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我々が不知火カヤを庇うための諸考察
こんにちは。カルバノグの兎2章前半が公開され、合わせてミニイベント、シャーレの総決算with連邦生徒会が始まりましたね。私は特に好きなキャラのアリスが、ついにハードで神名文字を掘れるようになってご満悦です。
ついに固有3にできるぞ!
さて、考察的に大事なのはカルバノグ2章の方ですよね。とはいえ、まだ物語は前半しか紡がれておらず、しかもその前半で超展開があったというわけでもありません。
ですので今回は、後半から色んなことが起こると予想して、それを最大限楽しむために、先に不知火カヤについて考えていきます。
この記事はブルーアーカイブのメインストーリーのネタバレを含みます。まだ読んでいない人はすぐ読んでください。
不知火カヤって誰?
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まず、不知火カヤというキャラクターの素性についておさらいしましょう。
不知火カヤは連邦生徒会に所属する生徒で、高校二年生です。行政委員会に11ある部署のひとつ、防衛室の室長を務めています。いつも目を細めて微笑んでいますが、目を開けるとヤギの目に似た細長い瞳孔が確認できます。
性格は冷静で、表面上は憐れみ深い人物として振る舞っています。例えば、公園でデモ活動を行うRABBIT小隊の学籍の維持をしていたのは彼女です。
ところが、裏では談合や軍事クーデターなどを企てる策謀家でもあります。vol.4 カルバノグの兎編や最終編『あまねく奇跡の始発点』などにおいて、FOX小隊を部下にさまざまな暗躍を行なっていました。
特にカイザーコーポレーションとの繋がりは特筆に値します。
カルバノグの兎編1章「RABBIT小隊始動!」では、不知火カヤは軍事クーデターに使用する戦力と、クーデター成功後の治安維持部隊をカイザーPMC等に求めていました。カイザーコーポレーション側は見返りとして、子ウサギタウン再開発事業などの独占受注と、強引な立ち退きの黙認を得ていました。
最終編1章「シャーレ奪還作戦」では、不知火カヤとカイザーコーポレーションの協力で、シャーレの先生を拉致することにも成功しました。ただし、その後カイザーコーポレーションは不知火カヤを裏切っています。
最終編4章「プレナパテス決戦」では驚くべきことに、不知火カヤは再びカイザーコーポレーションと手を組みました。背後から撃ってきた相手ともう一度手を組むなど正気とは思えませんが、不知火カヤはだからこそ自分は"超人"なのだと語りました。
そして来たるカルバノグの兎編2章「We Were RABBITs!」の前半で、不知火カヤは念願のクーデターに成功しました。カイザーPMCによって強力な統制を敷くことはできましたが、そこに襲いかかるのは足りない人的資源、多すぎる仕事。問題だらけの状況で、不知火カヤ連邦生徒会長代理はキヴォトスをまとめることができるのでしょうか……。
というのが現状分かっている不知火カヤについての情報です。
日本の法律で考えると、内乱罪や窃盗罪、不当な取引制限の罪、公文書偽造等の罪、職務専念義務違反などにあたるでしょうか。
犯罪者といえば七囚人や黒崎コユキが頭をよぎりますが、不知火カヤはそれらと違い、大手メディアを通じて名乗りを上げています。逃げるのはもう不可能ですね。
さて、不知火カヤを考える上で分からないことはいくつかありますが、特に分からないのはその業務です。防衛室とはそもそも何なのでしょうか。
①防衛室とは何をする部署なのか?
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カルバノグ1章で不知火カヤは、
防衛室とは、行政委員会における安全保障周りを担当している、キヴォトスの安全を脅かす勢力から、生徒や市民を守る組織である
と説明していました。
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安全保障とは、文字通り対象の安全を保証することです。不知火カヤが言っているのは、中でも古典的な国家安全保障と呼ばれるものでしょう。「外部の脅威から軍事的手段をもって守ること」、つまりほぼ「国防」のことです。
古典的なと形容していることから分かるように、現代では国防だけで安全保障を完遂することはできないとされています。軍事的に優れていても、経済的、外交的、あるいは政治的に不安定であれば、安全が保障されているとは言い難いでしょう。
また、人間の安全保障(ヒューマン・セキュリティ)という概念になると、さらに要素が拡大します。人間の安全保障は、一人ひとりの生存・生活・尊厳を守ろうという考え方です。この場合、対するものには外的脅威だけでなく、犯罪やテロのような内的脅威・貧困・自然災害・感染症などが含まれるようになります。
日本では、輸送路の保全や気象と自然災害の観測は国土交通省、各国との外交は外務省、環境の保全は環境省、国内の治安維持は国家公安委員会、そして日本の国防を防衛省が担当しています。
現代国家の安全保障は、このように多くの部局で役割分担して実現されているのです。
それはおそらくキヴォトスでも変わりません。防衛室で交通路の保全を行うことはないでしょうし、逆に交通室で治安維持を行うこともないでしょう。
よって防衛室では、国内の治安維持(国家公安委員会)と国防(防衛省)にあたる業務を行っていると考えるのが妥当だと思います。また、その下部組織として警察と軍隊(警察庁と自衛隊)の存在があるはずですが、現状キヴォトスの敵国は存在していないと思われることから、ヴァルキューレ警察学校がそれらを兼任していると考えられます。
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では、具体的には何をしているのか?
現状分かっているのは、ヴァルキューレ警察学校の指揮権を持つことだけです。
前述の通り、ヴァルキューレ警察学校は警察業務と軍隊業務を兼任しています。警察業務としては、D.U.内での犯罪対応と、狐坂ワカモなどの複数自治区にわたって活動する不良生徒への対応が主であると考えられます。
また、軍隊業務への比重はそこまで高くない可能性もありますが、ペロロジラ出現演出ではヴァルキューレ警察学校の校章がついたヘリコプターが墜落していることを確認できます。少なくとも、総力戦で対応する怪談の無限図書館やデカグラマトンを撃退できる戦力は保持している、と考えるのが無難だと思います。
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ヴァルキューレ警察学校内の組織で概要が分かっているのは以下の3つです。
○警備局
生活安全局などでは対処の難しい犯罪に対処する組織。キヴォトスはハイジャックなどの重大犯罪が日常的に発生するが、この組織の機動隊がそれに対する戦力の中核を担っている。ただし、初動が遅い。
○公安局
テロなど、より規模の大きい犯罪に対処する組織。警備局より良い装備を支給されているエリート集団である。活動のための手続きが非常に煩雑で、緊急の増援へ行くにも、1週間に一度しか発行されない証明書を提出して支援要請書や捺印済みの現場報告書などを揃える必要がある。臨時発行にも防衛室への申請が必要であることから、初動が遅い警備局よりさらに初動が遅いと思われる。
○生活安全局
パトロールなどの防犯活動や防犯教室の開催などにより、市民生活の安全と平穏を守る組織。成績が優秀でない生徒が配属されるため、戦力としては比較的弱く、舐められがち。
防衛室は、これらの組織を必要に応じて派遣し、また必要に応じて他の行政委員会とも連携して、D.U.及びキヴォトスの安全を守るのが仕事であると考えられます。
そう考えた時に異常な点
ところが、問題があります。それは、不知火カヤが列車のハイジャックが日常的に起こることを知らなかったことです。
前述より、重大事件の対処は警備局の仕事です。これを知らなかったということは、不知火カヤは警備局の業務内容の手続きに全く関わっていないことになります。
これについて話している防衛次長がどの組織の人物なのかは不明ですが、もし防衛室の人物だったとした場合、部下の日常業務を知らなかったことになります。
不知火カヤは公安局の局長である尾刃カンナに対しては直接命令を行っていました。それにも関わらず、警備局の仕事は知らないというのは、どういうことでしょうか?
仮説1:連邦生徒会長は防衛室長を閑職にしていた
つまり、不知火カヤは、何もやらせてもらえない立場だったのではないでしょうか。
警察と軍隊を指揮する部局のトップのやることがないというのは、かなり意味不明な状況です。ところが、なんとこれが成り立つ政治体制が存在します。
そう、独裁体制です。
独裁体制は、ある個人のカリスマ性を中心として、その個人が独占的に国家権力を掌握し、政治を行う国家体制です。独裁体制においては、独裁を妨害しようとするテロリストや民主主義者への対処のため、大規模な警察や軍隊が不可欠です。
ですが、問題があります。大規模な警察や軍隊は、同時に軍部クーデターの可能性を孕んでしまうのです。
現実でも、例えばエジプトで2011年エジプト革命でホスニー・ムバラク氏が辞任した時、エジプト軍はムバラク氏に追随せずデモを黙認しました。また、さらに2013年エジプトクーデターではまさに軍部クーデターが発生しています。
よって独立体制では、警察や軍隊を維持しつつ軍部の力を削いでおくために、トップの仕事を減らしてお飾りにする、という選択があり得るのです。この上で独裁者が警察や軍隊の実権を握っておけば、軍事クーデターは起こりにくくなります。
さて、そろそろお気づきでしょう。
独裁者とは、連邦生徒会長のことです。
独裁体制にはあまり良いイメージがない方も多いかもしれません。しかし、独裁者の能力が非常に優れていた場合、優れた秩序と大幅な発展を得ることも可能とされています。
現実では、ユーゴスラビアのヨシップ・ブロズ・ティトー氏がその例に当てはまります。ティトー元帥は独裁体制下でユーゴスラビアに秩序をもたらし、国を大きく発展させました。
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キヴォトスは有能でカリスマに溢れた連邦生徒会長を頂点とする独裁国家でした。そして、その頃から防衛室長は閑職だったのです。連邦生徒会長は最もクーデターに近い存在が軍部であることを認識していました。実際、連邦生徒会長が存在した時点でも当時の防衛室長が暗躍しています。
そして、連邦生徒会長は自分専用の軍隊であるSRT特殊学園を組織し、暗躍を暴きました。
SRT特殊学園がヴァルキューレ警察学校に対処できない存在への対抗手段として作られたのは間違いありません。しかし本質的には、連邦生徒会長を倒す可能性が最も高い存在、すなわち防衛室長に対するカウンターとして作られたのではないでしょうか。
②SRT特殊学園と防衛室長の関係
さてそれを踏まえると、SRT特殊学園は防衛室長の敵になる運命だったのでしょうか?
私は、それは違うと思います。
それは不知火カヤの目がヤギの目だからです。
不知火カヤの目がヤギのものである理由は、こちらの記事で贖罪のヤギなどとの関連を考えましたが、それは重要ではありません。
大事なのは、不知火カヤの他にヤギのモチーフがあれば、それは不知火カヤと関係を持つべき存在である可能性が高い、ということです。
そして、ブルーアーカイブにはヤギを校章に持つ学校が一つだけあります。
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そうです。SRT特殊学園です。
SRT特殊学園の校章は、「左を向いた翼を持つヤギ」です。SRT特殊学園は、なぜ最も大きな敵になるであろう防衛室長を想起させるものを校章にしているのでしょうか?
最も倒すべき防衛室長をバフォメットに喩えることで、その敵意を示している……と考えることもできます。
ただ、より自然な解釈として、こんなものはどうでしょうか。
仮説2:連邦生徒会長は、SRT特殊学園を不知火カヤに任せるつもりだった
連邦生徒会長は、自分がいなくなった後のSRT特殊学園を、不知火カヤに任せるつもりだったのです。
先ほどの独裁者の話は覚えているでしょうか。その中で、ユーゴスラビアの独裁者ティトー元帥の話を思い出してください。
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ティトー元帥は西側諸国と東側諸国の間で非常にうまく立ち回り、多民族国家で分裂と不満が続いていたユーゴスラビアをまとめ上げて多大な繁栄をもたらしました。
ですが、現代ではユーゴスラビアは崩壊し、たくさんの共和国に分裂しています。スレブレニツァの虐殺などの虐殺を含む紛争が各地で起こり、情勢が安定するまでには非常に多くの犠牲を必要としました。
ティトー政権時代には安定していたユーゴスラビアは、なぜこんなめちゃくちゃになってしまったのでしょうか?
それは、これこそが独裁体制の弱点だからです。
独裁体制は、優秀な独裁者が行うことで素晴らしい結果をもたらす力を持っています。しかし、同時にその優秀な独裁者が死んだ後、国家が急速に崩壊するリスクがあるのです。
それは、独裁国家キヴォトスでも同じです。連邦生徒会長がいる現状はなんとかなっていますが、もしいなくなってしまえば、政権崩壊は免れません。しかも、キヴォトスには三権分立どころか国民投票も国民議会もありませんから、現状のままいなくなれば、誰かが決起するまで荒廃し続けるかもしれません。
これを避けるには、どうにかしてキヴォトスを民主化する必要があります。とはいえ、短時間で独裁体制を脱却することは難しく、もし投票で選出された大統領が再び独裁しようとすれば、間違いなくキヴォトスはめちゃくちゃになるでしょう。
そこで連邦生徒会長が用意したのが、SRT特殊学園です。
連邦生徒会が暴走してしまったとき、咎めるための第三者機関を設置することで、民主主義が破綻しそうになっても無理やり戻す監査組織を作ろうとしたのではないでしょうか。
そして、その監査組織のトップになる予定だったのが、不知火カヤなのです。
連邦生徒会長が不知火カヤを選ぶ理由は、不知火カヤが最も連邦生徒会長を信じているからです。
そもそも、不知火カヤは一貫して連邦生徒会長を崇拝しています。これは、ある事件をきっかけに選ばれた室長だと考えられるからです。
その事件とは月雪ミヤコがSRT特殊学園への進学を決めた、「防衛室とカイザーコーポレーションの癒着事件」です。
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FOX小隊によって公になったこの事件は、キヴォトス最大のマスコミであるクロノス放送部によって伝えられました。これで防衛室長が責められないわけはなく、ほぼ確実に辞任しているでしょう。
よって、不知火カヤはその次に選ばれた防衛室長と考えられます。
不知火カヤは連邦生徒会長が本当に有能で、あらゆる問題に備えていたことを知っています。その強い忠誠心は、連邦生徒会長がいなくなっても続くでしょう。そう、連邦生徒会長の正義を守る組織である、SRT特殊学園を指揮するにはピッタリなのです。
結局のところ、不知火カヤをSRT特殊学園のトップにすることは達成されませんでした。その結果、何もすることがない職務だけが残ります。その暇の中で不知火カヤは、どんなに汚職しても気づかない七神リンが連邦生徒会長の座に値しないという結論に至り、クーデターを起こしたのではないでしょうか。
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まとめ
①不知火カヤが日常的にハイジャックが起きていることを知らなかったのは、そもそも連邦生徒会長が防衛室長を閑職として作ったから
②連邦生徒会長は、不知火カヤをSRT特殊学園のトップにすることで、なんとか平和的に民主化したかった
この2つの事柄から以下の事柄を考え出せます。
不知火カヤのクーデターは、キヴォトスが独裁国家であった以上、避けられない自体だった。
連邦生徒会長はそれをどうにか避けようとしたが、間に合わなかった。
結論として、この事態の責任は不知火カヤではなく、連邦生徒会長、ひいては連邦生徒会長という子供に全てを任せた大人にあると思います。
もちろん、不知火カヤに罪がないわけではありません。そうなるのが当然な状況ではありますが、最終的にクーデターの引き金を引いたのは不知火カヤ自身です。しかし、責任は違います。
この事件が起きた責任は、キヴォトスという国家の体制に起因します。その国家が子供に任されているなら、その責任を取るのは大人、あるいはシャーレの先生にあるはずです。
きっと、シャーレの先生は、最終的に不知火カヤを庇うでしょう。そして、それにムッとなってしまうこともあるかもしれません。
ですが、やはり責任は大人のものなのです。ですから私たちも、不知火カヤには責任がないことを理解して、その罪だけを咎めるようにしたいものです。
あとがき
賞味期限1時間の記事なので省略