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流産の予兆と無知だった私
終わった…と呆然としていると、「赤ちゃん抱っこ出来ますよ。」
と、ナースの方が小さなおくるみに包まれた赤ちゃんを連れてきてくれました。
無知な私は、お腹も大きくなかったし、16週での流産なら赤ちゃんは人っぽい形にはなっているだろうけど、まだまだ体組織の塊のような段階だろうと思っていたので、びっくりしてしまいました。すごくショッキングな対面になるのでは…?
と思ったのも束の間で、私の手のひらより小さい赤ちゃんには、開かないけど目があって、口も、鼻も、手の指も5本ずつ、ちゃんとありました。そして思い込みかもしれないけれど、目は大きくて夫に似ていて、小さく丸い鼻と小さな薄い口が私に似ている気がしました。こんなに未熟でも、なんて可愛いんだろう。
ナースの方がガーゼで作ってくれた極小サイズの帽子を被せてもらっていて、青いゾウがプリントされたおくるみに包まれた、小さな小さな赤ちゃん。ここで初めて男の子だったことも分かりました。
彼を見て、ごめんね、本当にごめんね。と心の中で謝り続けることしかできませんでした。一見したところ赤ちゃんの成長には問題がなさそうでしたし、安定期に入ってからの流産は、母体側に原因があることが多いようで、私がもっと神経質になっていれば流産は防げたかもしれない…という自責の念で涙が止まりませんでした。
今思い返せば、流産する前の週は、お腹が張っていることが多かったのです。能天気な私は、やたらガスっぽいな〜まぁ便秘気味だししょうがないかって思っていました。そういえば、軽めの腰痛もこの頃からあったのも思い出しました。私は1日中オフィスワークで座りっぱなしなので、原因はそれだろうと思い込んでいました。後で知ったことですが、切迫流産の症状のひとつに、腰痛も含まれていました。そしてよく思い返すと、流産の3、4日ほど前に、少し変わったおりものもありました。白っぽいゼリー状の塊のようなものだったと記憶しています。今思えばこれって、おそらくMucus Plug(おしるし)だったのでしょう。私はこれさえも、安定期に近づいておりものにも変化が出るんだな〜くらいにしか考えていませんでした。
私の症状は全て軽く、妊娠中にはよくあること、過度な心配は無用と思い込んでいました。慢性的な疾患や大病を患ったこともなく、自分が健康なので、全て大丈夫だろうと過信していたことを、思い知らされました。2日後に検診の予約をしていたので、その時にドクターに尋ねてみればいいかな、くらいにしか考えていませんでした。もし電話して症状について聞いていれば、無理矢理にでも検診を早めてもらえば…この記事を書いている今頃は、赤ちゃんがいたのかもしれない。どれだけ後悔しても、しきれない。
こうして私の妊娠生活は、16週間で終わりを迎えました。
つづく