Favorite ART #22
こんばんは🌙ロリアです🌹
今日もロリアの住む地域は寒かったのですが、元気にステキな一日をお過ごしだったでしょうか。
ロリアはなるべくのんびり過ごしながらも、ちょこちょこ作業をしております。
さて今夜は、「Favorite ART」からロリアの好きな映画についてお話しします。
タイトルは「あん」です。
(以下ネタバレがあるのでご注意下さい)
川瀬直美監督の2015年公開の映画です。
普段あまり邦画は見ないのですが、珍しくふと見た映画です。
タイトルのあんは、小豆のあんで、映画の舞台は「どら春」という小さなどら焼き屋さんです。
小豆好きのロリアとしては、まずはそこが興味を惹かれたポイントでした。
とにかく、小さめの手作りどら焼きがとっても美味しそうです。
丁寧にあんを作るシーンがあって凄いのですが。
なんと、その映画に出てくるあんのレシピは、映画パンフレットにも載っているのです。
ロリアも後日作りましたが、とっても美味しかったです。
甘くて柔らかなお菓子を表題にしつつも、実は映画の内容はかなり重めです。
樹木希林さん演じる徳江さんという女性は、長年ハンセン病の施設で隔離生活をしていました。
外の世界で働くことも許されず、76歳にして初めて永瀬正敏さんが店長を演じるどら焼き屋「どら春」で働くことになります。
どら春の店舗の前には桜並木があり、夜には満月が輝き、鳥の囀りや風の音がキーポントとなっていて、人が住む街並みと対比して、とても美しく儚い情景が要所要所に流れます。
徳江さんと、服役した過去を持つ店長さんの不思議な縁と、そこへ樹木希林さんの実のお孫さん演じる孤独な中学生の女の子の三人の、何処か似ている闇を持った三人の心の交流が素敵です。
世間、親、様々なものから孤立してまるで独りのように感じている登場人物たちに、徳江さんの言葉のひとつひとつがとても心に染みます。
「この世を見る為に、聞くために、生まれてきた」
「何かになれなくても、生きる意味がある」
生きるとは、生きているとは、何のためか、意味付けを求めますが、それを超越した言葉が心に刺さります。
徳江さんは、いつも自然の声、万物の声を大事にして生きているのですが。
物語の終わりに、徳江さんから店長さんへの最期の言葉として。
満月の心の声を比喩して。
「お前に見て欲しかったんだよ。だから光ってたんだよ」
というセリフがあるのですが。
ロリアはこの言葉が、映画の中で一番心に残りました。
月がそこに存在していても、もし誰も見ていなければ、存在していないのと同じです。
誰かに認識されて、初めて自分がは存在していると感じられるものです。
どんなに素晴らしい人でも、美しい作品でも、どんなものでも、誰かが見ていなければ、存在していても存在していないのと同じかも知れません。
そしてまた、誰かが見てくれてさえいれば、それだけで存在していることになり、誰かが見ているからそれが存在しているのかも知れない。。。
そんなことを伝える言葉でした。
とても重くて優しいメッセージだなと思いました。
桜、月、鳥、あん、綺麗な風景と、ゆったりとした時間。
ラストに店長さんは、徳江さんからいつか言われたように、自分なりのどら焼きを作るようになります。
しがらみの中で何となく生きて、甘いものが苦手なのにやっていたどら焼き屋の店長さんが、徳江さんのあんと出会って、徳江さんの言葉で、自分なりのどら焼きを作り、桜の中で売っている。
希望のあるステキなラストシーンです。
もしご興味のある方は、ハンカチをしっかり握ってぜひご覧ください。
それでは今夜はこの辺で。
夢の中で一緒に綺麗な桜を見たいですね。おやすみなさい☆