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【PHI】 ルール5ドラフトとわらしべ長者
昨年2022年オフのルール5ドラフトで1番最後に指名された選手をご存知だろうか。
正解は越後製菓!!
正解は先日フィリーズからブリュワーズにトレードされた二塁手のOliver Dunnである。
Down in the Arizona Fall League, Oliver Dunn had 2 hits in a game, including a home run 👏 pic.twitter.com/bvAA2GKfsY
— Phillies Player Development (@PhilsPlayerDev) October 14, 2023
今回はフィリーズが今年も仕掛けるかもしれないルール5ドラフトの戦略とDunnのトレードについてそれぞれまとめたいと思う。
とにかくルール5で指名をしまくった22年のフィリーズ
ルール5ドラフトにはメジャーとマイナーの2つのフェーズでの指名がある。
メジャーのフェーズの場合、指名した選手を翌年のシーズン1年間メジャーのロースターに入れて置かなければいけないというハードルの高いルールがあるため、指名するとしても1人、まれに2人指名されることがある程度だ。
しかし、マイナーのフェーズの場合は選手をキープするためのルールが緩やかなため、より多くの選手が指名される。
そんなルール5ドラフトにおいて、フィリーズは昨年2つの興味深い戦略を実行した。
1つは当時アメリカ海軍に所属していたレッドソックスのNoah Songの指名である。
少々話題になったので覚えている方もいるかもしれない。
軍に所属している間はメジャーのロースターに入れる必要のないSongを指名することで保有期間の延長も考慮に入れた指名ではあったが、Songがシーズン途中に除隊し野球の世界に復帰したことでこの戦略は失敗に終わった。
そして、もう1つの戦略がマイナーフェーズでの大量指名である。
昨年フィリーズはなんと7名もの選手をマイナーフェーズで指名している。
その他のチームの指名が最高でも4名だったことを考えるとこのフィリーズの指名数がいかに多かったかが分かるだろう。
その大量指名の中で一番の当たりとなったのが今回取り上げるDunnである。
Dunnのトレードという早めの利益確定
2019年のドラフト11巡目でヤンキースに指名されたDunnはケガとコロナ禍によりヤンキースのマイナーでは成績を残す機会に恵まれなかった。
しかし、前述の通りルール5ドラフトでフィリーズに移籍すると、8月には月間10HRを記録するなどAAレディングで大活躍、アリゾナ秋季リーグでも好調を維持し"Breakout of the year"に選出された。
そして、一躍注目される存在となったDunnをフィリーズはすぐにブリュワーズへとトレードしたのである。
フィリーズがDunnをトレードした理由は何点か考えられる。
フィリーズがDunnをトレードした理由
1. フィリーズの二塁にはDunnと同い年で同じ左打ちのBryson Stottがすでにいること
2. すでに26歳とプロスペクトとしては歳をとり過ぎていること
3. Dunnが二塁以外の守備の経験が少ないこと
4. 打者有利のAAレディングの本拠地では好成績を残したがアウェイでは低調な成績だったこと
ざっくりまとめればフィリーズでは来年メジャーでの戦力になるのが難しかったDunnを売れるうちに売って、代わりにより若いこれから伸びる可能性があるプロスペクトを集めたということである。
Dunnの代わりに獲得したのは21歳の内野手Robert Mooreと20歳の外野手Hendry Mendez。
現在フィリーズは20歳前後の若いプロスペクトを大量に獲得し育成を試みている状況であり、そのデプスの強化としてはピッタリの補強と言える。
最近のフィリーズってこういう上手い補強ができるようになってきたよね。
フィリーズは今年のルール5ドラフトでも大量指名をするのか
去年のルール5ドラフトでDunnという当たりくじを引いて、さっさとトレードで利益確定させたフィリーズ。
今年もルール5ドラフトでも大量指名という戦略を仕掛けるのか?
今年のルール5ドラフトは来週の水曜12/8に開催される。
フィリーズがどのような動きを見せるのか。
少しでも興味を持って見ていただけると嬉しい。