破壊剣入門書
1.はじめに
皆さんこんにちは。roots.です。
2023年もあと残すところ数日となり、1つの区切りとしてこのノートを作成することとしました。
今回は2022年秋から調整を続け、おおよその指針が固まったと考えていますヴァレット採用型の破壊剣について取り上げていきます。
まず、【破壊剣】を使用した大会の結果の一部を紹介いたします。
上記のような一定の結果を残した【破壊剣】の特徴・デッキ構成について紹介していきます。今回の記事は2022年秋から手探りで構築を行い、知識・経験を積み上げて培われた理論を詰め込んでいます。今回の記事では、最新構築である2023.12.03蓮杯での構築を基に進めていきます。
公開することによって、今後自分自身が不利になることも考えられるような情報も含まれています。今回は「入門書」ですので、基本的な内容を無料、誘発の受け方やサイド後の部分、汎用カードの採択部分を有料とさせて頂きます。
この記事を読むことによって破壊剣を使ったことがない方でも、理論的な構築とプレイができるようになることを目指しています。
色々な環境で、格上相手でも一定の成績を残せるような内容にしていますので、ぜひその内容を確認していただけたらと思います。
2.【破壊剣】について
2.1【破壊剣】デッキの特徴
現状の【破壊剣】は【ドラゴンリンク】に似た形をとり、リンク召喚を主体として戦いつつ、破壊剣ギミックで相手の行動を制限していくデッキです。
破壊剣ギミック自体はその枚数や動きがコンパクトな構造をしており、完成盤面である《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》《竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー》成立までの行動回数も少ないテーマです。
デッキ枚数が多い理由は、デッキ内に残っているほうが重要なカードがあり、初手に引かないようにするためです。詳細は「3.【破壊剣】デッキ構成」で記載しています。
破壊剣は《破壊剣士の揺籃》から《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》《竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー》を特殊召喚し、相手の行動を制限しながら戦うことを基本戦法としています。相手に解答となるギミックやカードがないだけでゲームエンドまでもっていける性能です。
深淵の獣ギミックは主に光属性・闇属性モンスターの墓地利用を封じつつリソースを確保する役割があり、ロングゲームにも必要な要素となっています。光属性・闇属性を利用するテーマが環境に増えるとその強みはさらに大きくなっていきます。
ヴァレットギミックも深淵の獣と同様にリソースの確保・展開の補助としての役割が大きいです。
深淵の獣・ヴァレットが破壊剣の小回りがききにくい部分を補い、状況に合わせてEXモンスターを駆使し、相手をいなしていきます。
2.2展開方法?
《破壊剣士の伴竜》で《破壊剣士の揺籃》をサーチし、相手ターンに発動することで相手の行動を制限します。決まった展開パターンはなく《破壊剣士の伴竜》or《破壊剣士の揺籃》を素引きしないといけないため「《破壊剣士の揺籃》を用意できるなら用意する」認識で戦います。
2.3破壊剣を引かなかったら戦えない??
破壊剣を引かなくとも、深淵の獣・ヴァレットギミックで相手を牽制できたり、誘発で相手の行動を制限したり、誘発をEXモンスターに変換して戦える構築としていますので、戦えないわけではありません。
2.4破壊剣デッキに対する印象
『EXデッキから出せなくなる』
『ドラゴンの効果が使えなくなる』
というような 最終盤面のみの知識を持たれている方が多いようには思います。理解度があれば、マストカウンターの見極めが容易になるため、tier1に属するようなデッキではありません。しかしそのロック性能とコンパクトさから、どの対面にも勝利できる可能性を秘めています。この記事を最後まで読むことで破壊剣の使い手になることはもちろん、相手にした時にも役に立つような情報を得ることができるでしょう。
3.【破壊剣】デッキ構成
改めてデッキの構成を詳しくみていきましょう。構成のプランとして、20枚を超える誘発で相手の動きをほぼ停止させることを目指しています。サイドデッキでは苦手なテーマへの対策を惜しみなく行い、「引きたいカードを厳選した」構成にしています。
2023年中盤以降は出場する大会に"R-ace使用者"が多く、採用したカードもR-aceを対策するカード中心となっています。
3.1デッキ枚数
メインデッキは43枚で、比較的多めの構成となっています。
・初手に引きたくないカードがある
【破壊剣】における最もパワーの高いカードである《破壊剣士の揺籃》は、デッキのバスター・ブレイダーモンスターと破壊剣カードをコストとして必要とします。デッキ内の《バスター・ブレイダー》を全て引いてしまうと、発動ができなくなります。
《バスター・ブレイダー》は引いても使えるタイミングであることが少ないため、このカードを引いて《破壊剣士の揺籃》が発動できない状況になると、デッキとしての出力がかなり低下します。《バスター・ブレイダー》同様《破壊剣の追憶》もメイン効果は墓地効果のため、《バスター・ブレイダー》・《破壊剣の追憶》の2種を引かないようデッキ枚数を増やしています。
『特定のカードを引いている』ことよりも『特定のカードを引いていない』方が強い、珍しい性質のデッキと言えるでしょう。
・苦手なテーマに対するサイドチェンジ枚数を確保する
破壊剣は魔法罠に耐性がないため、魔法罠を主体とする【神碑】【メタビート】等には不利となり苦戦を強いられます。どの環境であっても一定数、魔法罠を主体とするテーマと対戦する可能性がありますし、人数の多い大会になるほど様々なタイプのテーマに遭遇する機会が増えます。魔法罠対策となるカード枠をサイドデッキで確保し、効かない誘発等と入れ替えたいです。
3.2破壊剣 要素について
各要素について詳しく紹介していきます。
破壊剣要素は相手の制圧に関与し、「フィールドの効果発動を阻止する」「EXデッキからの特殊召喚を阻止する」役割となります。先攻ではもちろん、後攻でも《破壊剣士の揺籃》と墓地の《破壊剣の追憶》が通れば流れを自分のものにできます。
《破壊剣士の伴竜》
破壊剣の最重要カードの1つで、基本的に《破壊剣士の揺籃》をサーチしますが、《バスター・ブレイダー》を持っている場合は《破壊剣-ドラゴンバスターブレード》をサーチすることでEXデッキからの特殊召喚を阻止できます。
《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》
《バスター・ブレイダー》を運用する上で重要なEXモンスターです。《破壊剣士の揺籃》から特殊召喚するのが基本ですが、縛りのないレベル8シンクロモンスターのため、通常通りシンクロ召喚することも視野にいれておく必要があります。シンクロ召喚する場合は《ヴァレット・トレーサー》と《ヴァレット・リチャージャー》を素材とする場合が多いです。
《破壊剣士の揺籃》で特殊召喚した《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》は、特殊召喚した次のターンのエンドフェイズに破壊されるため、ロックをかけられる期間が限定されています。重要なのは、完成盤面を作成するタイミングと、ロック状態を維持するか(できるか)、ライフの取り切りを狙うかの判断になります。
3.3深淵の獣 要素について
深淵の獣 要素はアドバンテージの確保・盤面突破・展開補助と複数の役割があります。破壊剣のレベル1モンスターは光属性・闇属性のドラゴン族ですので、《破壊剣士の伴竜》を《ストライカー・ドラゴン》に変換することで、特殊召喚する条件を満たします。《天球の聖刻印》や《S:Pリトルナイト》につなげ、相手の動きに備えることとなります。
《深淵の獣マグナムート》
あらゆるドラゴン族にアクセスできます。相手ターン中に特殊召喚した場合はエンドフェイズの状況を見つつ《破壊剣士の伴竜》や《ヴァレット・トレーサー》などの豊富な選択肢から対応するモンスターを選べますので、対応力の要となります。
《復烙印》
《深淵の獣ルベリオン》から置く烙印永続魔法ですが、お互いのターンに墓地から深淵の獣の特殊召喚とドローを狙えるため、ハンドアドバンテージ・ボードアドバンテージの双方に貢献しています。《破壊剣の追憶》で光属性・闇属性のドラゴン族を素材とした場合は、そのモンスターをデッキ・EXデッキに戻して再利用できます。
《深淵の神獣ディス・パテル》
深淵の獣のEXモンスターです。基本は深淵の獣モンスターと《ヴァレット・トレーサー》でシンクロ召喚し、除外からモンスターを再利用しつつ相手の牽制にも使用します。「ビーステッド」であるため、《復烙印》の蘇生に対応し、高いステータスをもつため、戦闘で処理されにくく場持ちの良いモンスターです。
3.4ヴァレット 要素について
ヴァレット 要素は破壊剣と深淵の獣の両者をサポートするカードで、展開補助や相手をいなす役割となります。
《混沌魔龍カオス・ルーラー》規制後は先攻展開の役割も少なくなったため、《リボルブート・セクター》以外は2枚採用としていますが、EXデッキの採用カードによっては増やすこともあります。
《ストライカー・ドラゴン》
ヴァレット 要素として紹介していますが、《破壊剣士の伴竜》や《破壊剣-ドラゴンバスターブレード》を素材に特殊召喚できるため、ドラゴン族の汎用EXモンスターです。特に《破壊剣士の伴竜》初動の場合は、手札のヴァレットモンスターを《リボルブート・セクター》経由で出力し《天球の聖刻印》等につなげていけますので、両ギミックの橋渡しとなります。
《ヴァレット・トレーサー》
フリーチェーンで自分のカードを破壊し、デッキから《ヴァレット・トレーサー》以外のヴァレットモンスターを特殊召喚します。深淵の獣と合わせて《フルール・ド・バロネス》や《深淵の神獣ディス・パテル》の素材となります。《エフェクト・ヴェーラー》や《無限泡影》をはじめとした、対象をとって発動するカード群を回避することもできますし、モンスター数を増やし、より高リンクのモンスターにつなげることもできるカードです。
4.構築段階の注意点
4.1構築上の課題
少ない初動でロックがかけられる一方、1度ロックしても往復2ターンでロックが解除される破壊剣の性質上、
・ロックした後の返しのターンでライフを速やかにとれるか
・返しのターンで再度ロックがかけられるか
・ロックをかけたあとのリソース不足を補うためにはどうするか
といった点が課題として出てくる上にロックを阻止する相手の行動の対策を考えなければなりません。
また深淵の獣は、特殊召喚に墓地の光or闇属性のモンスターを要求します。相手が両属性を使用しない場合は自分で用意する必要があるため、自由枠が豊富といえど採用カードは考慮する必要があります。
さらに、《ヴァレット・トレーサー》の効果を使用したあとEXデッキからは闇属性モンスターしか特殊召喚できませんので、EXデッキのモンスターは可能な限り闇属性が望ましく、その他の属性を採用する場合は必要性をさらに慎重に吟味する必要があります。
4.2EXデッキの採択
《S:Pリトルナイト》、《暗影の闇霊使いダルク》、《破壊剣士の守護伴竜》、《厄災の星ティ・フォン》などの出しやすいEXカードを採用し、余った誘発を用いて展開・戦闘に参加させることでボードアドバンテージを取れる仕組みとしています。特に《破壊剣士の守護絆竜》は直接展開に関わらないこともありますが、手札に《バスター・ブレイダー》を抱えている時の事故軽減と《破壊剣-ドラゴンバスターブレード》を墓地に送り、相手のEXデッキからの特殊召喚を阻止するなど、状況に合わせた選択を取れるカードとなります。
4.3ギミック以外の枠
4.1構築上の課題でも記載の通り、
・流行りの環境に適応すること
・デッキに相性の良いカード
の両方を満たす必要があります。出場した大会はターミナルワールド発売直後で、R-ace使用者が多いことと、インフェルノイドや霊獣などの新発売されたテーマ使用者が増えることを踏まえて光属性・闇属性の誘発である《原始生命体ニビル》《アーティファクト・ロンギヌス》《幻創龍ファンタズメイ》をメインデッキに最大枚数採用しました。採用しているカードを特定のデッキに着目したものにしているのは、参加者が普段大会で使用しているテーマの傾向を確認した上で最も勝率が高いと判断した誘発に絞ったためです。出場する大会や規模によって"誘発"を採用するのか・"まくり札"を採用するのか等も含め、その都度考察していく必要があります。
11.様々なカードの採択とその理論 でさらに詳しく記しています。
5.基本的な先攻展開パターン
5.1先攻パターン紹介
・《破壊剣士の伴竜》+ヴァレットモンスターor深淵の獣
➡《天球の聖刻印》+《破壊剣士の揺籃》
・《ヴァレット・トレーサー》+深淵の獣
➡《深淵の神獣 ディス・パテル》+《s:pリトルナイト》
または➡《フルール・ド・バロネス》
※場合によってはバロネスを作らず、《リボルブート・セクター》のみの回収に留める場合もあります。
《混沌魔龍-カオス・ルーラー》規制後は《天球の聖刻印》のみでターンを返すことも多く、その他の誘発と《天球の聖刻印》による1バウンス+リソースのみで試合をすることもあります。
・《バスター・ブレイダー》+破壊剣カード+召喚権込でフィールドのモンスター2体(確率まれだが重要)
➡《破械蛮竜バスター・ドラゴン》+《竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー》または《バスター・ブレイダー》+相手ターンの《破壊剣-ドラゴンバスターブレード》装備
※持っている破壊剣カードに寄ります
5.2先攻時に注意すべき点
展開にも妨害にも使えるカードを主として使用するため、相手のデッキ枚数やプレイヤーなど、デッキの情報を得られるところから得ておく必要があります。例えば【ティアラメンツ】が相手の場合、深淵の獣を展開として使うのではなく手札に温存しておいたり、罠デッキが相手の場合は《フルール・ド・バロネス》を優先して置くようにしたりと言ったところです。デッキに関する情報を得る癖をつけておきましょう。
5.3追記202401環境
2024.01環境では、ドラゴン族の後攻ワンショットデッキである【天盃龍】の入賞が数多く報告されています。
天盃龍の中でも一度形成された盤面を強力な魔法カードを中心に使う[捲り型]と手札誘発で阻害し展開を成立させない[誘発型]、ドラゴンリンクギミックを採用した先攻を選ぶ型など複数のタイプにわけられます。どのギミックであっても【破壊剣】としては《竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー》成立するとよく《破械蛮竜バスター・ドラゴン》の維持ができなくとも相手の動きを制限できます。[誘発型]が現在主流ですが、《無限泡影》を警戒するため、相手フィールドにカードがある状態で、《禁じられた一滴》のコストを増やさないよう可能な限り早めに《竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー》を成立を目指します。また《三戦の才》を避けるためモンスター効果の使用は可能な限り控えるなど、テーマ外の捲り要素を強く意識して戦っていくとよいでしょう。そのターンを生き延びることができれば、3ターン目のメインフェイズ中に、伏せられた魔法罠の除去を意識しましょう。伏せがある状態でバトルフェイズに移行すると、やりすごした《無限泡影》などで《竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー》が無効になり、バトルフェイズ中に処理される可能性があります。
6.ひとこと
ここまで読んでいただきありがとうございました。
1.はじめに
2.破壊剣について
3.【破壊剣】デッキ構成
4.構築段階の注意点
5.基本的な先攻展開パターン
上記5項目で【破壊剣】について基本的な情報をまとめました。
デッキ相性もありますが環境に合わせて自由枠を変えられ、相手の行動を制限する性質上、どの環境でも戦えるよいデッキですので興味が出た方は組んでみてください。
ここからはゲーム展開の考え方やサイドチェンジ、現在の環境についての内容となります。内容は以下の通りです。
7.《破壊剣士の揺籃》によるロック作成タイミング
8.誘発・妨害の受け方
9.後攻となった場合の戦い方
10.サイドチェンジ論
11.様々なカードの採択とその理論
12.まとめ
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