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リアルタイム産地 市原さんご夫妻を訪ねて。

8/27

熊本県山鹿市菊鹿町にて、

合鴨農法でお米と合鴨肉を、

また、栗とシャルドネを作り育てていらっしゃる

伸生さん、奈穂子さんをたずねました。

2012年に結婚。現在、小3・年長さん・3歳の3児のパパママ。

その日、「一カ所目のシャルドネ収穫がおわりました!」

とホッとなさっている2人と待ち合わせ。

いつものように、小山田さんに撮影をお願いして、

私たちは、伸生さんが運転する軽トラの荷台に乗り込み、

険しい山道を10分ほど走り、栗畑を目指します。

山鹿市は、人口6万人ほどの農林業のまち。

米を中心にスイカ、イチゴなど施設園芸、筍、椎茸、お茶などの特産品、

みかん、柿、栗などの果樹、畜産業など盛んです。

特に栗は県下1位の生産量を誇り、全国の菓子業界へ納入されています。

みなさんは、ricca というフランス菓子店・café をご存じでしょうか?

シェフ パティシエ 市原勇生さんは、伸生さんの弟さん

伸生さんが育てる栗は、あの素敵なricca へすべて届けられ「モンブラン」になるのです。

たいせつなその栗を、今回は、同店 の設計監理をされた宮野桂輔さんのご紹介で、

特別にピュアリィにも納品していただけることになりました。

そして、栗畑へ到着。

「すごい!圧巻です!」

阿蘇から有明海まで見渡せるその眺望にとけ込むように1町3反ほど広がる栗の木々の姿はあまりに逞しく、思わず「すごい~」と声を上げてしまいました。

8/12大雨の日riccaで一度打ち合わせのときに、お話しを聞いてはいたのですが・・・

まさか、この風景に出会えるとは!

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伸生さんのお父さま、市原幸夫さんは、里山の豊かで多彩な資源を活かした新しい農業のカタチを作り上げていきたいと、2013年に里山農業参入を決意。幸夫さんの3人の息子さんたちは、その意志を継いで、県外出身のお嫁さんたちと共に、それぞれポジションを分担して、大家族で仲良くそのビジョンのために歩んでこられました。

伸生さん奈穂子は、その核となる「農業」のポジションを、「楽しみながら」担ってきました。

じつは、2011年、当時まだ関東にいた伸生さんは、いったん来熊。なんと200本の栗の苗を植えて、それをお父さんたちに託して関東に帰ります。翌年、山鹿へ移住。ところが!

「苗は一本も残ってない。全滅だったんです」

はあ~

そこから、伸生さんは、めげずにまた200本の苗を植えて、それから8年以上栗の木々と向き合います。

私もこれまで、農薬散布、化学肥料を使用した立派な栗の畑から、まったく無施肥の自然の栗にいたるまで、数多く見てきましたが、伸生さんたちが育ててきた木々の樹勢のすごさ、根の張り、草との共生による土の豊かさ、エネルギーの高さは半端なく、ほんとうに立派としか言いようがありませんでした。

「すごかね~(すごいね)」という私の問いかけに

伸生さんは言います

「俺だったけん!(できた)」

そうだろうね~とにかく伸生さんの生き方には「苦労なんて言葉はありません」

振り返ると、移住して最初は、菊鹿の田んぼ一反からのスタート。

もちろんそれだけでは生活はままならず、苗もまだ小さい時期で、畑は草で荒れやすく、

とくにカズラや蔦性のものが蔓延ると、木に巻き付きとんでもないことになるので、

そういう意味でも大変な日々だったはず。

そして、もう一つ「地域との信頼関係を築くのは、とてもとても簡単なことではなかった。」

「地域の人たちは、ずーっと伸生さんを見ていました。まだ人となりもわからない若い伸生さんが、どうやって田畑の作物を育て、地域にとけこんでいくのかを」

と、奈穂子さん。

伸生さんをやさしく見つめるまなざしから、伸生さんがここまでやってくることができたのも、奈穂子さんのこの厚い信頼があったからこそだろうなあ。

そんな若い2人のがんばりには、やはり転機が訪れるもの。

「あいがもん倶楽部」という5人のメンバーからなる任意団体のお一人から、ご高齢のために、田んぼも倉庫保冷庫などいっさいを伸生さんに譲っていただけるというチャンスが訪れたのです。

そして、その方は翌年に天国へと旅立っていかれるのです。

「きっと、その方は何かを悟っていらっしゃった。だから、伸生さんに譲ってくださったんだろう」

また、2016年に現住所に引っ越し。

元校長先生からお借りできた「数本の自然のままの栗の木付き!畑もある住宅は、なんと¥5,000!!」栗は販売できる。キウイではジャムを作る。という自然を満喫できる暮らし。

菊鹿ワインのためのブドウの栽培も加わり、少しずつですが、農を中心とした生活も安定していきました。

そしていよいよ、ricca もオープン!

サルやイノシシなどの獣害もありますが、草との格闘の日々も、獣害のことも、今はさりげなく「笑顔で話してくれます」

自然と共生するって、こういうことをいうんだろうなあ~

3人の子どもたちに恵まれて、とても幸せな笑顔の2人。

「悩みはない~」といいます。

そして「夢もない~」と。「夢=欲」だといいます。

菊鹿の先人に感謝して、食べもののたいせつさを話し、大きな自然に抱かれていることを喜んで、今があるようです。

インタビューの最後には、2030年問題なんて(笑)と私たち4人で大笑い。

今、この一瞬一瞬、自然の中で肌感覚での「選択」それだけだね~

30代前半の若い彼らのくらし、生き方が広がるといいなあ~

文 反後人美

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自然豊かな土地での農作業.

太陽や大地、空気、水すべてが私たちの恵みです.

その恵みを受けて育つ農作物は、優しさも力強さ

もいっぱい含んでいます.

そして、作り手であるわたしたちが、

こころも、身体も自分たちらしく、整っていること、

心地良くエネルギーをかけていることが

とっても大事だなぁと感じています。

自然とひとと、いい流れの循環が、

作り手からみなさまへ巡っていく。

日々の暮らしの中の「食」、

みなさまの食卓のサポートができたら嬉しいです.

農を通して、みなさまに光を届けられますように.



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