金融機関も無料ですが、成長投資枠の購入手数料は金融機関によって異なります。特に長期投資ではコストの負担がかさみやすいため、手数料の安い証券会社を選ぶのが賢明です。
新NISAのつみたて投資枠を始めるならネット証券がおすすめ!
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つみたて投資枠を始める場合は、ネット証券の利用をおすすめします。店舗のある証券会社と比べて取扱銘柄数が多く、保有コストが安い投資信託を選びやすいのが特徴です。大手のネット証券では、200種類近くの銘柄を扱っています。オンラインで口座開設や積立注文を完結できるのもメリットといえるでしょう。
以下のページでは、つみたて投資枠の口座開設に対応している証券会社を紹介しています。これからつみたて投資枠で投資を始めたい人は、今すぐチェックして自分にあう証券会社を選びましょう。