【PHI】ザック・ウィーラー、3年1億2,600万ドルで契約延長
フィリーズは現地2/4にザック・ウィーラーと3年1億2,600万ドルで2025年以降の契約延長を発表した。
年平均で見ると投手ではマックス・シャーザーの3年1億3,000万ドル、ジャスティン・バーランダーの2年8,670万ドルに続く大型契約となる。
今回はウィーラーの契約延長についてまとめていく。
現役最強投手の一人
ウィーラーはフィリーズに加入してからの4年間でfWAR 19.3と同期間内では投手トップの数字を記録。
投球イニングとFIPは同期間で4位。
メッツ時代の同僚で親友のジェイコブ・デグロムのような派手に活躍している印象はないだろうが、耐久性も含めると現在のMLBで最強の先発投手の一人と言って間違いないであろう。
"3年"契約が持つ意味
今回の延長契約のポイントは"3年"という契約期間だろう。
この契約期間はウィーラーが「年を取るまでプレーしたくない」と望んでの契約期間とのことだが、この契約期間の短さはフィリーズにとっても大きな価値がある。
一点目は現在33歳のウィーラーの衰えというリスクを軽減できることだ。
いかに優れた投手でも年齢による衰えは突然やってくる。
例えばロイ・ハラディだ。ハラディは34歳までMLB最強の投手の一人だった。しかし、35歳で突然球速が衰えると大幅に成績が悪化。翌年には引退を決断した。
ウィーラーもハラディのように突然衰えが来たとしても何も驚きはない。ただこの短い契約期間であればダメージは最小限で済むであろう。
もう一点は世代交代のサイクルに合っているということだ。
編成トップにデーブ・ドンブロウスキーが就任して以降フィリーズは積極的にFAでの補強を図る一方でファームシステムの改革を進めている。
ブライス・ハーパー、トレイ・ターナー、アーロン・ノラの3名を除くベテラン選手は3年以内でのFAを控えており、ベテラン選手たちはプロスペクトが育成する期間を賄うための保険にもなっている状況だ。
アンドリュー・ペインターやミック・エイベル、グリフ・マクギャリーといった先発のプロスペクトが怪我や伸び悩みで将来が不透明になる中、ウィーラーのこれから4年間の契約も次世代の先発のプロスペクトを育成するための有益な時間となるだろう。
ウィーラーにとって最良の場所となったフィリーズ
春季トレーニングが始まった段階でウィーラーの残留は規定路線という空気が流れていた。
ウィーラーに新しい球種やアイディアを提案しキャリアアップに導いたケイレブ・コッサム投手コーチとは深い信頼関係を気づいており、2枚看板のノラや女房役のJ.T.リアルムートとはオフに家族ぐるみでディズニーワールドに行くほど親しい仲となっている。
またフィリーズは近年トレーナーやメディカルスタッフの強化にも取り組んでおり、メッツ時代に怪我で苦しんだウィーラーも移籍後は大きな離脱もなく毎年安定した活躍を残せるようになった。
これらの要素に加えジョン・ミドルトンオーナーやドンブロウスキーたちのワールドチャンピオンを目指すための姿勢、ウィット・メリフィールドが移籍時に発言した他のチームでも話題となっているというクラブハウスの雰囲気の良さもウィーラーが残留を望む大きな要因となったのは間違いないであろう。
運命の輪
今回はウィーラーの長期契約についてまとめた。
この契約がフィリーズをワールドチャンピオンに導く運命となるのか、ウィーラーの今後の活躍とともに注目したい。