【MLB】スプリッターは次のトレンドになるのか Vol.2 〜 2024春
おさらい
今回は11月に投稿したnoteの続編となる。
前回は歴史や現在の動向、握り(グリップ)や回転数、スプリッターを武器とする現役投手の紹介などをおこなった。
今回は2023年オフシーズンから現時点であったスプリッターについての最新の動向をまとめていく。
本編
本当に2024年のメジャーリーグのトレンドはスプリッターになるかもしれない。
なんと公式のMLB.comが同種の予測記事を出したのだ。
この記事ではホワイトソックスのディラン・シーズがこの冬にスプリッターを学ぼうとしていたことや、ドライブラインベースボールでスプリッターを教えていることなど数々の興味深い内容が記述されている。
今回は2023年のオフ以降に出てきた記事から改めてスプリッターの現状を確認していきたい。
補強戦略となったスプリッター
この2023年のオフはいくつかのチームが有効なスプリッターを持つ投手を補強のポイントにしていたようだ。
特にレッズは徹底してこの補強戦略を実行している。
それでは補強の結果を確認していこう。
シンシナティ・レッズ
レッズにはフェルナンド・クルーズというトップクラスのスプリッターの使い手が在籍している。
昨年32歳でメジャーリーグに定着した遅咲きのクルーズはスプリッターを武器に奪三振率35.1%と高い数字を記録した。
クルーズの影響もあったのだろうか、レッズはこのオフにスプリッターあるいはスプリッターに似た作用を持つチャンジアップを球種に持つ投手をターゲットに補強を展開した。
ヤンキースで不振と怪我に苦しんだフランキー・モンタスと1年1,600万ドル、パドレスでスウィングマンとして活躍していたニック・マルティネスと2年2,600万ドルと補強戦略にあった投手を高めの契約で獲得している。
また、エース候補のハンター・グリーン、セットアップのルーカス・シムズの2名もスプリッターに取り組んでいる。
デトロイト・タイガース
タイガースはこのオフに前田健太、シェルビー・ミラーと2名のスプリッターを武器とする投手と契約。
タイガースは前田、ミラーの他にもスプリッターを持ち玉としていないジャック・フラハティ、アンドリュー・チェイフィンとも契約しており、編成トップのスコット・ハリスも「特定の球種にフォーカスを当てていたわけではない」という発言をしているが、前田、ミラーを獲得する上で彼らのスプリッターがポイントになったのは間違いないようだ。
またレッズ、タイガース以外にもスプリッターを戦力補強のポイントとしていそうなチームはあったが、具体的な記事を見つけられなかったため今回のnoteでは取り上げないこととした。
スプリッターをレパートリーに加える投手たち
先ほど挙げたレッズのグリーン、シムズの他にも今年スプリッターに挑戦する投手が増えているようだ。
ここからは今年スプリッターに挑戦する注目投手を紹介していきたい。
ネイト・ピアーソン(TOR)
ブルージェイズにはケビン・ガウスマン、エリック・スワンソンという2名のトップクラスのスプリッターの使い手が在籍している。
その2人に影響を受けた元トッププロスペクトのネイト・ピアーソンが今年スプリッターに挑戦している。
昨年ブルペンで結果を出したピアーソンがスプリッターを新たな武器にブレークするか注目したい。
ブライス・ミラー(SEA)
昨年デビューしたマリナーズの先発右腕ブライス・ミラーも今年スプリッターに挑戦しようとしている一人だ。
ミラーのスプリッターのスピンレートは1,000を切る数字を記録しているが、現在のMLBでスプリッターのスピンレートが1,000を切る投手は前述のレッズのクルーズやカブスのマーク・レイターJr.などトップクラスのスプリッターの使い手ばかりであり、ミラーのスプリッターも大変強力な武器となる可能性が高い。
タイラー・メギル(NYM)
昨年シーズン中に千賀滉大からスプリッターを教えてもらったタイラー・メギルはこのオフにスプリッターを自身の武器とすべくトレーニングに励んでいたようだ。
投手コーチのジェレミー・ヘフナーはメギルのスプリッターを千賀のゴースト・フォークに匹敵する可能性があると評価しており、この評価通りにメギルがスプリッターをマスターしているならば今年大きなブレークを果たすかもしれない。
その他にも、ドリュー・スマイリー(CHC)、A.J.パク(MIA)、デーン・ダニング(TEX)、ユニオル・マルテ(PHI)などの投手がスプリッターに挑戦しているようだ。
次回
今回は現地でも多くの記事が出始めたスプリッターについて最新の動向をまとめてみた。
次回はシーズンの中頃に改めて最新動向をまとめたい。