後書き:何気ない毎日に、○○を
この文章は「何気ない毎日に、好奇心を」・「何気ない毎日に、勇気を」・「何気ない毎日に、下心を」・「何気ない毎日に、継続を」の後書きになります(それぞれにリンク参照)
久しぶりの小説書きにテンションが上がったので、ちょっと後書きをば。
今回の小説は元々独立した短編1つの予定でしたが、書いてるうちに連続短編にしようという判断になりました。主な理由は1つ目の話である「何気ない毎日に、好奇心を」の主人公、四月一日彩葉が追いかける男、当時はハヤトっていう名前だけ決まってた男を書きたくなったからです。
書こうと決めたら、他の人も書きたいなと思い、四月一日の描写に出てきた2人を描くことにしました。
よくある短編の形態にまとまったので、個人的には満足している感じです。自分でも書くものの難易度を下げたつもりですが、そのおかげである程度モノが書けた気がします。主に難易度が下がった理由は、枕に自分語り→本文にその日の日常→最後に台詞って形でフレームを決めたからだと思いますが。
ここからは後書きらしく、この話を作った理由と今回の小説で苦労した話を少し。
今回の小説の題材は結果的には大学生の日常とその日常にある小さな一歩ということになりました。大学生の日常を描きたくなったのはまあ大した理由はないです。なんとなく描写しやすかったし、大学生だと「その一歩」が書きやすいかなって思いました。漫然と日々を過ごす可愛げな女子大生・自問自答しながらアルバイトをする地味な女子大生・恋愛に意味を見出しながら虚無感を感じるイケメン風男子大学生・毎日をちゃんと過ごす男子大学生。そんな彼らはいい意味で描きやすい存在でした。
「その一歩」に関しては、タイトル回収に意味をもたらす大きな因子になっていて、彼らが無理なく踏み出せる一歩とはなんなのかを考えました。ただ暇な日に一人の人間を追いかけてみたり、明らかに仲がよく断れることはないであろう人間に連絡先を聞いたり、日常からナンパをしている男によるナンパにしてみたり、それは人それぞれで、難易度も違う。
ただ最後の彼だけは結構コンセプトが違います。彼はただただちゃんと過ごしている。派手な日々なんかいらない、後悔のない日々を作る彼は「その一歩」が生活に入る余地がない。じゃあ、それがつまらない日々なのか? いや違って、ちゃんとした日々はイベントやイレギュラーを浮き彫りにさせて、その人の日常を変えないのに充実させる。コツコツ丁寧な人間は別に損ではないはずだという思いから、ある意味で皮肉なような形で構成しました。「一歩」を踏み出すことも大事だが、「継続」も重要だと説きたかった、アレです笑
苦労した点ですが、やっぱりそれぞれの大学生がどのような日々を過ごしているのかを想定するのが難しかったですね。この女の子はこの男の子は、どんな毎日を過ごしているのだろうか? そう思いながら書くのは楽しくもあり大変でした。私はキャラクターを作る際に、作りやすくなる一環として、自分自身の思想・考え方・性格の一部を切り出して、それをキャラクターに植え付けて人格になるまで成長させるのですが、その養分となるそういう大学生が何をしてそうかが想像するのが大変でした。特に3つ目の話の彼はすごく苦労しました笑
次にもう一つの苦労した点ですが、タイトルが決まらなかった笑 最初は「ああああ」っていうファイル名で書いてたんですが、流石に名前を付けようと思って最初は「探偵ごっこ」(ワタヌキが尾行する話だったので)、その後は「尾行」「ストーカーごっこ」「観測者体験」などの名前が付き、結局は3作目まで書いたところで「何気ない毎日に、○○を」という名前が付きました。無難ですが、とても好みのタイトルがついたなぁと思っています。
さて、これで一段落です。次こそは独立した短編を書きたいな―と思っていますが、次に書きたくなる時の私におまかせする方針なので、「その時の私、ガンバ!」って感じですね。
狐面の猫
写真:彫刻の森 ステンドグラス