島根原発での作業員さん死亡事故についてふたたび
昨年の12月21日に中国電力・島根原発での作業員さんの死亡事故については12月29日に取り上げて記事にしていますが、、、
これについて、1月30日に中国電力は再発防止策のなかで、事故の主な原因として不自然な回答しています。
これを読んでいくと、事故の「主な原因」として次の項目を記しています。
文字が薄くて読みづらいかもしれませんが、次のように書いてあります。
「調査の結果、原因を以下のとおり特定しました。
作業に先立ち、当初は落下したコンクリートを除去する予定だったが、重機を使用しても除去できなかったため、当該コンクリートが落下する恐れはないと判断した。そのため、コンクリートを残置した状態での落下防止措置の実施を含めた作業手順※の変更を行わず、作業を実施した。
重量物の落下による災害の危険性に対する認識が薄かっ
①重機を使用しても除去できなかった。(均しコンクリート)
②当該コンリートが落下する恐れはないと判断
③コンクリートを残置した状態で作業
そして、添付資料として次の事が書かれ災害発生時の状況をポンチ図で描かれてあります。
https://www.energia.co.jp/atom_info/assets/press/2024/p20240130-1a.pdf
私がこの事故が不自然に思えるのは、最初から重機を使用していたのかと思うのです。すなわち、上記にも書きましたが「均しコンクリート」というのは「捨てコン」の事で、スラブコンクリートを打設する前に鉄筋を正確に配筋するために打設する圧縮強度が低い18N/mm2(ニュートンパー平方ミリメートル)で打設します。しかも、原発ですからこの基準は守るでしょう。
そして、スラブコンクリートですが、通常は24N/mm2で打設します。すなわち、捨てコンとスラブコンクリートでは強度の開きがあるのです。つまり、スラブコンクリートの圧縮強度24N/mm2は1mm2あたり約2.4kgまでの物体が乗っかっても大丈夫という考えが基準になっています。わかりやすく言うと1m角のスペースに60kgの人が約40,000人乗っても耐えられるコンクリート強度ということになります。
それだけ、スラブコンクリートと捨てコン(均しコンクリート)では差があるのです。ですから、重機で落とせないわけがないのです。そして、②の「当該コンリートが落下する恐れはないと判断」は何をもって判断したのでしょうか。これは恐らく法律にも反していると考えられるでしょう。何故なら支保工も行っていなかった。という事です。そして、③ですが、「コンクリートを残置した状態で作業」したということです。もちろん現場監督の資質も問われるでしょう。工事責任者も問われるでしょうが、そして、松江の労働基準監督署もこの事故を許していたのでしょうか。
山陰中央新報がこの事件を巡り、次の記事を書いています。
この事件は謝罪だけで済む問題ではありません。そして、見え隠れするのが偽装請負の匂いです。元受けはどこの企業でしょうか。
(つづく
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