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ひきこもりの荒んだ心に福島の潮風が吹く①

おはこんちばんは。大野由瑛と申します。現在色々あってひきこもりです。

数週間前の深夜、いつも通りネットを漁ってましたところ、とある映画の予告編を見つけました。それがこちら↓


予告編を観ただけなのになぜか心にチクッと針が刺さる感覚を覚えました。まるで整体で鍼治療を初めて受けてクセになるあの感覚。映画のホームページに行ってみると、

          「あれ?この俳優さん知ってるぞ?」

この映画の主演は奥野瑛太さんである。この既視感を突き止めるため私は、彼のwikipediaへと向かった。そして私はそこで彼が私が大好きなドラマ家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だったに出演していたことを知る。「せや!ドラマの中で七実(主人公)が密かに恋をしていた、宅急便のさわやかイケメン兄ちゃんやん!」とイタい神奈川県在住23歳女性(心は男性)のエセ関西弁が飛び出した。私もドラマの主人公の七実のように密かに彼の登場を心待ちにしていたひとりであった。ていうか純粋に顔がタイプだし、全身かっこいい。彼は北海道出身である。そして私も北海道にルーツを持ち、名前に「瑛」の字が入ってる。彼にとってはいい迷惑かもしれないが、勝手に親近感を抱いている。


そんな話はさておき、この映画は東日本大震災の原発事故によって全てを失ってしまった家族を描いている。母は娘が生まれてすぐに男を作って逃げていき、父の一平(下元史朗)は震災で仕事を失い、アルバイトをしながら家族を支えているが日々呑んだくれている。娘のいちご(芦原優愛)は働いてはいるものの、結婚もせず実家暮らし。映画の主人公でもあり肝心な息子、心平(奥野瑛太)は数々の仕事を辞め現在無職である。しかも心平には、軽度の知的障害と自閉症がある。父は心平の障害が受け入れられない。心平は朝から自転車でグルグルと福島の街を走り回り、父からおこづかいをもらい生活している。なぜか今の自分と心平がリンクしてしまった。私にも発達障害があり、数々のアルバイトを短期間で辞めてきている。そして現在無職で国から障害者年金という名のお小遣いをもらって生活している。


この映画がなんかのきっかけになるかもしれない。」とふと思ってしまった。そしてその予感は見事に的中する。私は次の日ほぼ一睡もせず、地元の最寄りから湘南新宿ラインに飛び乗り1時間半かけてこの映画が公開されている新宿のケイズシネマというミニシアターへ向かった。新宿駅に降り立つのは高校3年生の時にルミネtheよしもとに行った時以来である。(今思い返せばあの日は「令和」という新しい元号が発表された日であった。)実はミニシアターというのに行くのも今回が初めてで、果たして辿り着けるだろうか?と思っていたが、私がこの世で一番信用している地図アプリを駆使してなんとか辿り着いた。

ケイズシネマ前にあった映画「心平、」のポスター

ポスターを見た瞬間一気に力が抜けた。そして「心平に会える…!」という高揚感に一瞬にして胸がいっぱいになった。そして中に入ると心平を演じる奥野瑛太さんのインタビュー記事や撮影で使った衣装や小道具などが飾られていた。

映画の中で奥野瑛太さん演じる心平が着ている作業着


ロビーに入ってチケットやパンフレットを買い、飾られているものを見て「予告編で見たやつだ〜」と感動していると、明らかに挙動不審で首に手ぬぐいを巻いていて物々しい雰囲気のある人物(失礼すぎる)が立っていた。「もしかして、、、監督か?」私は直前にXで今日は監督がいるという情報を手に入れていた。

「やばいやばいやばい×10000000…(滝汗)喋るのハードル高すぎ(大怯え)」

なんせこういう経験は初めてで、「実物を見て嫌いになってしまったらどうしよう」と謎の理由で映画の公開イベントなんて行ったこともないニンゲンである。しかも根っからのコミュ障で学校で何も思い付かず一生懸命言葉を捻り出して感想文を書いても毎回△をもらっていたクソのようなニンゲンなので映画も見てないのにひたすらに怯えていた。


そうこうしてるうちに上映10分前になり、劇場に入った。この時のお客さんは3〜4人で人が多いところ嫌いの私でも安心して観ることができた。これから公開される映画の予告編を観て「これも面白そうだなあ〜」とか思っているとあっという間に上映が始まった。これから観る人のネタバレを避けるため詳しくは書かないが、105分があっという間に感じた。だが確かにあの105分だけ私は2014年の福島で目の前で大村家や福島の人々を目にしていた。土地勘も何もないに。それぐらい引き込まれいや吸い込まれてしまった。あまりにも丁寧な「光がない日常」だった。だがその日常に心平のある大胆な行動によって亀裂が入っていき、ひとつ家族が完全に分裂してしまう。だが互いの内を知ることによって再生していく。そして主人公の心平も小さいけど大きな成長を遂げる。だが、なぜか涙は出なかった。その代わりに私の「光がない日常」に「希望」という暖かな光が差し込んできた。
余韻に浸ろうと思ったが映画館のスタッフさんが入ってきて「それでは監督の山城達郎さんによるトークショーを行います!」 私:「へ、、、、、、?」もうそこで緊張のゲージはMAX。奇声をあげそうになったが、今の全ての感情を拍手に込めた。そこにさっきロビーに立っていた首に手ぬぐいを巻いた雰囲気のある人物でありこの映画の監督でもある山城達郎さんが劇場内に入ってきた。自分でもわかるくらい自分の目がみるみる輝きを取り戻し、体温が上がった。監督の話が始まり、この映画を制作した意図やなぜ主人公の心平は軽度の知的障害を抱えているのかなどを教えてくれた。私はなんとなく心平がなぜ軽度の知的障害を抱えているかを観る前にわかってしまっていた。(気になる人は「ケーキが切れない非行少年たち」で検索)
予想は当たっていた。むしろそれがこの映画の大穴だった。質問タイムでは心平のキャラ作りについて今出せる最大の声量(普段の話し声よりも小さい)と拙い言葉で質問した。監督は真摯にミニシアター初心者の私にもわかりやすいように答えてくれた。このことについては映画の全国上映が完全に終わってから書きたいと思う。

そんなこんなでトークショーも終わり、私はかなり気持ち的にハイな状況でロビーに出た。そして偉大なる山城監督に「すごく良かったです。」と直接言うことができた。ていうか色んな感情が溢れすぎてこの言葉しか出なかった。監督は「ありがとうございます。」と言ってぺこっとお辞儀をしてくれた。たぶんだが監督もかなり緊張していたと思う。その直後に「グッズいかがですか?あと13個なんです。」と言い主演の奥野さんがデザインしたというステッカーと缶バッヂを差し出してきた。すでに監督の虜であったため、むしろ「買いません」なんて口が滑ってでも言えなかったので、素直に500円玉を差し出した。あと、私がバッグにつけていた黒板消しのチャームを褒めてくださった。普通黒板消しなんて学生時代の中の嫌な思い出のひとつでしかないが私にとっては学生時代を支えてくれたもののひとつであったのですごく嬉しかった。まさか褒められると思ってなくて「アザスウウ…」しか言えなかったけど(笑)
私はルンルンでケイズシネマをあとにした。



帰りの電車で、いつもイヤホンをして音楽を聴くはずが、なにも音楽が入ってこなかった。個人的には2020年に外出自粛になる前に観に行った舞台「泣くロミオと怒るジュリエット」の帰りの電車で感じたモノと同じような感覚に陥った。具体的に何とは言えないが、重い南京錠がかかった鉄の扉が何十年かぶりに開くようなそんな感覚。そして忘れてはいけまいと感想をXに投稿した。

観に行った日の私のXの感想ポスト


心平の痛いぐらいまっすぐな気持ちは確かに私の心を動かしてくれた。心平よ本当にありがとう。私も「やっぱ」を大事にしていきます。


家に帰ってきて自室で窓の外を見ながら浸っていると、ふとケイズシネマのロビーに貼ってあった「27日は上映後主演の奥野さんと山城監督のトークショー開催します。」という張り紙を思い出した。もう迷いはなかった。絶対に行って直接奥野さんに感謝を伝えに行こう、ついでにサインもらえたら嬉しいなあとか思っていた。こういうときのADHDのニンゲンの決意と行動力は諸刃の剣である。そして1週間後本当におかわりをしてしまう。


次回!「由瑛、〇〇○でまさかの危機?」「ついに奥野さんと対面!」「思ってもみなかった人物の登場でさらに血の気が引く?!」の3本です〜。じゃーんけーn(((


ほなまた。

#映画 #感想 #心平、

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